第1話 異世界転生~えっ? こんなことで転生できるんですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
うららかな日差しのい中で、私は山道を一人で登っていた。
何のことはない、仕事のストレスの発散とか、まあそんな理由だ。
学生時代にはハイキング部に入っていたこともあり、山登りは得意な方と言える。
えっ? 一人だよボッチだよ、コッチ見んな?
大体、社会人には都合のよい出会いなんてものは存在しなねーよ!
学生諸君には分からないかも知らないが、社会人に夢見んな。
そう言った連中は、伝手を頼った合コンとか、出会い系サイトとか利用しているんだからな!
おっと、思わずホンネが駄々漏れになってしまった。 反省、反省。
「くぅ~ん」
ん? 何だ? 何処から聞こえるんだ?
「くぅ~ん、くぅ~ん、くぅ~ん」
むっ、むむむっ! 必死さは伝わって来るんだが、いかんせん薮で見通しが悪い。
「きゃう~ん」
こっちか? 薮が濃いな。 山道を逸れるとか、遭難ルートじゃねーか。
「くぅ~ん」
おいおいおい、こっから先って崖じゃないのか? なんだか水の音も聞こえたりするんだか・・・。
あっ、いたいた。 可愛い仔犬だ。 もふもふだ。
あれ? 動きが変じゃないか?
うをっ、マジか。 こんな斜面に罠を仕掛けるなんて、性格悪すぎだろ!
「ちょっと待っててね~。 今助けるから。」
「くぅ~ん」
「これって、ワイヤートラップ? ちょっ、動かないで! 余計に絡まるから。」
「きゃう~ん」
「くっ、以外にムズいな。 ここをこーして、そこに通して・・・。 よし、外れた」
「くぅ~ん」ぺろぺろ
「きゃっ、何だこの可愛い生き物は! それにしても最悪だな。 いたずら目的だとしても、性格が腐ってんじゃないの?」
「くぅ~ん、くぅ~ん、くぅ~ん」ぺろぺろぺろ
「ちょっ、お腹減ってんの? わっ、ダメ! 一応メスだけど、乳は出ないのよ!」
「くぅ~ん」orz
「そんなに分かり易く、落ち込まないでっ! いやっ、出会いが無かったのよ。 何とかして食べ物を用意するから、ちょっと待ってて!」
そう言って、注意力散漫で立ち上がったのが悪かった。
場所は斜面、下は崖。
まあ、必然だったと思う。
最後の力を振り絞って、なんとか仔犬は上方に投げることは出来たけど、反作用も相まって私はそのまま崖の方へ。
どこか達観した気分で人生を振り返り、最後に仔犬を助けることが出来たことに満足しつつ、私は崖から真っ逆さま。
なんとも形容しがたい人生だった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「あなたは異世界に転生することが決まりました。」
これって、アレですか、女神様。 小説とかにありがちなパターンの。
でもね、普通は交通事故とかじゃないの? 大型とラックに引かれそうになっている子供を助けたりして。
「交通事故で転生? それこそあり得ないですです。3時間に1人以上も死んでいますし」
いや、だからさ。 そこで子供を助けたりなんかして、それに感心した神様が特別に…とか。
「例えば後部座席に座っているケースなら、横に座っている子供を庇うケースは良くありますよ」
だから、赤の他人の子供を助けるケースだってばさ。
「それは、何故か交通量の多い道路の側でボール遊びをしている子供が、偶然にも大型トラックがやって来る前方にボールを投げ飛ばし、さらにはトラックの音には一切気が付かずに轢かれる位置に移動して、しかも偶然その場所に立ち会わせた上に、幸運にも助けられる距離にいて、怯むことなく飛び出して子供を突き飛ばし、子供だけが後続車などに轢かれること無く、自分だけがトラックに轢かれて即死するパターンですか? もしかして、頭打ち過ぎました?」
あっ、はい。 すみません。
「あなたの場合は助けたのが犬神の子供で、偶々《たまたま》要請があったからです」
犬神? 儀式で創られる呪い的な?
「呪術は関係ありません。 もっとスピリチュアルなモノです」
もしかして、もののけ的な?
「そんな感じです。 迷惑を掛けたと」
そっかぁ、今度から『姫』って名乗ろうかな。
で、転生先ってどんな感じ?
「剣と魔法のファンタジーな世界」
キターwww、じゃあエルフとか獣耳とかは?
「もちろん存在しますよ。まあ、魔物やドラゴンも存在しますが」
じゃあ召喚勇者とか魔王とかは?
「召喚勇者は存在しませんが、英雄とかなら。 魔王を魔物の王と言うなら、ゴブリンキングなどが該当しますね」
そっかぁ、ゴブリンかぁ。 いっそスレイヤー的な奴を目指そうかな。
「あんまり調子に乗っていると、死にますよ」
さーせん。
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704
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