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こんな世界で君は何を思う?  作者: かかかうどん
第一章 プロローグ
5/30

婚約破棄の裏側 ④

不定期ですので、こういう場合もあります。

本日、二話投稿をしました。

「賢者いいじゃん、賢者。何?賢者に不満?」

「いいえ、賢者称号をいただけること自体には何も、不満はありません。」

「じゃあ、なんで?」

「あなたが気に食わないからです。」

「「「お嬢様?!」」」

 使用人が悲鳴に近い声を出す。


「あらら、やめてあげなよ。彼らがかわいそうだよ?」

「はぁ」

 マリアベルは、ため息をつく。


「あなた達、人払いを。」

「ですが!」

「私の言うことが聞けないの?」

 そう言って、マリアベルは使用人たちを見る。いや、睨んだ。


「失礼します…。」

 侍女長が一礼し、他の使用人も礼をして、扉から離れていく。


「ルーテ、あなたも」

「しかし!」

「ルーテ?」

「っ」

 マリアベルが、微笑みながら言えばルーテは不肖不肖、部屋を出ていき、扉を閉めた。

 そして、部屋の中は、マリアベルと少年と傲慢の使徒である黒い球体だけが残った。


「この後の結末を君は知っているんだろう?」

「ええ、そうですね。私は、リヒト様に婚約破棄をされるのでしょうね?」

「うん、『傲慢』のが見た未来で、君はその王子に婚約破棄される可能性が大きい。」

「可能性?」

「そう、可能性。『傲慢』が見た未来は、所詮未来の可能性にすぎないからね。」

「それは、どれくらいの確率で当たるのでしょう?」

「九割九分ほどだね。」

「それ一般的に十割なのでは?」

「はは、そうだね。だから、僕の提案受けない?」

「例え婚約破棄をされたとして、私が侯爵家から追放される可能性はあるんですか?」

「その可能性も見えたらしいよ。」

「それも、九割九分で当たる未来ですか…。」

「うん。君が、こちらの誘いに乗ってもこれは変わらないよ。」

「賢者でもですか?」

「賢者でもだね。て言うか、賢者だからこそ、侯爵家から追放させることになる。」

「させる?」

「だって、この国は『博愛』の領域だからね。

 ね?『博愛』?」

「ええ。申し訳ありませんが、私たちの協定により追放することになります。」

 そう言って、少年はズボンのポケットから水晶を取り出す。その水晶は青く光り、女性の声が水晶から発せられる。


「使徒様?」

「ええ、初めまして、マリアベル・フベ・クオリスギーベ。声だけでごめんなさいね。」

「いいえ、使徒様はご多忙の身。

 それに、使徒様が市井に姿を見せれば大きな騒ぎになります。」

「ありがとう、マリアベル。」

「ねぇ『博愛』。君からも言ってくれない?」

「マリアベル。『怠惰』は確かに見た目幼いし、口は悪いし、生意気だし、働かないし、いろいろ残念だけど、あなたのその膨大な魔力を操作するには、“賢者”の称号はある方がいいわ。」

 安心を与えるような声で、水晶の声はなかなかひどいことを言う。少年は落ち込み、マリアベルは微妙にドン引きである。


 だが、博愛の使徒は続ける。

「使徒の配下の称号は、ただの形のみではないの。使徒は、配下を強化することができるのだけれど、強化の形は称号によって違うの。賢者の称号は、魔力操作の向上などがあるわ。」

「魔力操作の向上…。使徒様は、私に出て行って欲しいのですか?」

 マリアベルは、ドン引きしながらも、声を絞り出した。


「いいえ、そうではありません。『傲慢』の未来視はほぼ確定。私の賢者の称号はもう与えている者がいます。あなたも、私の大事な守るべき民です。故にこれが最善としか言いようがありません。」

「使徒様でも、未来の改変はできないんですね…。」

「私たちの力は、万能ではありませんから。」

「で、どうする?」

さっきまで落ち込んでいたくせに、今はにやにやしながら尋ねる少年改め『怠惰の使徒』。


「その顔はムカつきますが、それしかないのでしょうね。」

「ごめんなさい。あなたの未来に幸あらんことを…。」


 そうして会談は終わり、二年後婚約破棄を受けるまで、マリアベルの膨大な魔力の暴走を防ぐために、魔力を吸収する腕輪を付けたり、マリアベルは魔力の扱いを上達するべく努力を続けた。

 その過程で、『怠惰の使徒』が彼女に失われた第八番目の属性である『空間』の魔法、転移を教えたのは、ご愛嬌である。


よろしければ、誤字脱字報告、感想などお待ちしております。

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