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第八十五睡 招かざる助っ人

「っ……!」


 俺が立ち止まった場所にポラリスさんは降ってきた。ビンゴ。俺は両手を広げる。やっぱり、受け止められるはずない。でも、クッションぐらいにはなれる。


 次の瞬間、俺はポラリスさんを抱きかかえたまま、地面を豪快に滑っていた。目の前はポラリスさんの顔。あまりに美しく、途端に目を奪われた。


 だんだんとスピードが落ちてきて、完全にストップ。摩擦で尻と背中が燃えるように熱い。ポラリスさんの顔を覗き込むように確認する。キュッと閉じていた瞳は、なんとも不思議そうに、ゆっくりと開いた。


「あれ……ウチ、助かって……あっ、アンタ!!」


 久々の関西弁。出身でもないのに気分がフワッと楽になった。


「おいっす、ポラリスさん。パラシュートなしスカイダイビングの感想、聞いていい?」


「アンタ、何で……!?」


「癪な話だが、アイリお嬢様のご命令なもんでね。それに……あんた、ちょっと俺と似てるから……つっ……」


 体が痺れる。慣れねぇ事はするもんじゃないな。ポラリスさんは俺の上に乗ったまま呆然としていたが、痛がる俺を見て、慌てて離れた。


「何しとんねん……ウチみたいな出会ったばかりの何を考えとるか分からん奴を助けるために、ここまでするやなんて……アンタ、どこまでアホなんや……?」


「理解できないか? そうだろうな。とりま、無事で良かったよ」



「いつマでグダグダやってんだァァァ!? ゴミ共が……全員マとメテぶっ潰してやルのデすゥゥゥゥ!!」


 何で急に萌え路線に。


 しかし困ったな。ポラリスさんは助かったとはいえ、依然として最悪な状況であることには変わりない。こっちの攻撃は全く通らない代わりに、向こうの打撃は重く、一発で一人が戦闘不能になるレベルだ。


 何か打開策は……。



「お~~~~い!」


 目ぇ見えてんのかってくらい呑気な女の声。この一言だけで誰だか何となく特定できてしまった俺は、彼女と少し親密になり過ぎてしまったのだろうか。


 答え合わせのつもりで、俺は首をもたげた。そしてすぐにガクリと脱力した。手をブンブンと振りながら満面の笑みで走ってくる、オレンジ髪の女性。何か持ってる。いっぱい持ってる。凄い持ってる。


「なァァァァンなんダよォ、お前はァァァァァァァァ!?」


「いやぁ、そんな情熱的な目で睨まれると照れちゃうな! 依頼された服をあらかた作り終わって部屋を出たら、やたらと城内が騒がしかったから、何かと思えば……これは大変だね! でももう大丈夫! ここはこのクレナちゃんにお任せあれ!」


 なァァァァンなんダよォ、お前はァァァァァァァァ………?



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