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新しい人生の新しい学校生活 14

「本当によかったんですか?」

そう聞いてきたのはユーナ。

「別に構わないよ」

そうは言うが値段は3000デジベルだった。この年齢でこれを一括で払うものなどほとんどいない。

「でもよ、結構高かったんじゃないか?」

「いや、そうでもないよ」

「ふ~ん。セス君てお金持ちのボンボン?」

「一応貴族ではあるけどお金なんてもらってないよ」

「そうなの?」

「でも、セスさんは貴族って感じはしないですよね」

「一応貴族だよ」

次々にかけられる言葉を短く答えるセスは、淡々としていた。

今彼らは、先ほどの会話に出ていた穀物類などが売っているはずの店に向かっている途中だ。

人でごった返しているメインストリートを歩きながら話している八人。

この人数で歩けば、他の人にぶつかる可能性が高いが、今のところはまったくぶつからない。

ぶつからない理由としては、左側歩行が暗黙のルールとしてあるからだろう。

次々目に入ってくる屋台はどれもこれも美味しそうな音と匂いが漂ってくる。

だがそれらを一切無視して、先頭を歩いているリリーとシリカ。

それから間もなくして、広場に到着した。

そこからさらに学園の方に向かう細路地に入った。

細路地を少し歩くと看板に【フリー】と書いている場所でリリーたちは歩みを止めた。

ここが目的の場所なのだろう。

看板の下に位置する扉を開き中に入っていくリリーとシリカはどこか楽しそうに見えた。

二人に続き店の中に入っていく。

そこには面白い、というか笑えないぐらいに積みに積まれている紙袋がこれでもかと積まれていた。それらはどれもこれも天井に付きそうなほどだ。この中には、米や麦などが並べられていて、これ以外にも豆類のコーヒー豆や大豆などもここにはあった。

