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期末テスト②

「…なあカナさん、その積み上がってる10冊のノートはなんだ…?」

「ああこれ?勉強用のノートと授業用のノートだよ。授業ノートは科目ごとに分けて使ってるだけで全然埋まってないから、全部埋めてあるのは5冊だけだけど。」

「え、けど期末テストあるの忘れてたって…!!」

「うんそうなんだけど、入学前から暇なときに勉強してたらいつの間にこんなになってた。」


私はこの世界に来てからもいうもの、時間が空いたときは馬鹿みたいに勉強していた。というのも、この世界はできそうな娯楽がほぼ無いので、推薦で早々に合格した私はやることがなかったのである。この世界(こっち)で娯楽と言うと、レスリングにアーチェリー、狩り、トランプ、チェス、バックギャモンなどで、私が前世でよくやっていたテレビゲームと比べると1人で"よしやろう"と思ってすぐできるものがない。


他にやることと言えば小説を読むくらいだが、転生してきてからこちらのことがいくらもわかっていないのにフィクションの物語を読むと本当に混乱するので、もうそれだったら魔術書や歴史書を読んだり、学院の授業の予習をやったりした方が何もしないより今後のためになるしちょうど良いと思ったのだ。


その結果魔術大会とその前後を除けば1日あたり平日は2時間、休日は6,7時間は勉強していた。それと別個に魔法の練習もしていたので、それも勉強の1種として扱ったら大学受験のとき並に勉強していたことになる。頑張った、私。


「まじかよ…」

「とは言っても今回の試験範囲と直接関係ないのも割と混ざってるから、試験勉強頑張らなきゃいけないことに変わりはないけどね」

「いやもうなんて言うか…頑張るよ、俺」

「うん、その意気だね!」

「いやでも、頑張りはするけどよ、もしかして赤点とったら留年か…?」

「1年間で3回あるテストの平均でだけどそうなるね」

「う…」

「でも、確か魔術大会の代表者は多少大目に見てくれるらしいよ!魔術大会って代表かそうじゃないかで時間の取られ方全然違うから…」

「お、ほんとかそれ?ならすげー助かるんだが」

「あ、そういえばそんなこと言ってたわね!なんでもすごく強いのに勉強が苦手な生徒が魔術大会の準備に追われたせいで勉強できずに酷い点数を取って、それが原因で留年したのがきっかけだとか…」

「他人事とは思えねえな」

「なるほど、そういうことならちょっと安心だね」

「だな」

「じゃあ、そろそろ勉強始めようか」


――――――――――――


そこから私たちは結構ガッツリ勉強した。今日は初日ということもあり、全ての科目を満遍なくやった。


今回の期末テストの科目は5つ、数学・魔法工業理論・王国史・国語・帝国語の5つだ。前世のテンションで言えば国数理社英みたいな感じである。


数学はそのまま数学だが、こちらの数学は前世に比べて正直だいぶレベルが低い。科学の代わりに魔法でなんでも解決しているので、ごく一部の人間(研究者・数学者)を除いてお金の勘定が出来れば生きていける。魔術学院は王国最高峰の学校なのでもう少し難しいこともやるが、それでもせいぜい中学~高校基礎レベルだ。


魔法理論は、魔法工業理論と魔法生活理論に分かれており、それぞれ工業と日常生活において使われる魔法の仕組みについて学ぶ。数学と比べるとかなり難しいのだが、私の場合前世の理科と被る部分が結構あるのと、そうでなくともテストは授業の内容の割には優しめらしい(サラ先輩談)のでまあ大丈夫だろう。


次は王国史。王国史は文字通り前世の日本史の王国バージョンだ。これがなかなかの鬼門(きもん)である。内容自体は特別難しいことは無いのだが、いかんせん私の場合こちらの世界に来てから日が浅い。一応入学前からこの世界を知るためにも意識して勉強はしていたが、まだ足りていない。それと前世から歴史は苦手だったのだ。


そして最後は国語と帝国語だ。これはちょっと色々な事情が絡んでくる。


そもそもこの世界の言語は前世とは全く違うものである。だが不思議なことに、リアムール王国の言葉は私の脳内では自動的に日本語に翻訳される。これが特に文字だと変な感覚なのだが、しばらくすると慣れてきた。聞き取る分には何故か知らないが口の動きまで日本語に準拠しているのでなんの問題もない。そういう訳でこの世界での"国語"は私にとって前世の"国語"とほぼ同じものである。


それとこれがまた不思議なのだが、帝国語は何故か英語に翻訳される。よって私にとっては帝国語=英語なのだ。正直せっかく王国語が日本語になるなら帝国語も日本語にして欲しいところだが、英語でも翻訳されるだけうんとマシなのでこれで良しとしよう。というか、"日本語に翻訳して欲しいな" "そもそもこれ誰が翻訳してるんだろう?"とか考え始めたらキリがないし色々怖くなってきたのでやめた。


「カナは王国史だけ苦手みたいだけど、他はほぼ完璧だね、特に数学とか!」

「そういうジークは全科目満遍なくできてるね」

「私は全然だわ…」

「いや、マリーさんが駄目なんじゃなくて2人ができすぎなんだよ…」

「マリーは数学だけどうにかすればかなり取れると思うし、アランも最初よりはわかるようになってきたんじゃない?今から頑張れば何とかなるよ」

「うう…カナさんはそんなにできるからそういうことが言えるんだ!俺みたいな奴の気持ちなんて〜!」


アランが机を叩きながら芝居がかった口調で言う。


「いや、私も成績悪かった…というか、数学で赤点取ったことあるし気持ちは分かるよ。」

「「「え…」」」


"カナが赤点を取る数学のテスト"を想像して背筋が凍る想いをしたアラン、マリー、ジークの3人であった。


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