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無題のシナリオ。~ぼくとあの娘のTRPGリプレイ~  作者: 蒼蟲夕也
3章 ファンタジー編『終末の再会』
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第33話 ドワーフの若者

――それで、二人はその後、どうしますか?


B「まだ調べてへんとこは、酒場と雑貨屋、か。あ、ちなみにGMはん、ここでの探索に時間制限とか、ございます?」


――ありませんね。ただ、同じ場所を二度探索することはできないものとします。


B「あい。……ほな、順当に酒場から行こぉ」


――承知しました。

 酒場は薄暗く、まだ早い時間であることも手伝ってか閑散としています。

 手狭な建物内には丸テーブルがいくつか並んでおり、その一つに、昼間からエールを傾けている客が座っていました。


正義(B)「昼から、酒。きっとろくでもないやつやろなぁ」


――酒飲みは、どうやらドワーフ族の男性のようです。ドワーフとは、ヒューマンよりも背が低く、肩幅が広く、頑強な種族です。

 彼に関してさらなる情報を得るには、”知力”判定を。難易度は”難しい”、15以上で成功ですね。


B「ほな、うちが振るべきか。【ダイスロール:12(+8)】……お。クリティカル」


――ではあなたは、このドワーフが成年してから十年ほどの若者であることがわかります。また、どうやら彼は、この辺りの地元出身でもなさそうだ。この年で群れを離れたドワーフは往々にして一攫千金を夢見ていて、父祖の名に強い反感を覚えていることが多い。


A「……反抗期、ってことかな」


――そういうことです。

 彼はいま、何やら平べったい箱を色んな角度で眺めていますね。


B「平べったい、箱? 板ではなくて?」


――はい。板に近いですが、間違いなく箱、ですね。


B「転移者に、雑貨屋。もめ事。ドワーフ……ふーむ。どうやろ。たぶん、あれやと思うんやけども……はてさて」

A「え、え、え? どこにわかりみポイントが?」


――ではさらに、”五感”判定。難易度は”普通”、12以上で成功ですね。


A「じゃ、シュリヒトが。【ダイスロール:7(+12)】。ちょーよゆーの成功です」


――シュリヒトは、ドワーフがぶつぶつと何かぼやいていることがわかるでしょう。


ドワーフ(GM)「ああ、くそ……。あの雑貨屋の店主、こーゆー複雑なもんは、ぜんぶドワーフが扱えると思いやがって……。だいたい、異世界のからくりなんて、これっぽっちも使い方がわからねえっつーの。……せめて、ボタンらしいもんでも、見つけられりゃあ……」

正義「やあ、兄ちゃん。ちょうしどう?」

ドワーフ「おん? なんだい、あんた」

正義「なんやそれ、ずいぶん苦戦してるみたいですねぇ。なんなら、手伝いましょか?」

ドワーフ「はあ? いきなりなんだよ。……ああ、あんた”転移者”か」


――それでは、”転移者”の正義はもう、気づいていてよいでしょう。

 ドワーフがぺたぺたと触っていたのは、タブレット端末の箱のようです。


B「箱入り……? ああ、だから苦戦しとるんか」


――そうですね。彼は、タブレットの箱そのものに、何かの仕掛けがあると勘違いしているようです。ちなみに箱はまだスリーブも破られていない、ほぼ新品の状態でした。


A「あたし、タブレット端末ってちょっとよくわからないんですけど……iPad、的なもののこと?」


――そうですね。なんならそのまんま、iPadだと思ってくれていいです。箱に起動画面が印刷されてるようなやつ。


B「ねえ、GM。ちなみに、その手のタブレット端末はこの世界において一般的なものなんですか?」


――いいえ。この世界は、そこまで文明が発達しておりません。


B「なるほど。貴重な代物なんやね」


――さらに、”転移者”である正義は、以下の情報を理解してもよいでしょう。

 異世界転移者は、元の世界から持ち込んだものをなにより大切にするものです。そんなものを、誰かにおいそれと手渡すとは思えない、と。


A「はあはあはあはあ! さすがにわかってきましたよ……つまり……」

B「うん。やっぱり、もめ事を起こしたのは”転移者”やない。こっち側の人間……恐らく、雑貨屋の店主も無関係やないってこっちゃ」

A「なるほど。……ちなみにこの情報、シュリヒトも気づいていいですか?」


――そうですね。仲良しの二人は、目配せだけでおおよその事態を把握したでしょう。


シュリヒト(A)「おい。おまえ、それ、ほんとに、ただしい方法で、手に入れたんだろーな?」

ドワーフ「え?」


――するとドワーフは、目をぱちくりさせて、


ドワーフ「そうじゃねーの? おいらは単に、これの使い方を調べてるだけだぜ?」

正義「なるほどな。……なあ、ドワーフのあんちゃん。ぼくたちはいま、この村のもめ事を解決しにやってきた”冒険者”なんやけども。その箱、ちょいと貸してもらえへん?」

ドワーフ「えっ。いや、さすがにそういうわけにはいかんよ。あんたがもめ事の解決を依頼された”冒険者”なら、おいらはこの板の調査を依頼された”冒険者”だからな」

正義「ふむ……ほな、こうしよか。ぼくが、この板の使い方を教える。きみはそのついでに、これを貸してくれればええ」

ドワーフ「そういわれても……参ったなあ」


――ドワーフの男は、苦虫を噛みつぶしたような顔つきです。

 彼を説得するには、”精神力”判定で説得する必要があるでしょう。


B「あら、こまった。うち、1かぁ」

A「あたしが代わりにやりましょうか?」

B「いや……それは、どうなんやろ」


――今回の場合、タブレット端末を受け取るのは正義です。シュリヒトが代わりに説得するのは無理でしょうね。


A「ぐぬぅ。……まあ、ケチケチしてもしょーがないし、ここはポーション飲んでおきましょ」

B「せやね。……ちなみに、《節約術》を発動させるので、ポーション一個で二回分とします」


――はい。


B「【ダイスロール:5】 まず5点回復。……さらにもいっちょ、【ダイスロール:5】 はい全回復」


――では正義は席に座って、お酒代わりにポーションをぐびぐびとやります。

 店で持ち込みの飲食をしているので、店主はちょっと厭そうな顔をしていますね。


B「まあ、それは無視する……として……」


――難易度は”普通”。合計12以上で成功です。


B「はいな。【ダイスロール:9+8】 まあ、余裕やね」


――ではドワーフは、納得してそれを貸してくれるでしょう。


B「ちなみに、とーぜん正義は、判定なしでタブレットの使い方ぐらいわかります、よね?」


――そうですね。正義はスマホを持っていますので、問題なく使うことができるでしょう。

 とはいえ、ダイスはちゃんと振ってもらいます。現代人だからといって、みんなiPadを使えるとは限りませんので。


B「………。りょーかいです」


――”転移者”の補正ありで”知力”判定、難易度は”超簡単”です。


B「ほな、ファンブル以外で成功、か。【ダイスロール:2】 ……あ」

A「あ」


――あ。


B「……なーんか、厭な予感がしたんよねー」


――では正義は、タブレット端末の箱を取り落としてしまったばかりか、思いっきり踏んづけてしまうでしょう。

 ばき、と、箱の中身がひしゃげる音がします。


正義「……あちゃー」

ドワーフ「なにやってんのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!? あんたああああああああああああああああああああああ!?」


【To Be Continued】

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