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長篠前の家康・長篠後の家康

私(三成):(一向一揆との戦いに勝利した家康は求心力を高め、三河。更には遠江へと勢力を拡げるのでありました。そこに登場したのが武田信玄。家康と共同して今川家の領土を分捕り合った両者でありましたが。その過程の段階で、約束とは異なる行動。取ったもの勝ちが見られるなど既に不穏な空気が漂っていた両者でありましたが。この時はまだ信玄と家康の同盟者であります織田信長との関係が良好であったこともありまして、全面衝突と言う事態に陥ってはいませんでした。)

所員:(しかし、信長との関係が修復不能に陥りました将軍・足利義昭の要請を受けた信玄は西上作戦を開始。そのルート上に位置する徳川と三方ヶ原で全面衝突。家康は敗れ。危うく……と言う場面を迎えたのでありましたが。信玄の容態が悪化し、帰国途中。帰らぬ人となったのでありました。その過程の中で、奥三河の諸将は武田軍の圧迫を受け徳川方を離れ。武田の一員として行動を共にするのでありました。信玄の死を確認した家康は早速。武田方となった奥三河の諸将に対し帰順を画策。当初は「何を今更……。」と相手にされなかった家康でありましたが、加増に加え、家康の娘を嫁がせることを条件に奥三河の有力者であります奥平定能・貞昌親子を引き抜くことに成功。多くの奥平一族を味方に引き入れることが出来た一方、引き続き武田方に留まるものも多く存在していました。)

私(三成):(信玄が居ないとは言え。家臣は健在でありますし、何より跡を継いだ勝頼も信玄に負ける劣らず。でありましたので、如何に好条件とは言え。「いざ!!」となった時、家康が頼りになるのかどうかは……。武田方にならざるを得なかった負の実績が家康にはありますから。武田方に留まることになっても不思議なことではありません。)

所員:(実際、1574年の高天神城の戦いにおいて家康は、「援軍を出す」と使者には伝えたけれども軍を起こすことが出来ず。孤立無援となった高天神城は武田勝頼の軍門に降ることになるのでありました。その際、武田方に降るもの。徳川に残るものとに分かれまして。使者として家康のもとを訪ねたものは徳川に残ることになったのでありましたが、家康はその人物に対し「切腹」を命じるのでありました。)

私(三成):(……口封じ……。)

所員:(で。翌年、奥平親子が守ります長篠城も似たような状況に陥ったのでありましたが、幸い織田信長の援軍が間に合いまして武田軍を打ち破ることに成功。東海道筋の情勢が織田・徳川方有利に傾いたあたりから家康の方針が変わります。これまではたとえ対立した時期があったとしましても帰参を許していた。むしろ好条件で持って斡旋していた家康でありましたが、この長篠の戦い以降。再び家康の傘下に収まりたいと願い出た旧臣に対し、家康は厳しい態度で臨むことになります。武田方に留まったほうの奥平一族は勿論のこと。武田に落とされた時の高天神城の城主に待っていた運命は、高齢であった人物を除き須らく「処刑」でありました。)

私(三成):(同じような境遇にありました武田の旧臣は採用し、三河出身のモノは「処刑」……。この違いは何でしょうか?)

所員:(まず言えることとしましては、徳川方に人材が増えて来たため。変な色が付いた。裏切った人物を改めて抱える必要が無くなったこと。特に武田が滅亡したとなりますと三河は安全地帯となりますので。三河に詳しい人物を家康はこれ以上必要とはしていなかった。と……。加えて、当時の価値基準は『家』でありますので、2つの選択肢が迫られた時。どちらに転んでも家を残すことが出来るよう。両方に対しベットすることがよくありました。これは想像の域を出ないのでありますが、長篠の際。奥平一族も同様の方法を採ったと思われます。その両天秤に掛けるような行為を家康は許しませんよ。たとえどのような功績を残したとしましても。それと引き換えに敵方となった一族を助けるようなことはしませんよ。のメッセージの意味も込められていたと思われます。)

私(三成):(家康に対し、全てを賭けたものに対し始めて評価します。その時々の情勢に応じ。火事場泥棒をする人物は認めませんよ。と言う事でありますか……。)

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