5. なろうでTS作品がたくさん見つかるジャンルは?
今回の話はなろうのジャンルに関する分析となります。
なろう小説は色んなジャンルに分類されて、各ジャンルの数の違いも随分著しいものです。
以前にも、なろうのジャンルについて色んな人はグラフ化して分析してエッセイを書いた人がいます。
例えば、佐々木尽左さんの書いた2016年時点の分析。
>> https://ncode.syosetu.com/n5316df/3/
それと、夕月悠里さんの書いた2018年時点の分析。
>> https://ncode.syosetu.com/n3630fb/3/
ここでも各ジャンルの作品の数を載せておきます。(2022年1月1日時点のデータ)
図5.1
全体から見ると『ノンジャンル』は一番多いですね。私もここでは新人だから、最初はこの『ノンジャンル』の存在を知らなかったです。実はなろうの太古の時代にはまだジャンル分類がなかったようなので、古い作品は『ノンジャンル』であるものが多かったです。最近書かれた作品ならジャンルがあるはずですが、昔から書かれてまだジャンルを付けられていない作品が多いです。
『ノンジャンル』を除けば、『ハイファンタジー』は圧倒的に多いジャンルです。
以上はなろう全体の作品のことです。ではTS作品だけ見ればどうなりますか?
さてTS作品だけを取って同じ棒グラフを描いてみたらこうなります。
図5.2
全体的でもすでに特に多い『ハイファンタジー』だが、TS作品だけ見れば『ハイファンタジー』の圧倒的さは更に明らかですね。『ノンジャンル』より超えていますし。その他に『ローファンタジー』もたくさんです。やっぱりTSものならファンタジーものが多いですね。
ということは、一番TS作品をたくさん持っているジャンルは『ハイファンタジー』です。でもこれはそもそも全体的に『ハイファンタジー』の数が多いから当然の結果ですね。
次にもっと知っておきたいのは『どのジャンルにTSものが見つかりやすい』です。
そのために、各ジャンルのTS作品の割合を計算してみます。つまり図5.2の値を図5.1の値で割り算することです。結果はこうなります。
図5.3
VRゲーム:232/6192 = 3.7468%
ハイファンタジー:2638/114236 = 2.3093%
ローファンタジー:793/48326 = 1.6409%
コメディー:442/31473 = 1.4044%
異世界恋愛:698/52079 = 1.3403%
アクション:151/17030 = 0.8867%
現実世界恋愛:589/67884 = 0.8677%
空想科学:105/14372 = 0.7306%
ノンジャンル:1722/239472 = 0.7191%
歴史:53/7702 = 0.6881%
宇宙:23/3668 = 0.6270%
パニック:22/3728 = 0.5901%
ヒューマンドラマ:381/67997 = 0.5603%
リプレイ:3/557 = 0.5386%
その他:155/40624 = 0.3815%
推理:24/7937 = 0.3024%
エッセイ:80/30968 = 0.2583%
純文学:28/23334 = 0.1200%
ホラー:24/25852 = 0.0928%
童話:10/13342 = 0.0750%
詩:1/40937 = 0.0024%
どうやら『VRゲーム』というジャンルは圧倒的にTS作品の割合が高いです。
全体から見れば『VRゲーム』の数は少ないのに、その少ない数の中にTSものが多いですね。
つまり『VRゲーム』は一番よくTSに関わるジャンルです。『VRゲーム』を25~30作くらい持ち出せば、大体その中の1作はTSものであるということです。
恐らく『VR世界』の中で自由に性別を選べるという設定は多おおくて、『ネカマ』や『ネナベ』をやりやすいからでしょう。
そしてその次に『ハイファンタジー』と『ローファンタジー』の方が多いですね。ファンタジーなら転生や魔法で性別を変えることが簡単だからかもしれません。
次は『コメディー』です。やっぱりTSは『コメディー』になりやすいですね。人がTSしたことで笑えるネタはいっぱいできそうだから。
恋愛ものを見れば、『異世界恋愛』の方は『現実世界恋愛』よりTSが多いですね。ひょっとして、ただ『いきなりある日朝起きたらTSしてしまう』よりも、異世界へTS転生してしまった方が恋愛を受け入れやすいかも?
全ジャンルで考えればTS作品の割合は0.95%なので、確実にTS作品が更に見つかりやすいのは『VRゲーム、ハイファンタジー、ローファンタジー、コメディー、異世界恋愛』だけということです。
次は連載作品と短編作品の違いも調べてみましょう。
連載作品。
図5.4
短編作品。
図5.5
連載は全体とあまり変わらないようです。短編の方は全体的にTS作品の割合が少ないが、その中で『VRゲーム』は他のジャンルほど違いは大きくないので、『VRゲーム』の数はもっと圧倒的に見えますね。
次に完結済みの連載作品だけの場合も見てみます。
図5.6
完結済みだけ見ればTSの割合が多くなりますが、相変わらず『VRゲーム』が一番です。その他に『コメディー』もTSの割合が高くて2番目となります。
次は登録必須キーワードについても考慮してみましょう。
まずは『ガールズラブ』キーワードが付いている作品、つまり百合です。
図5.7
どうやら違いは明らかです。どんなジャンルでも百合だけならTSものの割合は明らかに多いです。特に『ハイファンタジー』の百合は20%くらいTSものです。これは『VRゲーム』よりも超えています。
次は『ボーイズラブ』キーワードが付いている作品、つまりBLも見てみましょう。
図5.8
百合ほど多くないが、やはりどんなジャンルもTSの割合がBLものでは全体より大きい。特にVRはすごいことになっています。20%以上です。つまりVRゲームのBLものは非常にTSである可能性が高いです。
そしてその他の登録必須キーワードも見ていきましょう。
『R15』キーワードが付いている作品。
図5.9
『残酷な描写あり』キーワードが付いている作品。
図5.10
『異世界転生』キーワードが付いている作品。
図5.11
『異世界転移』キーワードが付いている作品。
図5.12
『R15、残酷な描写あり、異世界転生、異世界転移』は、どれも百合とBLみたいに大きな変化はないようです。
次は人気作品だけ見てみたいです。まずポイント100以上だけの作品の割合を見ましょう。
図5.13
『VRゲーム』が一番多いってのはまだ変わりはないが、どうやら総合ポイント100以上の作品だけ見れば『ローファンタジー』は目立つようになります。
そしてもしポイント1000以上の作品だけ調べればこうなります。
図5.14
『ローファンタジー』と『ヒューマンドラマ』と『コメディー』は明らかに高くなります。『VRゲーム』と『ハイファンタジー』より超えています。
つまり『ローファンタジー』ならいい作品の中ではTSものを見つける確率は全体より一層高いです。『ヒューマンドラマ』と『コメディー』もそのようです。
以上、これでTS作品の生態はわかってきましたね。でも今回考慮したのはただ各ジャンルの『作品の数』だけで、ブクマ数や感想やレビューについてまだ触れていません。
どのジャンルはポイントやブクマや感想やレビューをもらいやすいか、次回で考察します。