The girl of a sword and a shield Ⅶ
ヴェントとの一件が終わり、午後の授業が終わった。
時刻は十九時。夕食も済ませて寮に帰ってきたところで、レイシアが大きな欠伸をする。
「ふぁ……ん……」
目尻に浮かんだ涙を袖で拭うと、ソファに座る俺の真横に腰を落とす。
「シエル、紅茶を頼めるかしら?」
「わかった」
シエルに紅茶を注文してから、レイシアはもう一度大きな欠伸をした。
レイシアはもう寝る時間か。
二人を見比べると、寝る子は育つとは良く言ったなぁと思う。
背丈は同じくらいなのに、胸の成長には大きな差がついている。
しかし、家事の面ではシエルに軍配が上がる。というか、シエルの圧倒的な勝利。
制服の上から純白のエプロンをはおり、手際良く作業をこなしていく。
紅茶を蒸らしている時間でソーサーの用意し、紙袋から数枚のクッキーを取り出して小皿に盛りつける。
「……できたよ」
カチャリと音を立てて、ソファの前のガラステーブルに、ソーサーに乗せられたティーカップと茶菓子が置かれる。
「砂糖は自分でいれてね……って、寝てるし」
レイシアは正方形のクッションを抱きかかえ、犬の様に丸まって寝ていた。
少し目を離しただけで、眠りに落ちているとは……。
長い付き合いで幾度となく見てきた寝顔だが、やっぱり可愛いな。
「ね、ねぇ! レイシア寝ちゃったから紅茶、アルクが代わりに飲んでくれる?」
「そうだな。じゃ、ありがたく貰おう。シエルは飲まないのか?」
「あたしはいい。自分で飲むより人が飲んでるのを見てる方が楽しいから」
ティーカップの取っ手に指を通し、熱い液体を口に含む。ほのかな渋みと、茶葉の芳醇な香りが口に広がる。
「美味しいな……」
レイシアや俺が淹れるずっと旨い。
「ホント? よかった」
シエルはそう言って微笑を浮かべた。
「あっ、ちょっと出かけてくる」
壁に掛けた時計を見て、シエルが思い出した様に言い出した。
別に止めるつもりはないが、行き先だけ聞いておこう。
「買い物でも行くのか?」
シエルは頭を横に振って否定した。
「違う、自主訓練。ほら、あたし……本当はクラス0だから、沢山頑張らないといけないの。そうじゃないと、皆に顔向けできない」
皆……。あぁ、クラス0の生徒の事か。
「普通なら、まだ授業中だし……ずる休みしてるみたいでしょ? だから、自主訓練っ!」
「努力家なんだな」
「そんな事ない。ふ、普通!」
いや、お前は立派だよ。
「じゃあ、その自主訓練。パートナーとして付き合ってやるよ」
「いいの? 契約だってしてないのに」
「パートナーだろ、気にするな。それに、ゆっくりで良いって言っただろ? 代わりにまた紅茶を淹れてくれ」
「う、うん! そんな事でいいなら毎日でもやる!」