壁にはヌユの頭が堂々と飾られていた。

「いらっしゃい」

そんな中、この場所に不釣り合いな鈴をふるわしたような澄んだ声。

その声の方を見ると一人の女性がカウンターでこちらを不思議そうに見ている。

美少女と言っても過言ではないだろう。童顔の顔は目は大きくハワイアンブルーで、まつ毛は長い。

鼻はちょこんとあり、唇はぷっくりしていて女性としては申し分ないくらい可愛らしい。

「おねぇちゃん、お邪魔するよー」

と元気よく声をかけるリリー。

「おねぇちゃん!? うそだろ、この人がリリーの姉?! 似てねぇな」

「なんかむかつく言い方!」

「まあまあ、リリーちゃん、落ち着いて」

二人の仲を仲裁するように間に立つルーティ。

「なかがいいのね」

「これのどこが仲良く見えるのよシアおねえちゃん」

「そうかしら。私には仲がよく見えたのだけれど」

シアと呼ばれた女性は、肘をつきながら変化の無い口調で返えした。

「ところで、なんの用なのかしらこんなに大勢で」

「そういえば、そうだった。こっちのセス君が米や穀物類が欲しいて言ってたから連れてきたんだ」

「そう……。なら欲しいのを言ってちょうだい」

やはり変化のない口調だ。

「……米はありますか」

こちらもあまり音程が変化しない。

「コメならあるわ。あなたのちょうど隣に」

若干の発音の違いがある米だが、隣に目を向けるとあと一個で天井に付くだろう山積みの袋。これがそうなのだろう物なのは分かる。がその真ん中の掛札の値段を目にした。

20000。

書かれていたのはこの数字だ。

「うっはー、これ高いね」

顔をしかめながら値段を凝視しているエリアーヌ。

米が高いのは仕方のないことだ。この世界の主食はコメではない。ここはコメやマメではなく、パンが主食となっている。

まあ、パンを食べずに肉だけや野菜だけなど違うものが主食となっている者もいるが。

だからこそ、コメは生産量が少なく値段が高い。この価格はやむを得ない料金だ。

しかしセスは、これをためらいもなくカウンターに持っていく。

「これでいいのかしら?」

「ええ。あ、すみません今はこれしか持ってなかったです」

そう言い一枚のコインをカウンターに置いた。

「……ッ!?」

これまで変化の無かったシアの表情が驚きに変わる。

「これはどうしたの?」

すぐ元の状態に戻ったシアは、セスを値踏みするかのように見つめる。

「……? シアおねぇちゃん?」

不思議に思ったのかリリーが近くに寄ってきた。

「……え?」

言葉を失いそのコインから目が離せなない。

燦燦と輝く太陽のような緋色が揺らめいていてまるで生き物様なコインだった。

このコインの名前はヒヒイロカネ。

十万デジベル。日本円で百万の価値のあるものだ。

今はこれしかない。先ほどの喫茶店でこまごました物がすべてなくなってしまったから。

「私ヒヒイロカネのコインなんて初めて見た。てか、セス君なんでこんな物を持ってるの?」

当然の疑問だろう。

「ただ単に使うことがなかっただけだよ。それに……」

「それに?」

「以外とギルドて稼げるんだよね」

ヒヒイロカネを持っていた理由の種明かしをした。

「ギルド? セス君もうギルド入ってるの!?」

「おいおい、マジかよ。ギルドランクはどんくらいなんだ? ギルドの依頼てやっぱり難しいのか?」

驚いているリリーの声が聞こえたのか即座にヤコフが反応した。

「ギルドランクは一応A。クエストは簡単なものから難しいもの多種多様だよ」

「へぇ~、え、C? Cッ!?」

と驚きを隠せないリリー。五人も驚愕していた。

「ん? でもおかしくないですか? だってランクCの報酬て平均五百デジベル位でしょう? なのに百万デジベルなんて無理にもほどがあるでしょう」

疑問符を頭に浮かべながら丁寧に説明するシーナ。

「だからどうしたて言うんだよ?」

「だからあんたは馬鹿なのよ。どう計算しても十年かかっても百万デジベルなんてならないでしょうが」

「まあ、ヤコフが頭悪いのはしょうがないんだからそこまでにしとこうよリリー。この話はまた今度おいおい話すから、これ買ったら寮に早く戻らないとご飯抜きの一時間説教があるんじゃなかったんだっけ?」

「え、うそ、もうそんな時間?」

セスの言葉に反応したエリアーヌは急いで自分の腕につけていた時計を見る。

「ゲッ! 本当だやばい早く戻らないとっ!」

エリアーヌのその焦り様を合図にセス以外の全員が店を出て行った。

「ほんと厳しい寮よね。あなたもそう思わないかしら?」

「いや、自分はそう思わないんですが。そもそも時間厳守ならそれを守ればいいだけではないですか。それに、意外とやさしい規則じゃないですか。だって、食事は抜きだけどご飯を食べてはいけない訳ではないんですから。」

軽く口の端をあげ答えを返した。

「なんだかそれ以上に厳しいところがあるみたいな言いかたなのね」

「そういう場所にいた人から聞いただけですけどね」

「それはいいとして、今のお金では残りの98万デジベル全部返せないのだけれど?」

商品に対して払う金額が大きすぎるために返金できないというのだが。せすは、

「返せる分だけで構いません」

そう簡単に答えた。

「でもそれじゃ、あなたは困るんじゃなくて?」

「最低1万デジベルあれば生活には困らないと思います」

「いや、それ全然足りないでしょ」

呆れながら10万デジベルを渡してきた。

「こんなに無くても大丈夫ですよ」

「それでもよ。こうでもしないと気がはれないのよ私は。もう用はないんでしょう、なら早く帰ってちょうだい。もうそろそろ店を閉めるから」

「ええ、わかりました。ありがとうございます」

そっけなく言われ礼を言い店を後にした。

「……ふぅ。あれがセス・クラウンなのね」

ぽつりと小さくつぶやいた。





次回も多分とても遅れて投稿すると思います。


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