double contract Ⅶ
目が覚めると、二度目となる白い天井が見えた。
「それで……お前らは何をやってるんだ?」
ただ、前回と違うのは、下着姿の美少女がへばりついている事だ。
一人は艶やかな銀髪の少女。頭の片方で結っているのが特徴的で、フリルが施された可愛らしいデザインの下着を身につけている。
もう片方は、煌びやかな金髪の少女。足首まで伸びる金髪が四肢に巻き付いているのが扇情的だ。こちらは、精緻な黒レース。
待て待て、落ち着け俺。そうだ、深呼吸をしよう。
「っぶほ」
深呼吸をした事で二人の少女の、甘い香りを吸い込んでしまいむせ返る。
「これはれっきとした治療よ?」
なんとも情けない事をしでかした所で、レイシアがむくりと起き上がった。
「そ、そそう、治療!」
シエルは噛み噛みで、焦りを見せる。
いや、俺の方が焦ってるからな?
「契約者はデュミナと密着する事で傷の回復が良くなるの」
「にわかに信じがたいんだが……それより早く服を着ろ!」
実に目のやり場に困る。
レイシアは何を思ったのか、おもむろに立ち上がるとベッドを降りる。ぺたぺたと素足で床を歩き、反対側に周り込んでくる。再び、ベッドに上がり、シエルに抱きついた。
「そそらない?」
「だから年頃の女の子がそういう事を言うんじゃ無い! それとな、シエル。なんだその私は関係ないですよーって顔は。明らかに同罪だからな!?」
そこで、ガチャリとドアノブが周る音がする。
白いドアが開かれ、姿を現したのはアミーラだった。
「随分とさわが――って、あ、あ、貴方達はなな何をやっているのかしら!」
下着姿の二人をみて、アミーラはかぁっと赤面する。
「いやらし事をしていたのよ」
と言ってレイシアが意味深な笑い方をするので、
「お前は誤解を招く様な発現をするな!」
額を小突くとレイシアはあうっと言って黙った。
「それで、お前はどうしたんだ?」
アミーラはもじもじと内股をこすり合わせて言い淀む。
「その、今回は迷惑をかけたから……お、お礼を言いに来たの」
その言葉を聞いて、シエルとレイシアは顔を見合わせる。そして、視線だけでやりとりして、うなずき合った。
「……ありがとう」
アミーラは、虫の鳴くような声でぼそりと、お礼を言った。
「このお礼は必ずする、こ、こんど食事にでも……つ、連れてってあげるわ」
「最近のメニューは不可解だからな、案内してくれると助かる」
「そ、それじゃあ、私は失礼するわ!」
ぶっきらぼうに言って、早足で病室を出て行ってしまった。
なんだよ、礼を言うのがそんなに恥ずかしかったのか?
「これ以上ライバルが増えたらたまらないわ……シエル、今は休戦といきましょう」
「そうね……、私達で争ってる場合じゃない! 今は、一時休戦!」
何だか訳のわからない話し合いをした二人は、じりじり、と狩りをする猛獣の様ににじり寄ってくる。
「っぐ、バカ、俺は怪我人だぞ」
レイシアがのしかかってきて、治りかけの脇腹が痛む。
「今は既成事実を作りあげる方が先よ」
病室に俺の絶叫が響き渡った。
-END-




