婚約破棄の裏側 ③
自分は、乙女ゲームのプレイ経験がありませんので、想像と偏見で書いてます。
「ふぅ~~」
侯爵家の一人用のバスタブは大きめで、前世の記憶での庶民感覚のお風呂と比べ、二回りほど大きい。お風呂に浸かりながら私は、息を吐いた。
使徒の存在については、混乱はしているが、息を吐いて落ち着こうと思う。それは、成功したようで、いつまにか肩に入っていた力が抜ける気がした。やはり、お風呂はいい。落ち着くし、考えが纏まる気がする。前世の私も、悩みがあるとお風呂で考える癖があった。
さて、今分かっている情報を整理しよう。
最初に、前世の私についてだ。私は大学を卒業し、そこそこの大企業に就くことに成功した。そこで六年目ほど勤めていたはずだ。そして…、あぁそういう死に方だった。まさか、横断歩道に飛び出した子供を避けようとしたトラックが横転、信号待ちの私のところにトラックの荷台部分の鉄塊が降ってきた。まぁ、痛みなく死んだから良し?とするかな…。
次は、ゲームについてだ。生前と言っていいのか微妙だが、前世の私はある乙女ゲームをプレイしていた。正直、このゲームははずれだった。というか、乙女ゲームとしてクソゲーである。乙女ゲームでよくある、小説を読むかのように進む所謂ノベルゲーム“ではなく”、何をとち狂ったかアクションRPGゲームなのである。このゲームメインは、乙女ゲームを基本にしているんだよな?と疑問を呈したくなるほどに、アクション要素が強過ぎるゲームだ。
主人公であるメリアルは、自由日となっている日に、学校で出された課題として魔物の討伐などを行うのだ。この自由日は攻略対象に話しかけ、共に過ごすことで終了する。逆に、攻略対象と過ごさなければ終わらない。
この魔物の討伐、某狩りゲームを彷彿とさせるものだが、各自由日に対して、クエストが固定である。つまり、一回出たクエストは他の自由日では出ない。後半になれば、凶悪な魔物討伐のクエストが出る上に、各攻略対象のラスボスの悪役令嬢と、“戦闘する”。おい、令嬢?!と言いたい。しかも、このラスボス共、最高難易度の魔物より、ステータスが“高い”…。もう一度言う、おい、令嬢?!
では、ストーリーはというと、各攻略対象にはトラウマみたいなものを持っているみたいだが、克服イベントなんて“ない”。そもそも、プレイヤーからしたら、いつの間にか仲良くなっているんだがレベル…。(自由日の行動なんて、一緒にクエスト受けてるだけだから。)
ストーリー分岐は、最終自由日で選択する攻略対象のみで分岐することが、判明したときは、酷かった。
そして、戦った悪役令嬢を殺す…。
は?そりゃ、切り合いの決闘だから、死ぬでしょ?と言わんばかりの仕様だ。
なぁ、終わらない自由日は?と言いたい。
最後に、使徒については、この際置いておこう…。めんどくさいし。
これらのことを踏まえて考えると、最悪私は二年後婚約破棄を言い渡せられる…。これに対して、悪役令嬢側、つまり私がメリアルに決闘を挑まなければ、とりあえず死なないはずだ。
それが、分かっただけでも良しとしよう。
そうして私はお風呂を出て、どうも夕食を食べる気にもなれずに寝ることにした。
マリアベルは、登場人物が同一であることのみで判断してますが、完全に別物です。
ブリュンラッセルの貴族令嬢が最強生物のドラゴンより強いわけなかろう。
そもそも、魔物討伐の課題なんて、貴族のみが通う学校で出すわけないですし(以下略)
というわけで、ゲームとは一切関係ありません。
なお、今後出てくる、“まさか、ゲームの世界?!”みたいな発言は、発言者の100%勘違いです。
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