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紫音&梓シリーズ

初詣

作者: 麻沙綺
掲載日:2014/01/01

今日は、彼と駅で待ち合わせて初詣に行く予定。

…で、着なれない振り袖なんか着たりして…。

もう一度、姿見で可笑しくないかチェックする。

「お母さん、変じゃない?」

「それは、お母さんに対しての侮辱と見なすわよ」

って、苦笑してる。

「でも…」

「大丈夫。ちゃんと着こなせてるわよ」

お母さんが言う。

「はい、巾着とファー」

そう言って、手渡してくる。

「早く行かないと、間に合わないわよ」

私は、時計に目をやる。

待ち合わせギリギリだ。

「玄関に草履出してあるから、それを履いていきなさい」

「はーい」

私は、和室を出て玄関に向かう。

「馬子にも衣装だな」

すれ違い様にお兄ちゃんが言う。

「どうせ、似合わないもん!」

そう言い放って、玄関で草履を履く。

「行ってきまーす!」

元気に掛け声をかけて、玄関を出た。



駅にやっとの思いで辿り着く。

エッ…と。

紫音くんは何処だろう?

人混みの中をキョロキョロと探す。

あっ…居た。

って、女の子に囲まれてるし…。

どうしよう…。

出ていきにくい。

楽しそうだなぁ。

「梓!」

背後から声をかけられた。

振り返る。

「なーんだ、直樹か…」

「なんだじゃねぇよ。そんなめかしこんで、何処行く気だ?」

「これからデートなんだ」

私が言うと。

「がさつで、大雑把な梓が、デート?わらっちまうぜ」

直樹は、本気だとは思っていないらしい。

「嘘じゃないって…」

「相手は、何処に居るんだよ」

直樹に言われて。

「あそこに…」

って、目線を向けた。

…………が。

あれ?

居ない。

「居ないじゃん」

まさか彼女達と。

私が青くなってると。

「梓、遅いよ」

って、背後から抱きつかれた。

キャッ…。

「紫音くんゴメンね。思ってた以上に歩きにくくて、遅くなっちゃった」

私は、彼を見て言う。

そんなやり取りを見てた直樹が、顔面蒼白になってる。

どうしたんだろう?

「梓、こいつ誰?」

紫音くんが、私を背中に隠すように立つとそう言いはなった。

「あ、えっと。近所に住んでる鈴木直樹くん。中学まで一緒だったんだ」

私が言うと。

「ふーん。梓と付き合ってる、流崎紫音です。よろしく」

紫音くんが、牽制を張ってるのがわかる。

そんな事しなくてもいいのに。

そんな紫音くんに我に戻った直樹が。

「あ、どうも。鈴木直樹です」

って、頭を下げてる。

って、あなたたち口元は緩んでるけど、目が笑ってないよ。

二人とも、怖いです。

「梓、そろそろ行こうか?」

紫音くんが私に振ってきた。

「えっ、あ、うん。直樹、またね」

紫音くんが私の肩を抱くと、歩き出した。


神社に向かう間、紫音くんが。

「あいつ。梓のこと好きなんだな」

って、ポツリと呟いた。

「そんな事ないと思うよ。って言うか、そんな素振り見た事ない」

私は、そう言い返した。

直樹にとっては、私はいじめの対象だったし…。

「じゃあ、なんで何時もと違う格好の梓に声をかけれたんだ?」

紫音くん、もしかして嫉妬してる?

「だって、直樹。私の振り袖姿、今日が初めてじゃないし」

「それって、あいつは何度も梓のその姿を見てるってことか?」

「そうだよ。毎年新年には、振り袖着せられてるし…」

「ふーん。梓のその姿、俺だけのものにしたいんだけど…」

これって、独占欲丸出しじゃ…。

「それは、無理だよ。私、自分で着付けできないもん」

「そうなのか?」

「うん。だって、これお母さんの練習代なんだよね」

「はっ?」

紫音くんが驚いてる。

「あっ、うちのお母さん。着付けは年一回確認のために私に着付けてるだけなの。だから、自分でしろなんて言われても困っちゃうんだけど…」

「うーん。でも、梓の振り袖姿は、他の男に見せたくない。特に同世代に」

紫音くんが、真顔で言う。

フフフ…。

そんな風に思ってもらえるなんて…。

「梓。絶対に俺から離れるなよ。ここから混んでくるからな」

紫音くんが、私の肩を強く抱いていた。



参道への道を辿って歩いていた。

彼も一緒のはずだったのに…。

はぐれてしまった。

アレ?

紫音くん、何処だろう?

私は、人混みの中をキョロキョロ。

辺りを見渡してるが、見つからない。

アレ…?

まさか、私、迷子ちゃん?

って、どうしよう…。

知らない人ばかりで、怖い…。

とりあえず、参道から外れる事にした。


参道から少し離れたところから、彼を探す。

…が、見つからない。

いったい何処に…。

不安が胸に押し寄せてくる。

嫌だ…。

もしかして、帰っちゃった?

私は、涙を堪えながらもう一度彼の姿を探す。

「君、大丈夫?」

って、声をかけられて。

「あっはい。大丈夫…です」

私が答えると。

「大丈夫じゃなさそうだけど。もしよかったら、あっちの焚き火で、温まっていけばいいよ」

って、指を指して言う。

うーん。

「おかまいなく」

私は、そこからそそくさと逃げる。


「梓ー!!」

って、声が聞こえてきた。

「紫音くん?」

「梓ー!」

紫音くんが、走ってきて私の目の前に現れた。

「紫音くん」

紫音くんの顔を見たとたん涙が溢れてきた。

「やっと見つけた。いったい何処に行ってたんだ」

紫音くんが、私を抱き締めながら言う。

「ごめんなさい。気づいたら離れちゃってた…」

「ったく。心配させるなよ」

紫音くんが、涙を拭ってくれる。

「…で、なんで泣いてるんだ?」

「不安になっちゃって…」

「何に対して?」

「紫音くんが、私に呆れて、嫌いになっちゃったんじゃないかって…」

私は、俯きながら言う。

「そんな心配してたのか?」

「だって、紫音くん人気者だし、私みたいな子と無理して付き合ってるんじゃないかって…」

自分で言いながら、虚しくなる。

「バカだなぁ。俺から、梓にコクったんだぞ。そう簡単に離すわけないだろ」

紫音くんが、笑顔で言う。

「本当に?」

「あぁ、梓だけだよ」

って、紫音くんが私の頬に口づけてきた。

ヤバイ。

顔が、火照り始めた。

「梓。参拝したのか?」

紫音くんの言葉に首を横に振る。

「じゃあ、もう一度並ぶぞ、ほら」

紫音くんが、腕を軽く動かす。

「?」

私が不思議に思ってると。

「梓は、俺の腕をつかんでで」

そう言って、私の腕を自分の腕に絡めると。

「行こう」

紫音くんの笑顔で言うから、私も笑顔になる。

「うん」

紫音くんのエスコートでもう一度参道に並ぶ。

そうだ、まだ言ってなかった。

「明けましておめでとうございます。今年もよろしくね」

私が、笑顔で言うと。

「おめでとう。こちらこそ、よろしくな」

紫音くんが、笑顔を返してくれた。


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