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島左近

島左近(左近):「殿。先程から何独り言を呟かれているのでありますか?」


私(三成):(あれは誰ですか?)

所員:(島左近であります。)

私(三成):(あの三成が自身の知行の半分を与えることで釣り上げたあの左近ですか。)

所員:(そうです。あの左近であります。)

私(三成):(因みに今。彼の給料は幾らなのですか?)

所員:(当時と同じ2万石であります。その後、三成の知行も大きくなり現在は19万石を領しているのでありますが、それでも歳入の10分の1以上を彼に与えていることになります。)

私(三成):(チト渡し過ぎの感はありますね……。)

所員:(クビにしますか?)

私(三成):(これまで内政全般を見てくれていた彼を。いくらなんでもそれはマズいでしょう。)

所員:(その代わりが出来る人物である三成が国もとに常駐することになった以上。仕事の被る左近は必要無いように私は思いますが。)

私(三成):(その三成を今。ズブの素人である私がやっているのでありますよ。この状況で、領内のことを熟知し。今後の家康の動きを考えますと、隊を委ねることの出来る左近を今。斬るのは乱暴にも程があります。)

所員:(……領内に引き籠ると仰られませんでしたか?)

私(三成):(引き籠るにしても、攻めて来る側が『ここを狙っても無傷では済まない。』と思わせることの出来るだけの軍事力が無ければ、たとえ宣言したとしましても『中立』を守ることは出来ません。故に武勇の誉れ高い左近の存在は必要です。)

所員:(……口減らしは出来ない。と言う事でありますね……。)


左近:「……殿。如何なされましたか?」


所員:(私の言うとおりにして頂けますでしょうか?)


私(三成)=所員:「左近殿。」

左近:「何でありましょうか?」

私(三成)=所員:「私が大坂常駐による不在の間。国もとの内政全般を見て頂き有難く思っています。」

左近:「これは勿体ないお言葉。」

私(三成)=所員:「引き続き今後もこれまで通りの仕事を。これまで通りの報酬でお願いしたいと考えています。」

左近:「有難き幸せに存じ奉ります。」

私(三成)=所員:「そんな左近殿に1つお願いがありまして……。」

左近:「何でありましょうか?」

私(三成)=所員:「左近殿はこれまで。領内をくまなく足を運んで頂きましたこともありまして、この佐和山管内の地は安定しています。」

左近:「これはこれは……。」

私(三成)=所員:「そのことは勿論良いことなのでありますが、今後も左近殿が領内を。となりますと、領民は『左近殿が!!』となるだけで、『本社の重役がお見えになるから掃除を徹底するように。』と言いました、こちらは普段の様子を見たいだけなのにも関わらず。隠蔽とまでは言いませんけれども、本来の様子を見ることが出来なくなってしまう恐れがあります。」

左近:「たしかにそれは言えますね。」

私(三成)=所員:「そこでお願いなのでありますが。」


……と私(三成)=所員が取り出したのは

三成が愛用している2本の金の角に乱髪をあしらった兜を被り、胸にはこれまた三成の旗印である『大一大万大吉』のロゴが印刷された犬の着ぐるみ。


私(三成)=所員:「今後。領内を巡検される時は、これを着て頂きたいと……。」

左近:「……これを……。でありますか?」

私(三成)=所員:「この犬の着ぐるみを身に纏い、領民の普段の姿をつぶさに観察して頂きまして、『いざ!!』と言う場面で、犬の着ぐるみの正体がバレない形で左近殿に戻って頂きまして。世の悪を退治して頂く。この役割も左近殿には兼務して頂きたいと……。そのように考えております。」

左近:「……まぁ……。殿がそう仰られるのでありましたら……。」


私(三成):(……おい。大丈夫なのか?)

所員:(大丈夫ですよ。当時はコンプライスもへったくれもない。上役が言えば全て通る時代でありますから。)

私(三成):(いやそう言う事では無くて。私が心配しているのは、左近に着せることになった着ぐるみのマスコットのことでして……。)

所員:(なにか問題がありますか?)

私(三成):(……あれは……あれでしょう?)

所員:(左近に下賜したあれは三成をモチーフにした犬のマスコットでしかありませんが。何か問題はございますか?)

私(三成):(……明らかに『これ』のオマージュって言うのがあるでしょう。)

所員:(何を仰られますか。今は安土桃山時代。1599年であります。お客様の感覚は21世紀と言うモノが頭の中に残っているため、もしかしますと。私は存じ上げておりませんが、三成をモチーフにした犬のマスコットに似たモノが存在しているのかもしれません。存在しているのかもしれませんが、今は1599年であります。仮に。仮にでありますよ。お客様が仰られているようなキャラクターが存在しているのかもしれません。存在しているのかもしれません。それは百歩譲って居たとしましても、今は1599年であります。その当時に、私が考案しましたオリジナルキャラクターは存在しておりませんし、仮に居たとしましても当時。著作権などと言う概念は存在しておりません。故に大丈夫であります。)

私(三成):(……著作権云々言っている時点で認めているような気がするのでありますが……。)

所員:(ならば名前を付けましょう。それを聞いて頂きましたら私のこのキャラクターがオリジナルであることを理解して頂けると信じております。)

私(三成):(……聞きましょう。)

所員:(三成が居る佐和山に犬の鳴き声を……)

遮るように

私(三成):(……やめときましょう。十分伝わりましたので。どのように伝わったのかもよくわかりましたので……。これ以上傷口を拡げるのはやめておきましょう……。)


 こうして佐和山に住む犬の設定で領内を巡検することになりました島左近。中身が誰であるのかわからない。正体不明の何か?として活動を始めたのでありますが、領民には直ぐに正体がバレ。

領民:「左近様ですよね?」

の問い掛けに対し、

左近IN着ぐるみ:「まだ名前はありません。」

と必死に自らの素性を明かそうとしない着ぐるみの様子に

(……三成様の指示らしいよ……。)

(……大坂から追放された腹いせにやっているのかな?)

(……もしかして高禄の左近様に。自分から『辞めます。』と言わせるためなのかもしれないよ……。)

と領民から同情される始末。

左近IN着ぐるみ:「……誰も接してくれなくなった……。」

と所在無げに佇む左近IN着ぐるみ……。

こんな郷愁を誘うが故に、近寄り難くなってしまった左近IN着ぐるみの姿に関心を示したのが浄瑠璃作家の小野お通。佐和山愛に満ち溢れた強いメッセージ性を持ち。様々な誤解から生じた立ち居振る舞いの不安定さ。そんな中でも揺るぐことの無い君主・石田三成への忠誠心。をお通が三味線片手に歌い上げた新作浄瑠璃が京の都で評判を呼び、左近IN着ぐるみをモチーフにしたキャラクターグッズがヒットすると共に、これまで遠巻きに哀れまれていた左近のIN着ぐるみの周りには領民の人だかりが出来。全国各地から大量の年頭の挨拶を告げる書状が佐和山に届くことになるのでありました。

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