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見せしめ

 石田三成と聞いてフト疑問に思った私。

私:「石田三成と仰られましたが。……三成と隠居がどうも結び付かないのでありますが……。」

所員:「たしかに三成は石田家の家督を誰かに譲っているわけではありません。その点では『隠居』しているわけではないのでありますが。ここで言います三成の『隠居』と言うのは豊臣家における立場でありまして……。」

私:「中央政界で辣腕を振るうイメージがあります三成が居城のあります佐和山に居ること自体。珍しいこと。大抵、現地採用の秘書辺りが地元の調整にあたるものなのでありますが。何かあったのでありますか?」

所員:「案内しました1599年の前年に太閤殿下がお亡くなりになられまして。と。もっともその段階での三成は豊臣家の奉行の一人としての地位を確保していたわけなのでありましたが。その1年後のことでしたか。政争に敗れまして。佐和山に……。と言う運びとなっております。」

私:「そのようになった理由を教えて頂けますと、今後のヒントになるのでありますが。」

所員:「直接の原因となりましたのが、1599年の3月3日。ちょうど桃の節句の日に三成と懇意にしていました前田利家が亡くなりまして。その日の夜のことでしたか。三成同様。亡き太閤殿下から薫陶を受けました7名の武将が大坂備前島にあります三成の屋敷に襲撃を掛けて来まして……。幸い豊臣秀頼の家臣のものからの情報により、難を逃れることが出来たのでありましたが。彼らの追跡は執拗でありまして、大坂の地に留まることに危険を覚えました三成は、大坂の地を離れ。豊臣政権における政庁の1つであります伏見城の自分の屋敷に立て籠ることになるのであります。」

私:「三成は完全な被害者ですね。」

所員:「なのでありますが、三成が籠りました伏見の地で政務を担当していました家康が、三成と7名の武将の間に入りまして。そこで出された結論が『三成引退』の裁定でありました。」

私:「……何か腑に落ちないのでありますが……。」

所員:「7名の武将が三成を襲った表向きの理由は『朝鮮出兵時の論功行賞に不満があって。』なのでありまして、間に入りました家康はその見直しに着手することを明言しています。加えて家康は『そう言う事なら仕方ないですね。』と7名の武将の軍事行動について不問とし、更に『そう言う事なら仕方ないですね。』と三成の中央政界からの引退の裁断が下されることになります。」

私:「厳しい内角攻めに怒った外国人選手が、味方の選手を引き連れ追い掛け回して来たにもかかわらず。審判は、投げた投手にだけ退場を宣告する。その投手が三成。と言う事でありますか……。そんなことあり得ないことでしょう。」

所員:「普通に考えればおかしな裁定なのでありますが。仮に。仮にでありますよ。投手に襲い掛かりました外国人選手が所属するチームと、審判が仲間でありました場合。どのような事態が発生することになりますでしょうか?を考えて頂けますと、三成が隠居となりました理由を理解することが出来るかと思われます。三成を襲いました7名の武将の中には、今回裁定者となりました家康と姻戚関係にある武将が過半数を占めております。勿論朝鮮出兵の際。各自不満を覚えたことはあるのでありましょう。これが引き金になっていることは確かなことではあります。確かなことではありますが。だからと言いまして、豊臣政権下におけます重鎮。前田利家が亡くなりましたまさにその夜に。三成を襲撃することは無いと思います。そんなことをすれば、自分たちが処分されることになるのが目に見えていることでありますから。でも、敢行することが出来る。と言うことは、きちんとした後ろ盾があったから。その人物が。」

私:「徳川家康であった。と……。」

所員:「たぶん彼らは家康の居る伏見へ。敢えて三成を逃がした。と見るほうがむしろ自然なことなのかもしれません。」

私:「でも7名の武将は家康に対し、三成の引き渡しを要求していますが。」

所員:「家康がその時、関ケ原を想定していたかどうかは定かではありませんが。前田利家亡き後の政権運営の障害となる三成。所領は家康の10分の1以下の20万石しかありませんので。を大坂城から引き離すことが出来れば良かったわけでありますし、7名の武将にしましても、そこで三成を屠ったところで何のメリットもありません。仮に無罪放免となりましても家康はともかく他の大名との折り合いがつかなくなる。三成と懇意にしている大名も多数存在していますので、その場で三成を。とは考えていなかったと思われます。で。その後、家康は大坂城の西の丸に居座ることになります。」

私:「家康に逆らうとどうなるかわかっていますよね……。を見せつけておいて……。」

所員:「三成は見せしめに利用されたわけでありますね……。」

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