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これ、ホントに呪いの指輪なの?  作者: 彩田(さいた)
一章 王都編
19/119

19:一閃 *

この話を飛ばしたい方は22話のあらすじを御覧下さい。


 エミアルはラトサリーに馬乗りになったまま動きを止め、肌を舐め回すように視線を注ぐ。ラトサリーは破れた服を手繰り寄せ胸を隠しエミアルを睨みつける。


「大きな声を出しますよ」


「あぁ、出せばいいさ。人払いしてあるからな。城壁の見張りまで聞こえると良いな」


 ラトサリーは言葉を失い顔に焦りを滲ませる。その様子をニヤつきながら眺めるエミアルをラトサリーは再び睨みつける。


「……これ以上するとフレール様に言いますよ!」


「いいぜ、言っても。指輪を外す為に飲んだ薬が失敗作で、錯乱したお前を止めるのが大変だったとでも言うからな。記憶障害も起こしているとか付け加えれば完璧だろ」


「そんな言葉を信じてもらえると本気で思っているのですか!」


「あぁ問題ない。なにせモリスと使用人が証人になってくれるからな。そう言う話になっている」


 ラトサリーの顔は焦りの色を強め、彼女は体を捩って脱出を試みる。しかしエミアルはラトサリーの動きを見て品の無い笑みを浮かべ、両手を彼女の肩に伸ばして掴む。掴まれた肩に異様な痺れを感じ体を竦ませ眉間にシワを寄せるラトサリー。その反応を見てエミアルはニヤっと笑う。


「掴まれただけでビリビリ感じるだろ。お茶と菓子に入れたのは媚薬だからな。おかげで俺も良い感じさ。さぁ、力を抜け。諦めて楽しもうぜ」


 目に涙を滲ませエミアルから眼を逸らすラトサリー。エミアルは右手を肩から離して彼女の左手首を掴み、掴んだ手首を引っ張って胸元から離そうとする。擦れる胸と掴まれた手首の異様な痺れにを歯を食いしばるラトサリーだが、どうにか思いついた言葉をぶつけるべく再度エミアルを睨みつける。


「……今、サーブ様が戻ってきたら何と説明するおつもりですか。やめて下さい!」


 エミアルは動きを止めラトサリーの視線を正面から受け止め、悪い笑みを浮かべる。


「サーブか。アイツには架空の来客を待たせているからな。こちらから呼び戻さない限り戻って来ないのさ。だから安心して楽しもうぜ」


 ラトサリーの顔は失意の色を強め、エミアルから逸らした目は涙を湛え、唇は震え始める。エミアルは息を荒げながら卑猥な目でラトサリーの顔を凝視する。すると、ラトサリーの唇は僅かに動きを見せる。


「・・・・・さい……」


「あ?聞こえないなぁ。なんだ?」


「やめてください……」


 か細い声を絞り出し懇願するラトサリー。エミアルから逸らした目からは涙が流れ、侮辱的な仕打ちに顔が歪む。彼女の様子をじっくりと見てエミアルは陰湿な笑みを浮かべる。


「そうだ、その顔だ。もっと良く見せろ!!」


 エミアルはラトサリーの手首を離し、その手で彼女の喉元を掴んで自分の方を無理に向かせる。


「屈辱でいっぱいになるのを見たかったんだ。俺を見下すように見たお前の顔がな!ハーッハッハッ!!」


「やめてください……お願いですからやめてください」


 大粒の涙を流し苦しそうに許しを求めるラトサリー。エミアルは悦に入った顔でラトサリーを眺めると喉元から手を離し、再び彼女の左手首を掴み胸元から引き剥がそうとする。


「やめてください……」


 必死に耐えるラトサリーの腕は胸元を守り続けた。エミアルはいくら力を加えても彼女の腕を引き剥がせない事に怪訝な顔を浮かべる。


「あの量の痺れ薬を飲まされて、何でこんなに力を入れられるんだお前は?」


「……しびれ?」


「お前が最初に飲んだ小瓶だよ。普通だったら動けなくなる筈なんだが。毎日シビレタケでも食べてるのかお前は」


 蔑むように言い捨てるエミアルの言葉にラトサリーの目に怒りが宿る。


「指輪を外す為の物では無かったのですか……」


「当たり前だろ、そんなの外せる訳ないだろ。っ、しかし、どれだけ力強いんだお前は」


 呆れ顔をしたエミアルは両手でラトサリーの左手首を掴んで力を加える。しかし必死に堪えるラトサリーの左腕は引き剥がされる気配を見せない。エミアルは力を加えるのを止めると湿った息を吐きニヤつく。


