危機感を抱いているのはむしろ
所員:(で。前田利長であります。)
私(三成):(秀吉の天下取りに貢献し、80万石を超える所領を有した豊臣家の重臣であった前田利家の跡継ぎ。良いですねぇ。狙い処ですねぇ。)
所員:(せめてもの救いは、太閤である秀吉がこの世を去ったこと。秀頼がまだ幼君であったこと。)
私(三成):(秀吉の遺言通り、大坂城で秀頼の名前を使いたい放題すれば良いような気も……。)
所員:(……利長に、秀頼の名を騙るだけのメリットが無かったのでありましょう。それよりも心配だったのが、利家亡き後の前田家のほうであった。と……。)
私(三成):(室町幕府の政治に参加するため、京の都に常駐していたけれども、応仁の乱で焼け野原となってしまった。そこに居てもしょうがないから。と国もとに帰ったは良いが。幕府の裏付けを失った奴なんか……。と国もとにおける実力者に乗っ取られた守護大名の二の舞となる危険性もありますし、他の大名家に漏れず。秀吉の手が前田家の中にも当然伸びていたと思われますので。まずは国もとを安定させないことには……。)
所員:(そこに来て、『前田利長に謀反の疑いあり』の報。上杉、前田。宇喜多に毛利と言いました家康以外。秀頼の名前を使えるものが存在しない中。であることを思いますと、仕掛け人は当然……徳川家康……。)
私(三成):(増田長盛の名前で発せられておりますが。)
所員:(三成も秀吉時代に散々嫌な役目を押し付けられていたことでありましょうから。今、その立場になっているのが長盛。と言う事なのでありましょう。さすがの家康も目障りだからと言う理由だけで、秀吉のように領土を削ることは出来ませんので。あくまで豊臣家に叛旗を翻している。と言う体は必要なのでありましょう。)
私(三成):(しかし家康は強引ですね……。…………そう言う事なんですね……。)
所員:(どうしました?)
私(三成):(家康は……そうですね……。豊臣家の筆頭家老にあって、250万石を有する大大名。……と言うことは、秀吉から見た場合、秀頼の天下を邪魔するものに映るのは自然なこと。本来であれば武力で持って屈服させたかった相手ではあるけれどもそれは叶わなかった。そんな徳川家を秀吉がそのままにしておくわけはない。ただ幸いにして秀吉のほうが先に寿命が尽きてしまった。秀頼はまだ幼子。うるさい利家も居ない。三成も追いやった。家康自身も還暦間近。当時の平均寿命を超えている。いつ自分の命が尽きるともわからない。当然、秀頼よりも先にこの世を去ることになる。それまでに徳川家を盤石なモノにしなければならない。幸い徳川家には秀忠と言う跡取りが居る。家臣の中に異心のあるものも居ない。国もとを留守にしても大丈夫だ。じゃあ京・大坂にどっしりと腰を下ろして……。)
所員:(残りの大老を全て国もとに帰し、秀頼の名のもと……。)
私(三成):(その権利を利長はみすみす失ったばかりか、言われなき疑いを掛けられ。豊臣家の敵として、侵攻される恐れが出て来た。と……。)




