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すべては親父を殴るために  作者: 零崎虚識
プロローグ(2012年9月)
3/5

旅立ち

やられた……まさか、本当にやるなんて…


俺は今、船の中にいる。


…………桃の形の。


寝ている間に放り込まれたらしい。


だって乗り込んだ記憶ないし。


さっき窓から出て見た感じ、この船は桃の中をくりぬいたところに部屋を作った感じだ。


中の広さは三畳くらいか?


そして、そのうち二畳くらいを荷物に占領されている。


ちょっと待て、え?お、おい嘘だろ?


荷物の端に『日本一!』の旗が見える……


マジで入れたのかよ。


あ、窓は開くんだからこの旗今すぐ捨てよう。そうだ、そうしよう。

いや~、我ながら名案だね!


よし、そうときまれば……くっ、旗のある位置がいやらしいぞ!?…ギリギリ…と、届かない…よし!取れた!!


ん?なんか紙が括り付けられてるな、なになに?


『桃太郎へ


やはりこの旗を捨てようと真っ先にさわったな?単純なやつめ。

お前のことじゃからこの船を見たら旅にでるのを渋ると思って寝ている間に勝手に出航させてもらったぞ。

まあ、適当な海流に乗せたから運が良ければ陸に着くじゃろう。


                2枚目に続く』


2枚目!?いっぺんに書けよ!というか、適当な海流とかふざけるなよ!?


ああ、もうちくしょうめ!とにかくその2枚目がないとどうしようもないじゃないか!ったく、どこにあるんだよ?









み、見つけたぁぁあああ!!


『ようやく見つけたか、恐らく誰もいないからって「み、見つけたぁぁあああ!!」とか叫んでたりするのかもしれんがお前それ、ただのかなり痛いやつじゃからな?

さて、じゃあお前に準備した道具の説明でもするかのう。

まずはいくつかある瓢箪を出しなさい』


なんか、いろいろ俺の行動が読まれすぎだと思うけどそれはきにしないことにしよう。


ん~と瓢箪ね、この無駄にカラフルなやつのことなんだろうな、やっぱり。


『カラフルなのに文句でもあるのか?

ちゃんと意味はあるからな?』


コレもうどっかで俺のこと見てるだろ!?予想して作った文章だとかありえねぇぞオイ!


『お前が単純すぎるだけじゃ。

まず、普通の色の瓢箪じゃが時間が経つと酒が湧く。だいたい一時間で満タンになるな。』


おぉ、普通に鬼っぽい持ち物だな!


あれ?じゃあ、他の色のやつはなんだ?


『次に赤紫。コレは赤ワインが湧く。

白はもちろん白ワインじゃ。ドブロクとかにしようかとも思ったが儂最近洋酒とかがマイブームだったからな。

明るい黄色はビールじゃ。あ、黒いのは黒ビールじゃぞ?

それから…………(ここから数十行に渡って大量の酒の湧く瓢箪の説明)』


酒ばっか!?俺の荷物の9割がコレとかマジか!?


『やっぱり文句言いよったな?わかっておるよ、冗談じゃ。ほら、そこにある巾着袋を見なさい。』


冗談って、どっからどこまでがだよ……それに巾着袋も3つあるぞ?紺色のと白いのと黄色いのが。


『お前やっぱり食い物がないのがいやだったんじゃろ?安心しなさい。白い巾着袋は一時間で10個湧いてくるぞ…………キビダンゴが(笑)』


確信犯だぁぁあああ!!


コレ、絶対わざとだ!俺が桃太郎って名前気にしてんのわかっててやってる!!


しかも文句言ったのは食い物がないからとかじゃねぇし!!


うわっ、ホントに入ってるよ!もういいや全部食っちまえ!


……………って、辛ぁああ!?何これ!?え?ちょっ、マジで何?


『ちなみに、10個につき1つは桁違いに辛いから気を付けなさい。あぁ、これはお前のお母さんの優しさじゃ。』


先に言えよ!あとコレは優しさなんかじゃねぇ!完全な悪意だよ!飲み物だって酒しかないんだぞ!?


『そして、もう1つのないから黄色い色の巾着袋じゃが………………………………………………………………………………………………………………………………』


なんだよ、ずいぶん溜めが長いな?


『金が湧く』


すげぇぇええええ!!つまりアレか!これさえあれば働かなくていいってことかゃんあんたハンパねぇよ!!


『ちなみに1日500円じゃ』


シビアだ!一食か二食分くらいだ!でもなんか、すごい適度な感じがする。


『で、あと旗じゃがコレは儂と婆さんの2人で作った傑作じゃ!なんとこれ棒の部分はヒヒイロカネを、旗の部分はオリハルコンを糸状にしたものを使っておる。しかも、伸び縮みと重さ、硬さなどが自由にできて空港の金属探知機にも引っかからない優れものじゃ!』


無駄だ……どこまでも無駄だ………なんでこんなもんに伝説の金属なんて使ってるんだよ……そりゃ探知機にだって引っかからねぇよ、しかも捨てるに捨てれなくなったじゃねぇか……小さくして、ポケットにでも入れておこう……


『さて、忘れとったがさっき説明してなかった紺色の巾着袋は何でも無制限にしまえるぞ。ようは未来の青い狸ロボットのアレじゃ。しかし、中に時間の流れは存在せんから生き物を入れるのはオススメせんぞ。』


ものすごい爆弾投下してきたな……なんかもう驚く気力もねぇよ。


『道具の説明はこんなところかのう。

では、そろそろこの手紙も終わらせることにしようか。

桃太郎。鬼ヶ島はお前が生まれ育った土地じゃ。お前の家じゃ。故郷じゃ。儂も婆さんもお前の母さんもずっとここにおる。いつでも戻ってきなさい。儂等はお前がいつ戻ってくるか楽しみに待っておる。風邪などひかんようにしっかり旅して世界を見てきなさい。そして、辛くなったら戻ってきなさい。

             お前の爺ちゃんより』


爺ちゃん………ありがとうな。


俺、行ってくるよ。


親父を一発殴りたいとかふざけた目的かもしんないけど精一杯頑張ってくるよ。


ん?なんか、下にまだ文章かいてあるな……


『PS,適当な海流に流したとかは冗談じゃ。この船にはナビ機能がある。行きたい場所を言えばそこに流れつくぞ。

あ、あと旅先で美人を見かけたらお前の儂特製のケータイで写真を撮って送るように』


台無しだよ!!

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