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4. TS作品ならエタりにくい?

 今回は『エタ』のことを考察してみます。


 その前に、まず問題は『エタったかどうか』実際にかなり曖昧(あいまい)な概念です。これも判断の基準によって結果は違います。


 簡単に考えてみると『最後の更新の日』を見ることは一番でしょう。例えば『1年くらい更新されていない連載作品はエタった』など。


 夕月悠里さんのこのエッセイでも、この簡単な方法が使われました。

 >> https://ncode.syosetu.com/n3630fb/26/


 TS作品の最後の更新時間から判断してみたらこんな結果は得られます。


  図4.1

挿絵(By みてみん)


2ヶ月:88.60%

3ヶ月:86.78%

4ヶ月:85.40%

6ヶ月:82.36%

9ヶ月:78.52%

1年:75.61%

1.5年:69.75%

2年:64.10%

3年:52.67%


 この方法で判断してみたら、たとえ3年をエタの基準に使っても半分以上のTS作品はエタっているということになってしまうようです。


 では同じ方法でなろうの全部の作品のエタった割合も計算してみましょう。


  図4.2

挿絵(By みてみん)


2ヶ月:95.84%

3ヶ月:94.58%

4ヶ月:93.28%

6ヶ月:90.74%

9ヶ月:87.25%

1年:83.84%

1.5年:77.67%

2年:71.46%

3年:60.70%


 全体の作品を見ると、どの基準でもTSだけ見る場合よりも、エタっている作品の割合が高いです。つまりTS作品はエタりにくいということです。


 どうしてこうなるか? 多分、人気度……つまりポイントやブクマ数に関係があるのです。


 試しにポイントとエタった割合の関係について考えてみましょう。


 まず『エタ』の定義ですが、これからは簡単に『1年』を基準にします。連載が終わっていないまま1年くらい更新を放置していたら、やっぱりほとんどエタったと見做(みな)してもいいでしょう。


 こんな定義を使って、改めて1話の図1.3の円グラフを描いたらこうなります。


  図4.3

挿絵(By みてみん)


 どうやら短編と完結作品に合わせて全体的見てもエタっている連載作品は半分くらいですね。


 では総合ポイントの範囲で分けてエタっている作品の割合を描いて見ましょう。


  図4.4

挿絵(By みてみん)


 思った通り、ポイントの高い足品の方はエタる割合は低くなりますね。


 しかし最高ポイントのところは50%ですって? ちょうど50%ですね。調べてみるとその範囲は2作しかないからです。


 1作はもちろん総合ポイント1番の『賢者の弟子を名乗る賢者』です。この作品は今でも更新しているからエタる気配はないはずですね。


 そしてもう1作は、総合ポイント2番の作品です。この作品のデータも見てみましょう。


タイトル:

 Only Sense Online

作者名:

 アロハ座長

総合ポイント:

 194925

ブクマ数:

 71548

感想数:

 4143

レビュー数:

 12

初回掲載日:

 2012-03-05 22:18:55

最終掲載日:

 2019-04-19 18:00:00


 この作品の『最終掲載日』から見ると、やっぱり2年以上更新が止まっています。でもこれは人気作家の書籍化作品だから、いつかまた戻って更新する可能性はあるはずですね。


 ポイントの効果はなろう作品全体共通です。試しに同じことをなろう全部の作品にやってみて、TS作品だけの場合と比べてみます。


  図4.5

挿絵(By みてみん)

 

 左の方は図4.4と同じヒストグラムですが、区切りが違うだけ。真ん中は全部の作品の結果。そして右の方は左わる真ん中です。


 結果を見たらやはりポイントをたくさんもらえれば、どんな作品でもエタりにくくなります。


 つまりTS作品がエタりにくい理由の一つは、人気になってたくさんポイントをもらったからでしょう。


 もちろん、ポイントだけでなく、ブクマ数や感想数などもそうです。


 ブクマ数で区切ってヒストグラムを描いても同じような結果です。


  図4.6

挿絵(By みてみん)


