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無題のシナリオ。~ぼくとあの娘のTRPGリプレイ~  作者: 蒼蟲夕也
3章 ファンタジー編『終末の再会』
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第43話 生死の境で

――状況をまとめます。現在、死にかけた黒装束Bが一人、無傷の黒装束(隊長)が一人。


A「対するは、無傷のシュリヒトに、毒を受けた正義、か」


――あと、隠れている一郎です。ではラウンド巡って、正義から。


B「では……やっぱり、魔法がええかな。ファイアの巻物を、死にかけてる黒装束Bに」


――いいでしょう。では巻物から、火球が勢いよく飛び出します。

 ダメージは……【シークレットダイス:??】 ダメージは、2……ふむ。

 では、Bは生き残ります。


B「え? い、生き残ったん?」


――はい。


B「んんん? 判断ミスったかな?」

A「ああ、GMがダメージロールを担当するって……そういうことか」

B「え?」

A「実際のところあたしたちは、どういう計算式でダメージを受けているかがわからない。プレイヤーは場数を踏んで、どの敵にどれくらいの魔法耐性があるかを推測しながら戦うしかないんです」

B「そっか。魔法は100%ヒットするけど、そこを見極めなあかんっちゅうことか」

A「ちなみにGM。相手の見た目で、種族を判断することはできますか?」


――できませんね。何せ相手の顔は、黒装束で覆われています。


A「でもドワーフとホビットなら体型的に、ぱっと見でわかるのでは?」


――少なくとも、その2種族ではないですね。彼らの体格はおおよそ、正義やシュリヒトと同じくらいに見えているでしょう。


A「そっか。以前酒場で喧嘩したドワーフが再び現れたかと思ったんですが……」

B「考えてもしゃーないな。うち、次のターンでサンダーを打つさかいに。それなら確殺できるはず」

A「ですね」


――次、シュリヒトのターン。


A「うーんとうーんと。これ、どっちから始末すべきか……」

B「普通のRPGなら、雑魚散らしが正解やけど。……このバランス、やられるまえにやれ系な気がするんよね。ボスから叩く?」

A「そうですね。敵の攻撃を受けるのは、シュリヒトがいいでしょう。では隊長さんに《必殺剣》!」


――シュリヒトが気合いを入れると、ロングソードの刀身が金色の輝きに包まれます。


A「これが……シュリヒトが一生懸命がんばって覚えたスキル……! どおだ!? 【ダイスロール:7(+8)】 うわー! マジか! 外れた!」


――では、渾身の一撃は空を切ります。


A「むぎゅー!」


――それでは、ふらふらの黒装束Bのターン。彼は5メートルほどその場から離れて、懐から何か丸薬のようなものを取り出し、ごくりと飲み干します。【シークレットダイス:??】 どうやら、少し力を取り戻したようですね。


A「あー! 回復するタイプの敵キャラ! きらいきらい!」


――長い人生、厭な人を相手にしなくてはならない日も来ます。

 続いて、黒装束の隊長が、不気味な笑い声を上げながらシュリヒトに襲いかかるでしょう。

 攻撃は……《連続攻撃》ですね。


A「え!? 《連続攻撃》!?」

B「知ってるん、Aちゃん」

A「ええ……たしかそれ、サブアクションを消費して二回攻撃する技……」

B「まんまと敵の間合いに飛び込んでしもたっちゅうことか」


――【シークレットダイス:??】 攻撃は命中。ダメージは、8です。さらに、「毒:1」を蓄積させてください。


シュリヒト「まじか。こいつ、強い」


――では、正義のターン。


B「雑魚かボスか。雑魚かボスか。……雑魚かボス、雑魚かボス……!」

A「が、がんばって、ぼたんちゃ……じゃなかった。Bちゃん!」

B「ぼ……ボスで! ちなみにGM、ウォーターの巻物って、どういう感じの効果でしょうか」


――それはさすがに、判定不要で気づいていいでしょう。ウォーターは、栄養のある水球を生み出す魔法です。敵にぶつけることもできますが、基本的には、回復系の魔法ですね。


B「回復系やったんかい! いらん!」

A「いや! ちょっとまってください! ウォーターをあらかじめ敵にぶつけることによって、サンダーの威力が倍増したりしませんか?」


――そうですね。

 水を全身に被ると、火系魔法の威力が減少して雷系魔法のダメージが強化されます。


A「ですって。どうします?」

B「うーん。……いや、隊長さんがサンダーに対する耐性をもっとる可能性がある。そのために2ターン使うんは危険やと思う」

A「あ、そっか」

B「ただ、同じ魔法っちゅうのも芸がない。……アイスで攻めよか」


――了解です。

 正義がアイスの巻物を広げると、その中から氷の飛礫が飛び出すでしょう。【シークレットダイス:??】 ダメージは……7、ですね。


A「えんぴつ2本振って、なな。高いような、低いような……。これ、マイナス補正がかかってるのかな?」

B「いや、かかってへんと思う。2D6の期待値は7。たぶん、こいつの弱点、普通に氷系なんやろ」

A「そっかあ。……ところでBちゃん、きたいちってなにー?」

B「Aちゃん、もっと学校来なさい」


――それはそう。


A「ああ! みんなに責められる! あたしに力を貸してくれ! 子供系ユーチューバーのみんな!」


――さらに、勉強ができないシュリヒトのターン。


シュリヒト「なんか、神の声に侮辱された気がした。……そんな怒りを込めた、《必殺剣》! 【ダイスロール:6(+8)】 ……あ、あれー?」


――では、再びシュリヒトの攻撃は空を切ります。


A「嘘でしょ!? ちゃんと【3D6(えんぴつ3本)】振ってるのにっ」

B「うふふ。……TRPGって、こういうこと、よくあるよ」


――ですね。

 ちなみに、二人に毒のダメージが入っています。

 このターンの二人の体力は、【正義:5、シュリヒト:4】という感じ。


A「これ、やばいってマジで」


――黒装束Bの攻撃。彼は、容赦なく正義を攻撃するでしょう。


B「えーっとえーっと、ちょっとまって? ほんまにほんまに、終わってしまうのでは?」


――命中判定。成功。


B「ちょっとまって! ”女神の寵愛”をもう一つ使います」

A「あ、でも……」


――では、もう一度命中判定。成功。


B「ぐぬぬぬぬ……」

A「ナイフは命中率が高いから」


――ダメージ判定。……お。これはついています。0ダメージですね。


B「学生服すら破けない、へにゃちょこナイフとは?」


――そして本命。黒装束(隊長)の攻撃です。


A「これ、かなりやばいのでは……?」


――と、その時でした。


『BOOOOOOOOOOOOOOOOOO!』


 ……と、トラックが、怪物の悲鳴のような音を上げたのは。

 見ると、運転席に座ったイチローがクラクションを鳴らして、注意を引いてくれたようです。


イチロー「負けるな! がんばれ!」


――そんな、彼の応援の声が聞こえてきますね。

 結果的に、黒装束(隊長)はこのターン、身動きできません。


正義「やれやれ! 因縁のトラックに命を救われたか!」


――とはいえ、相手もプロです。二度と同じ手は通用しないでしょう。

 ターンが巡って、正義の行動を指定してください。


【To Be Continued】

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