魔術大会1日目 ︰団体戦予選①
今回から魔術大会編です!新キャラもどんどん登場します!それではどうぞ!
「選手宣誓!」
「宣誓!私達――――――――」
あれから1ヶ月、今日はこれから1週間かけて行われる魔術大会の1日目である。今私たちは会場となる第一演習場、通称コロシアムの中心で他の代表者に混じって整列している。
代表に選ばれてからというもの、私、ジーク、アランの3人は日々修練を続けてきた。特に団体戦の方は3人の連携なくしては成り立たないので、互いの魔法や剣術、性格についてまでよく教え合い色々と策を練ってきた。策と言っても、段取りを事細かに決めたというよりは戦うための「ネタ」を蓄積したという方が正確かもしれない。
「あーやべぇなんか緊張してきた」
「うん僕も!緊張するよ緊張!」
「そのノリのどこが緊張してるんだよ!」
「今日もアランのツッコミは冴えてるね、将来が楽しみだ」
「俺は漫才師志望じゃねえ!」
「ほら、そんなことよりあそこでマリーが満面の笑みで手振ってるよ」
「え!どこだ??」
「ごめん嘘」
「っ〜!くそっまたやられた!」
「アランは相変わらずわかりやすいね!」
私達は前よりも仲良くなれたと思う。結果アランいじりが日常化しているが。
「そんなことより!団体戦は今日だよな?」
「うんそう、1日目の今日が団体戦で、3日目と5日目が個人戦。」
「つまりアランは今日が山場だね!」
「おう!やるからにはとことんやってやる!」
「うんその意気だ!僕とカナは3日ともあるから長丁場だけど頑張ろうね!」
「うんそうだね」
団体戦も個人戦も学年別のトーナメント形式で行われる。各学年クラスはA~H組までの8クラスまであり、団体戦は各クラス計8チーム、個人戦は8クラス×2人=16人で戦う。団体戦は1位が160点、2位が140点、3位が120点、4位が100点、それ以外(つまり予選敗退)は70点である。個人戦は1位が90点、2位80点、3位70点、4位60点、準々決勝進出で40点、予選敗退で30点だ。賞は総合、団体戦、個人戦で各上位3組(個人戦は3人)に与えられる。
なお1回戦の対戦相手はクジで決まる。団体戦と個人戦の日程が空いているのは、他の日は他学年の試合があるからだ。
試合のルールは魔法使用可、武器防具持ち込み・使用可の割となんでもありだが、禁忌魔法・呪法・魔法具等の使用は禁止されている。まあそんなことできる生徒などまずいないと思うが。
勝利条件は先に相手全員(個人戦なら相手)を戦闘不能にするか、決められた枠の外に出すか、降参させるかのいづれかにすることだ。制限時間は30分で、制限時間が過ぎても双方選手が残っていた場合はその人数が多い方が勝ち、それも同じならどっちが優勢だったかなどを審判が判定して勝敗が決まる。つまり引き分けは無しだ。
団体戦に関して言えば、絶対に相手を全員落とす自信があるならいいが、そうでなければ強いやつが1人でも残っていればいいという訳では無いため、チームの総合力が問われる競技だ。
私たちA組代表は他クラスと比べても地力は相当ある方だ。3人の得意とする分野はバラバラである。よくいえばバランスが取れているが、悪くいえば全員に統一化した戦略を取りづらいので、互いの能力の擦り合わせやその場での臨機応変な対応が重要になってくる。
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長い開会式が終わり、まもなく団体戦の予選が始まる。くじの結果私たちは第3試合にD組と対戦することになった。
「それではお待たせ致しました!魔術大会1日目、1年生団体戦を開始致します!!」
その言葉にワーーー!!っと歓声が上がる。
「司会・実況は放送部3年、ダリオ・ブロードが担当致します!それでは早速予選第1試合へと移っていきましょう、第1試合はE組対G組です!」
司会者がそういうと選手たちがコロシアムのフィールド内に入場し、コロシアムの中央上空に浮かぶスクリーンにはクラス名と選手たちの写真、選手の名前が写る。数日前にカメラのようなもので撮られたのはこれのためだったのか。正直ちょっと恥ずかしい。
そしていよいよ試合開始だ。
「選手の入場が完了しました!それでは参りましょう!制限時間は30分、始め!!」
「ファイアボール!」
「グランドアーミー!」
試合開始の合図と共に選手がいっせいに魔法を繰り出す。双方特別作戦がある訳では無いようで、ほぼほぼ乱戦状態だ。
「すごい迫力だね!」
「そうだね、やっぱりみんな入学当初より魔法の扱いが上手くなってる気がするよ。代表だから特にうまいっていうのもあると思うけど。」
「あの中のどっちかと当たるかも知れねえからしっかり見ておかねえとな!」
「隙あり!ファイアボール!」
「うわあああ!!」
「おおっと!G組1人ダウン、失格だ!」
選手を観察している限り、剣を使おうとする選手がほとんどいない。間合いを詰めるのが怖いのか、単純に魔法に自信があるのか、みんなひたすら攻撃魔法を打ちまくっている。そうすると完全に魔法の威力勝負なので、自然と全体的に魔力の高く傾向が闇寄りのE組が優勢となる。
「ウインドショット!!」
「アースウォ…くそっ!」
「E組○○選手のウインドショットが炸裂しG組が場外へ!」
実際E組がだいぶ押している。試合開始から15分経った現時点でE組は1人だけ場外、G組は1人は戦闘不能、1人は場外で残るはあと1人だ。
「ファイアランス!」
「ウインドカッター!」
「ぐはっ!」
勝負あったようだ。
「G組全員失格!勝者E組!」
「よっしゃ!」
「やったぜ!」
――――――――――――
「いやー凄かったね試合!」
「そうだね」
「カナはあの試合見ててどう思った?なんつーかこう…選手の傾向とか、あいつらに勝つにはどうするかとか」
「うーんそうだな、とりあえずアランが結構キーになりそうってことはわかったかな」
「俺??」
「うんそう。さっきの試合、結局誰も剣を使わなかったでしょ?帯刀はしてたのに。」
「それは剣術が苦手なんじゃ?」
「私も最初はそう思ったんだけど、実は前にG組の剣術の授業見たことあって、代表の人覚えてたから観察してたんだ。そしたらアランやジーク程でないにしろ結構うまかったよ。それならどうせE組に魔法で負けそうなんだから、多少賭けでも剣で仕掛けた方がいいと思わない?」
「えーと…そうするとどうなるの?」
「要するに剣術スキルがある程度あっても、いざ実践になったときに使える人間は限られてるってこと。だから剣術で実践慣れしてるアランが前に出れば良い牽制になる。確かアランは道場の師範のお父さんに散々しごかれてたんだよね?」
「なるほどな!そーそー、父ちゃんに比べりゃ学院の生徒なんて可愛いもんだぜ」
「ハハッ!頼りになるよ。でももちろんそれだけじゃ厳しいから、残りは私たちでカバーしないとね?ジーク」
「うんそうだね、頑張ろう!」
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「さあでは皆さん!続いて第2試合はC組対H組の試合です!」
「それでは始め!」
――――――――――― 続く
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次回はいよいよカナ達が試合に出場します!