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第百二十三睡  青空に一つだけ雲が浮かんでるとスゴいモヤモヤする

おヒサ。


 さて、頼みの綱のルシュアさんが抜けたところで、こっちは俺、ポラポラ、そしてザミアの三人ぽっち。一方で相手サイドには、まだ四人残っている。


 ボールはポラポラ。


「どうするよポラポラ。相変わらず相手はあの一文字の構えを崩してねぇ。大ピンチだぞ」


「またアイリやルシュアさんにパスしてもええけど……万が一取られでもしたらアカンしな。何か作戦は……ん?何やあれ?何しとんねんアイツ……!?」


 ポラポラが見た先には、弱々しい女の子のシターニャちゃん。彼女は顔を真っ青にしながら上をチラチラと気にしている様子。


 何だ、何があるんだ?


 上を見てみると……シターニャの頭上にだけ、真っ黒な小さいクモが浮かんでいた。時折バチバチと電気のような物が出現している。


 まさか……。


「落ちちゃうぞ、落ちちゃうぞ。動けばカミナリ落ちちゃうぞ。ボールを捕っても落ちちゃうぞ。あたしは加減を知らないぞ。真っ黒コゲになっちゃうぞ」


 アイツやりやがった。


 外野に視線を移すと、右手を前に出してカミナリグモを操作しながら、子どものトラウマになるような陰鬱な表情と声で無駄にリズミカルな歌を歌うタラ子の姿が。


 子ども嫌いが脅迫にまで発展した。


「ひっ……ひいっ……た、た、たすけて……!」


 シターニャはか細い声で誰にともなく助けを求めている。


「ポラポラ……楽にしてやれ」


「……ホンマ、ウチのバカが堪忍な、シターニャちゃん」


 ポラポラが今まで通り極限まで力を抜いて投げたボールは、無抵抗のシターニャの腹部にむなしく当たった。


 その瞬間、彼女の頭上の雲はスウッと消えてしまった。


 シターニャは未だに喉元に刃物を突きつけられているかのような顔をしてコートを後にした。おいたわしや。


「いよおおおおおっしゃあああああ!!ざまあみなさいザコガキ!!アタクシの美しい顔をキズモノにした報いよ!!」


「お前の顔は胎内からキズモノだっただろブス姫」


「お黙りクソ勇者!!おーほっほっほ!!ガキがアタクシたちに勝負を挑んでタダで済むと思ったの!?どんな手を使っても勝つ!負けたガキの泣きっ面でご飯300杯はいけるわよ!!」


 クズばっかりかこのチーム。


「はっ……反則だ!脅迫は反則だ!シターニャはアウトではない!そうだろシンパンさん!」


 チームメイトのアウトにたいしてゼクス=フェヒター(笑)のリーダーであるケンが、審判のシンパンさんに抗議を申し出た。


「オウ……ジーザス……シ、シ、シターニャ……アウトネ……」


「よっしゃあ!!これで3対3だわ!根性入れなさいよアンタたち!!」


「オレたちの分も、ぜってぇ勝ってけれ!ジビエの仇を!」


 おっ、まかり通った。てかジビエはこの子たちのせいじゃないだろルシュアさん。


 でも何であんなにシンパンさん顔面蒼白なんだ?それに“ジーザス”って……。


「……あ、なぁるほど、そういうことね」


「え?何がですの?」


「いや、なんでもねぇよ。ほれ、気合い入れろザミア。正念場だ」


 俺は見逃さなかった。


 シンパンさんの頭上にあったカミナリグモが、役目を終えたかのように消えていったのを。



8カ月ほど空きましたが、今日から再開いたしやす。

また変わらぬ応援を宜しくお願い申し上げますです。

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