The girl of a sword and a shield Ⅰ
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作者もチェックしていますが、穴がゼロとは言い切れないです。
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気がつけば、街に立っていた。
しかし、ただの街ではない。建物の大半が瓦礫の山となり、道には炎が燃え盛っている。空には数十匹の龍が翼を飛び交い、地上では動かなくなった人が無残に転がっているのだ。
これは夢だ。俺の脳裏に鮮明に焼き付いたあの日の夢。
俺が全てを失った日の記憶だ。
「お、おい……返事しろって。なぁ、母さん! 父さん! なんで、なんで何も言わないんだよっ……」
倒壊した家を前にして、焦げ茶色の髪をした一人の少年が掠れた声で叫ぶ。
まだ十歳だった俺の足元に転がっているのは、数分前まで共に生活していた家族。
「クソッ! クソッ!」
拳を振り上げ、地面に叩き付ける。けれでも、反応する人間は一人もいない。
少年が憎しみの籠もった瞳で空を見上げたその時、
ドスン! と地響きを引き起こしながら、空を舞っていた龍の一匹が降りてきた。
着地時の風圧で少年は尻餅をつき、ただ龍を見上げる。
骨張った体格の龍が、大口を開けて少年を喰らおうとした瞬間、龍が突然動きを止めた。
胸部から、突き出た緋色の刃が、龍を死に至らしめていると自覚するのに、そう時間はかからなかった。
「ふむ。クローム種か。群れで襲われてしまえば、この程度の街ではひとたまりもない、か。どころで、君はやすやすと己の身体をくれてやるつもりなのか?」
絶命した龍が地面に倒れ、その後ろから一人の女性が姿を現した。
返り血で赤く染まった白衣を風に揺らし、白髪の女性は少年に右手を差し出す。
「見たところ、どうやら君はここでのたれ死ぬには惜しい存在だ。私と共に来い。力を与えてやろう」
「力……?」
「そうだ。君から全てを奪った龍を討つ力だ。レイシア、こいつの武器になってやれ」
白髪の女性は少年を引き起こすと、そう言った。
すると、女性の影からひょっこりと一人の少女が姿を表す。
「うん」
新雪の様に白い肌、足首まで伸びた金髪に、真紅の双眸。少年と同じ年頃だろう少女は、飛び抜けた容姿の持ち主だ。
少女はこくりと頷くと、少年の元まで歩み寄ると、一瞬の躊躇いもせずに少年の唇を奪った。
「少年よ、君には二重使役を現実にする才能がある。未だ誰も到達していない、頂だ。私は見てみたいんだ。その狩る者の頂点を。強くなれ」
白髪の女性が何を言っているのか聞き取れなくなり、視界に靄がかかる。
次第に景色は色褪せていき、意識が遠のいていく……。




