第百二十七睡 席替え感
さてさて、体を動かしたから疲れちまったな。一回もボール触ってねぇけど。
これは寝る充分な口実になるな。うん、なる。
ブス姫の家は広く、一人一人に別々の部屋が分け与えられている。
「俺の部屋は……うわ、ブス姫の隣かよ。ヤダなぁ」
「うっさいわね!何よその席替え感!!荷物置いたらとっとと下に降りてきなさいよ!夕食も用意してるから!」
いたせりつくせりでんな。まだ野宿とか一回も経験してないんだけど。こんな甘っちょろい人生でいいのかな。
何回か死んでますけどね。
「もう片方の隣は……うわ、タラ子かよ」
「何ですかそのリアクション。ブス姫さんと同じ扱いされるとか生恥すぎて泣きそうなんですけど」
「うん、それを目の前で言われたアタクシの方が泣きそうなんだけど」
その後も普通に飯、普通に風呂、その後で普通に布団に入って………特になーんにもなかった。本当に普通。少し平和すぎるくらいに。
見慣れぬ天井に視線を定め、ボーッとする。
今日出発してたら、やっぱり危険だったのかな。
ミュガナッチェの野郎は危険だ。特にこの間の全滅エンドは最悪だった。
つか、今考えたらポラポラ、ミュガナッチェのこと“ズーガルト”って呼んでたよな?
それに“あの時みたいに見てただけ”って……二人は前に会ったことがあるのか?
「また寝らんねぇよ、ったく」
タラ子の家でもこんなことがあった。あの時はブッキーの部屋で話をして、その後でタラ子に……。
あまり外に出るべきではないだろうが、夜とは思えないくらいに賑やかだし大丈夫だろう。思考を整理するためにも、ちいとばかり散歩でもしてみようかね。
次回……メインキャラの四人目、万を持して登場。




