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6. どのジャンルのTS作品は最強?

 今回は先回の続きで、なろうにおけるジャンルの話です。


 先回ではそれぞれのジャンルの数の割合を調べましたが、今回調べるのはジャンルの違いは獲得ポイントやブクマ数や感想数やレビュー数などにどのような影響を与えるかです。


 2話でも書いてありますが、『平均値』より『中央値』の方が全体の傾向の代表になり得るので、今回は主に『中央値』を使います。


 まず各ジャンルTS作品の総合ポイントの中央値を見てみましょう。


  図6.1

挿絵(By みてみん)


 どうやら『歴史』は圧倒的ですね。先回も見せた通り、実はこの『歴史』というジャンルは、全体から見てもTSだけ見ても、数は少ない(・・・・・)です。しかしこの数少ない作品の中で人気作品がたくさんあるので、数で勝たなくても品質で勝つということになります。


 ただし、これはTS作品だけの話です。なろう作品全体を見れば『歴史』よりも『VRゲーム』の方がポイント高いです。


 このエッセイも参考に。

 中村にこの2018年の分析。

 >> https://ncode.syosetu.com/n3630fb/12/


 佐々木尽左の2020年版。

 >> https://ncode.syosetu.com/n4996gb/3/


 TSものでも『VRゲーム』はポイントが高い方ですね。『歴史』ほどではないけど。


 もっと具体的にポイントの分布をわかりやすいように、総合ポイントで区切りを付けて割合を調べたらこうなります。


  図6.2

挿絵(By みてみん)


 ここで順番は『1ポイント以上得る作品の割合』の順です。『詩』はちょうとたった1作しかないので一番になってしまったが、100を超えていません。


 10000以上だけ見れば、やはり『歴史』は圧倒的に多いです。そしてその次は『VRゲーム』のようです。


 でもこれはあくまで『割合』のことです。数から見れば、各ジャンルのポイントを10000以上もらった作品の数はこうなります。


ハイファンタジー:100

異世界恋愛:26

ノンジャンル:21

ヒューマンドラマ:18

ローファンタジー:17

VRゲーム:16

コメディー:15

現実世界恋愛:7

歴史:7

アクション:3

空想科学:1

純文学:1


 元から『ハイファンタジー』は圧倒的に多いから、その中に良作の数も多いってのは当たり前ですね。でも良作の割合は『歴史』と『VRゲーム』の方が上です。


 次は機械学習でポイントに対する重要度を分析します。今回採用する手法は4話で使ったのと同じ『ランダムフォレスト』ですが、厳密にいうと少し違うものです。ランダムフォレストは本来『分類』のために使うものです。つまり4話(図4.9)の『エタったかどうか』という問題のように。しかし今回の目的は『分類』するためではなく、獲得ポイントという『具体的な数字』との関係を分析するためなので、これは『回帰』です。つまり『ランダムフォレスト回帰』となります。


 結果はこうなります。


  図6.3

挿絵(By みてみん)

 

 ここに書いてある数字は『そのジャンルかどうか』という変数の重要度です。つまり『VRゲームジャンルかどうか』は獲得ポイントを推測するために一番決定的な変数ということです。そして『ハイファンタジージャンルかどうか』と『歴史ジャンルかどうか』ももちろん重要度が高い。


 各ジャンルの数字の違いは(いちじる)しいので、ここでx軸は対数にしています。


 しかしここで書いた『重要度』の意味は注意する必要があります。この結果はただ『そのジャンルであるかどうかという変数でポイントにどれくらい影響があるか』を教えるだけで、『そのジャンルだったらポイントが高い』という意味ではありません。


 このエッセイでもこれについて説明があるので、参考に。

 >> https://ncode.syosetu.com/n2628fr/12/


 この結果の中の4番目を見ればわかるでしょう。『その他』というジャンルは総合ポイントが低いものです。なのでここの意味は逆に『その他というジャンルだったらポイントが低い』ということを意味するのです。




 次はブクマ数も見ていきましょう。まずは各ジャンルのブクマ数の中央値はこうなります。


  図6.4

挿絵(By みてみん)


 傾向はあまりポイントの時とはあまり変わりませんね。やはり『歴史』は一番です。


 そして区切りを付けて割合を調べて、棒グラフを描いたらこうなります。


  図6.5

挿絵(By みてみん)


 ブクマ数10000以上の割合わ見ると、『VRゲーム』の方が『歴史』より高いですね。


 そしてランダムフォレスト回帰で重要度を計算してみると、結果は大体ポイントの時と同じです。


  図6.6

挿絵(By みてみん)




 次は感想数を見てみましょう。まずは中央値の棒グラフです。


  図6.7

挿絵(By みてみん)


 歴史以外は0、1、2ばかりですね。感想はポイントやブクマよりもらいにくいものだから。


 感想数の場合は中央値を見るというよりも、区切りを付けて割合を調べる方が意味あるでしょう。


  図6.8

挿絵(By みてみん)


 ここで『感想数1以上』の割合の数字も載っています。『詩』は1作しかないので、簡単に100%になりますが、見ての通りその作品の感想は2件しかありません。


 そしてやっぱり感想数から見ても歴史は圧倒的です。半分くらいは感想10件以上もらっているし。


 次はランダムフォレストによるジャンルの重要度も見てみましょう。ただし感想を分析する場合は『感想数』よりも『感想をもらったかどうか』を考察する方がいいと思います。


 『感想をもらったかどうか』の答えは2つしかないので、『回帰』ではなく、単なる『分類』となります。つまり今回使うのは『ランダムフォレスト回帰』ではなく、4話と同じように分類のためのランダムフォレストです。


 結果はこうなります。


  図6.9

挿絵(By みてみん)


 このデータセットなら『詩』は100%感想がもらえるから、重要度が高いですね。


 そしてここで『リプレイ』は図6.8から見れば0%なので、悪い意味で(・・・・・)重要度が高いことになります。




 最後にレビュー数も見てみましょう。ただしレビューは非常にもらいにくいもので、中央値を描いたらもちろん全部は0となってしまうので、わざわざ描く必要はないでしょう。


 ここで『もらったレビューの数』の割合だけ見てみましょう。


  図6.10

挿絵(By みてみん)


 とりあえずレビュー数を見ても『歴史』というジャンルは一番のようですが、レビュー数10以上の作品はまだありませんね。レビュー数5以上だけ見れば『VRゲーム』の方が高い。




 この結果から言うと、とりあえず『歴史』は最強です。


 せっかくだからTS歴史のトップ作品はどんなものなのか見てみましょう。


タイトル:

 鷹は瑞穂の空を飛ぶ~プラスチックの専門家が華族の娘に転生したので日本は化学立国になります~

作者名:

 コモンレール

総合ポイント:

 48920

ブクマ数:

 11820

感想数:

 1103

レビュー数:

 2

初回掲載日:

 2021-01-04 20:16:56

キーワード:

 R15 残酷な描写あり IF戦記 逆行転生 近代 明治 ミリタリー 内政 TS 化学 高分子 歴史改変 大正 第一次世界大戦 日露戦争 ネット小説大賞九


 これもとても面白(おもしろ)い作品です。ただしこの作品の見どころは『歴史改変』がメインなので、あまりTS要素は強調されたわけではありません。たとえ『TS転生』ではなくても同じようなストーリーはできるでしょう。




 以上、ジャンルの話はここで終わりました。次回はキーワードの話となります。


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