「まぁいい、力が入らないようにしてやるよ」


 そう言ってエミアルは馬乗りになっている位置を前にずらし、自分の左手を後ろに回す。その手の動きが目に入ったラトサリーの顔は焦りを見せる。


「いや……やめて」


 エミアルはラトサリーの服の破れ目に左手を滑り込ませ、その手で彼女の腹を弄る。ラトサリーは身を捩らせ体を反らせる。


「んーーーっ!っっくっ!」


 ラトサリーの反応に気を良くしたエミアルは、呼吸を荒げ左手を更に滑り込ませようとする。たまらずラトサリーは右腕を大きく振りかぶる。エミアルは自分を叩こうとする動きを察知し、彼女の左腕を掴んでいた右手を離す。


「やめて下さい!!!」


 ラトサリーは大声を上げ、彼女の右手はエミアルの左肩を打ち抜く軌跡を描く。エミアルは自身の左肩付近で右手を構え、その打撃を掴んで止めようとする。ラトサリーの右手がエミアルに掴み止められる寸前、

【 ジャジャ!!! 】 

彼女の頭の中で金属音のような音が鳴った。

 ラトサリーが振りぬいた右手はエミアルの手と肩を捉え、エミアルは回転して吹き飛ぶ。エミアルの体は床を勢い良く転がり壁に激突し、鈍い衝撃音と共に壁の絵が揺れて傾く。

 ラトサリーは肩で息をしながら振り抜いた右手に眼差しを向ける。


「ハァハァ…………これ……」


 床に背中をつけたまま信じられない様子で右手を凝視するラトサリーだったが、壁際で倒れているエミアルに気付き慌てて服の破れを手で押さえながら上体を起こす。ラトサリーはエミアルの様子を伺い、起き上がる気配を見せない事に安堵する。ラトサリーはエミアルを注視しつつ起き上がるが、彼が微動だにしない事に気付き顔を強張らせる。


(この状況は…………どうする……)


 ラトサリーはその場で呼吸を整えようとするが、何やら気配を感じて扉の方に顔を向ける。すると、半分開いた扉から部屋を覗き込むモリスと目が合う。ラトサリーは体をビクッとさせ破れた服を押さえる手の力を強める。モリスは怪訝な顔でゆっくりと部屋に入って周りを見渡し、壁際でぐったりと倒れるエミアルに気付くと目を大きく開き息を飲む。


「王子!!!」


 そう叫んでモリスは床に転がるエミアル駆け寄る。エミアルの体を抱え込み揺すりながら頬をペチペチと叩くモリス。


「王子!王子!!」


 焦りを滲ませる声で呼びかけるモリスだったが、エミアルの反応がない事に悲壮感を漂わせエミアルの首筋に手を当てる。生きている事を確認して安堵の息をついたモリスは表情を急変させ、エミアルを抱えたまま憎悪に満ちた目をラトサリーに向ける。


「お前……王子に何をした」


 悪意のある視線を受けて後ずさるラトサリー。モリスはエミアルを床に寝かせるとゆっくりと立ち上がる。ラトサリーはスカートを少したくし上げるように服を押さえ直して扉へ駆け出す。


「待て!!」


 モリスはそう叫ぶと扉の方へ駆け出し、追いつく事を確信したようにニンマリしてラトサリーに手を伸ばす。しかし、モリスの手は紙一重の所で空を切る。


「なっ!!」


 モリスは驚愕の余り声を漏らす。ラトサリーの腕を掴む寸でに彼女が加速したからだ。対象を捕まえ損ねたモリスは勢い余って壁にぶつかり倒れるが直ぐに起き上がり、ラトサリーを追って廊下に出る。


「っ!もうあんな所に!」


 顔を歪め追おうとするモリスだったが、壁に当たった痛手のせいで足がもつれて倒れる。モリスは悔しさを顔に滲ませ大声を上げる。


「誰かー!女を捕まえろーー!!」




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