 それと、感想数も同じです。


  図4.7

挿絵(By みてみん)


 そしてもう一つ大切な要因はやっぱり本文の文字数ですね。


  図4.8

挿絵(By みてみん)


 やはりすでにたくさん書かれたら、途中で()めたりする可能性は少なくなりますね。


 次は登録必須キーワードの影響についても考察してみましょう。


 ここでそのキーワードが付いている場合のエタった割合と、付いていない場合のエタった割合を比較してみます


 結果はこのように表記します。


 付く/付かない = 比率


R15かどうか:0.737/0.805 = 0.915877

ボーイズラブかどうか:0.770/0.754 = 1.022173

ガールズラブかどうか:0.723/0.770 = 0.938793

残酷かどうか:0.743/0.776 = 0.957077

転生かどうか:0.680/0.794 = 0.856079

転移かどうか:0.714/0.765 = 0.933352


 結果から見ると『ボーイズラブ』が付いているとエタる割合が高くなりますが、あまり大した違いがあるわけではないです。


 他のキーワードが付いている方はエタる割合が少し低くなるようですが、比率0.9くらいだけで影響が大きいとは言えません。こり中で一番関係あるのは『異世界転生』キーワードです。異世界転生ものはエタりにくいですね。




 最後に、機械学習(きかいがくしゅう)を使ってそれぞれの値の大切さを分析してみたいです。


 今回使う手法は『ランダムフォレスト』です。このエッセイも同じものを使ったようです。

 >> https://ncode.syosetu.com/n2628fr/5/


 詳しくはあっちのエッセイやグーグルを参考に。


 簡単に言うとランダムフォレストは、ランダムで『決定木(けっていぎ)』という樹がいっぱい植えられる(フォレスト)です。


 決定木(けっていぎ)もランダムフォレストもよく分類のために使う機械学習の手法です。そしてこの手法のメリットの一つとして、『各値の大切さ』は計算されることです。


 ここでランダムフォレストを使って、どの値が一番エタる可能性に関わるか分析してみます。


 考慮する変数は:

 - 総合ポイント

 - ブクマ数

 - 感想数

 - レビュー数

 - 本文の文字数

 - R15かどうか

 - ボーイズラブかどうか

 - ガールズラブかどうか

 - 残酷かどうか

 - 転生かどうか

 - 転移かどうか


 その結果は重要度の数字で表示します。高いほど重要(つまりエタる可能性に影響を与える)ということ。


本文の文字数:0.3251

総合ポイント:0.2255

ブクマ数:0.1976

感想数:0.1043

残酷かどうか:0.0253

ガールズラブかどうか:0.0230

転生かどうか:0.0224

転移かどうか:0.0209

R15かどうか:0.0201

ボーイズラブかどうか:0.0181

レビュー数:0.0179


 もっと比べやすいように、数字を並べて棒グラフで値の違いを見せます。


  図4.9

挿絵(By みてみん)


 一番大切なのはやはり本文の文字数です。長い作品はエタりにくいのは当たり前ですね。その次は総合ポイントとブクマ数。そして感想もある程度影響あるようです。そして登録必須キーワードやレビュー数はあまり影響がないようです。


 『本文の文字数』は作者の努力次第ですが、『総合ポイント、ブクマ数、感想数』は読者によって大きく変わるものですね。




 結論から言うと、ブクマも評価ポイントも感想も作品がエタらせないために必要な(はげ)みです。


 確かにこれは『ポイントクレクレ』をよく見かけるという理由にもなりますね。直接『ポイントくれないとエタりますよ』と書く作者はあまりいないと思いますが、実際にそう考える作者も多いでしょう。読まれない作品を書き続ける気力なんてやっぱりなくなりますね。


 というわけで、これを読んで気に入っていただいたら、ブクマと評価と感想お願いします。(結局どさくさに(まぎ)れて、ポイントクレクレ!)


 次回はジャンルに関する考察となります。


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