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こんな世界で君は何を思う?  作者: かかかうどん
第三章 学園編
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目立たないために

講堂での小さな騒動も含めた入学式を終えて、スーフェン第一騎士学校に入学した面々は、各教室へと散らばっていった。


 スーフェン第一騎士学校は、現代日本で見られる大学のような形ではなく高校、中学の様にクラス毎に教室が割り当てられ、クラスメートと共に勉学に励むという形だ。そのような形式名学校であるならば、何学年であるかが、外見で分かるようにしてあるのがほとんどであろう。


 スーフェン第一騎士学校も、そんな例から外れず男子は黒色の所謂学ラン、女子は紺を基調としたセーラー服である。

 男子の格好なぞ聞かされても困るだけかもしれないが、彼らの胸ポケットにはローマ数字でⅠ,Ⅱ,Ⅲのバッジが付けられている。その色は、左から赤、青、黄の順である。

 女子の制服は、紺を基調としたと言うように所々に赤と白のラインが入っており、その胸ポケットには男子同様のバッジが付けられている。


 そんなわけで、胸ポケットに赤色のバッジを付けた生徒たちは、自らに割り振られたクラスへと赴き、自己紹介などをして交流を深める時間となった。


 怠惰の使徒であるルナもその一人だ。

「ルナちゃんの髪って黒いからうちの制服が良く似合うよね。」

「そうかな~、私はライラちゃんの方が似合うと思うな~。」

 ライラと呼ばれたブロンドの髪を束ね肩から前へと流すようにしていた少女は、褒められその白い頬を赤く染めた。

 

『女子って怖いな~…。』

 怠惰の守護者ルナの相棒である怠惰の魔剣、“影”であるシェイドは、自らの相方の変わり様に驚きを隠せそうになかったようだ。


 彼女が、そのような風に普段の様子と変わった形でクラスメートと接しているのには、勿論訳がある。

 彼女の目的は、“目立たないこと”。そのために必要なのは、注目を浴びないことである。それは、良い意味、悪い意味でもだ。

 目立たたないとは、クラスという小さく閉じられた世界での自分の立ち位置を明確にし、かつクラスメート“全員”にとって害になり得ないと“認知してもらう”ことと、ルナと魔剣シェイドは話し合い、そう結論付けたのだ。


 これは、一考しても難しい。

 普段のルナならば、何を考えているのか分からない無表情がデフォルトなので、認知はされないのだ。なぜなら、何を考えているのか分からないからだ。

 なので、話す、普段使わない表情筋を総動員すると言った普段のルナにとっての重労働を駆使することにしたのだ。


「ここか?」

 だから、ルナとシェイドの背には冷や汗が流れた…。彼女が自分の所属するBクラスに現れたからだ。

「え?あれって入学式の…。」

「代表挨拶の人だよな?」

「綺麗だ…。」

 

 そう。入学式の時に新入生代表として挨拶をした銀髪のエルフ少女が、Bクラスの教壇側の扉を開け現れたのだ。

「主席様が何の用だ?」

「ん?ああ、人を探してるんだ。」

 その少女に、赤い髪をオールバックにした男子が尋ねた。


 どうやら、人を探しているようだ。

「黒か―――」

「モーリス…。」

 

 その声は、続く男子の声で遮られた。

 廊下を見れば、灰色に近い髪色をしたイケメンがいた。普段は爽やかな印象を与える顔立ちだろうが、その顔は今にも泣きそうに歪めている。

「?もしかして、アッシュか?」

「ああ、そうだよ。モーリス。なんていうか、その久しぶり。」


 アッシュと呼ばれたイケメンは、嬉しそうに十人中九人は頬を染める様な笑みをこぼす。

「そう、だな。私が七つの時だから、八年ぶりか…。」

 向けられた銀髪のエルフ、モーリスはそう漏らす。


 まるで、長年離れていた幼馴染に再会した様な、微妙な間が場を覆う。

「モーリス。俺、勤勉の騎士になったんだ。」

「っ!」

 ざわざわ…。

 クラス中が些かざわつく。


 スーフェン第一騎士学校の今季入学生は、“黄金世代”と言われている。

 なぜか。

 それは、入学式の際に公表された“傲慢の守護者モーリス”、“憤怒の賢者タリア”、“フェステリアス・バグデステリアの弟”、そして“最年少で勤勉の騎士となった少年”…。


 つまり、傲慢の守護者へと話しかけているアッシュが、つまり最年少で勤勉の騎士になったということだ。


『どうみる?』

「弱くはない…。」

『は…ね。』

 喧騒に包まれるクラスの中で、ルナは窓際の席を離れ廊下の隅で事態を静観しつつ、シェイドと会話をしていた。モーリスが現れたタイミングで、ルナはライラにトイレだと断りを入れ、廊下へと出ていたのだ。


 ちなみに、ルナとシェイドが弱くはないと評価したのは、アッシュの事である。流石、最年少で勤勉の騎士へとなったものである。

 騎士となれば、その身体能力は上がる。ただ、それは賢者や守護者などの上位の配下程では無い。


「取り敢えず、場所を移そう。積もる話もあるし…。」

 そう、モーリスは告げ、アッシュと共にその場を離れていく。

『どうする?』

「行かない。」

『了解。』



 そんな二人を見送りつつ、ルナはクラスへと戻っていく。

「どうしたの?なんか騒がしいけど?」

「あっ!ルナちゃん!さっきね、傲慢の守護者様が来てたの!」

「え?!あの入学式の?」

「そうそう。」

「え~、見たかったな~。」

 見ていたくせに白々しく、そして残念そうにルナは落ち込み、クラスメートであるライラから励まされるのだった。

本文中の意見は自論でしかないので、気分を害された方すみません。


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