新しい人生の新しい学校生活 5
今回は少し短いです><
白の言っていた広場は館の裏の林を少し進んだところにあった。
そこまで多いくはないが狭すぎるわけではない広場だった。
「ここなら大丈夫だね」
<勝負の方法はさっき言った通りだ。先に攻撃を当てた方の勝ちだ。だが、それだけでは面白くない。だから、我はここから一歩も動かずに戦う。それと、我が攻撃できる回数は三回までそれができなかった時点で我の負け>
白は自信満々にルールを簡潔にいう。
「わかった」
セスはそう言いコインを取り出す。
「このコインが地面に着いた瞬間から勝負が始まるでいい?」
白は「問題ない」とうなずく。
この勝負、セスの方が少し有利だが、負けるとは微塵も思っていない白は余裕の表情だ。
「......それじゃ、始めるよ」
セスはコインを親指ではじく。
コインは宙を縦回転しながら徐々に上昇していく。最高点に届き落下を始める。
白にはコインが何回転しているのかが分かるほど遅く見えている。
この勝負勝った。白はそう確信した。
だが油断などはしない。全力で相手する。
そして、コインが地面に着いた。
その瞬間に白は魔法を発動する。その時間0.5秒もなかった。
白の魔力によって瞬時に作り出された大量の氷の粒はセスを囲むように放たれる。
氷の粒が速度とぶつかった衝撃により、軽く蒸発し水蒸気がセスの周りを囲む。
水蒸気によってあまりはっきり見えないが、あれは完全に直撃しただろう。
そう確信していた。が、その確信は疑念に変わる。
なぜか、それは、その場所にセスの姿がなかったからだ。
どこだ......どこに行った......。
白は、周りを見回す。
しかし、セスの姿はどこにもない。
気配を探るが見つからない。
「白の負けだよ」
すぐ後ろで唐突に聞こえた声。白は、瞬時にふり返る。そこには、先ほどまで無かった木刀を上段に構えたセスが立っていた。
白は攻撃を受けまいと魔力で作った氷の壁を瞬時に作る。
これで攻撃は受けない。
そう安心していた白。そのとき左足に何かがあたった。
何が当たったのかを確認するために左足を見ると、壁の向こうにいたはずのセスがそこにはいた。
(......っ!?)
驚愕。
なぜそこにいるのかがわからない。なぜこの距離まであの時も、そして今も気づかなかったのか。
わからない。分からなさすぎる。
「白の負け」
セスはそう短く淡々と白に言う。
白とセスの掃除するかしないか対決は、セスの勝利で決着がついた。
ラシウス学園Sクラス寮。
セスと別れSクラスの寮に入って荷物整理をしていたユーナは、一通り整理が終わりスード王国産の紅茶をいれて一息ついていた。
「......ふぅ、セスさん」
黒髪長髪の同じ年の少年の名をつぶやく。
「ん~? セスさんてだれのことかな~?」
「ひゃっ!?」
唐突にかけられた声に変な声が上がった。
今さっきまでこの部屋には誰もいなかったからだ。
「ねぇねぇ、セスさんて誰なの~?」
声をかけてきたのは同じ部屋になった、シリカ・シーベントだ。
「なんでここにいるんですか!」
驚きすぎてつい言葉がきつくなった。
「えっ!? ひどい!」
シリカわざとらしく言う。
「あっ! ごめんなさい! そんなつもりで言ったわけではないんです」
ユーナは深く頭を下げる。
「え~、どうしよっかな~。さっきのセスっていう人のことを教えてくれたら許してあげる」
シリカは意地悪そうに言う。
「分かりました。そのかわり許してくださいね?」
ユーナは懇願する目でシリカに頼む。
「うっ・・・・・・」
シリカはこの純粋なめを見て、一瞬自分が悪いのではないかと罪悪感に似た何かを思ってしまった。
「わっかた。わかったから。そんな目で頼まないで」
今度は逆にシリカが懇願する。
「ありがとうございます!」
ユーナは頭を下げて感謝する。
「わかったから、セスってだれなの?」
シリカは、先ほどまでとは打って変わって興味しんしんの顔になる。
「......えっと、セスさんは私の従兄弟にあたる人で、私も顔と名前しか今はわかってません」
「顔と名前しかわかってないって......どうして?」
シリカは疑問をぶつける。
「それは......」
ユーナは言葉に詰まる。
セスがどうしてこれまで会えなかったのかわからないからだ。
「う~ん。どうしてでしょうね?」
結局疑問を逆にぶつけてしまう。
「どうしてでしょうね? って私に言われても......」
まあ、当たり前の反応が返ってくる。
「セスさんのことはエリカさんに聞いて少し知ってることぐらいですし......正直何も分からないんですよね」
ユーナは苦笑気味に言う。
「あっ! でも顔とかは見たんでしょ? どんな感じなの?」
「そうですねぇ、私から見た感じだと......」
ユーナはまたしても言葉に詰まる。今度は違う意味で。
「ん? どうしたの?」
「あれ? どんな顔でしたっけ? 髪型とかは分かるんですけど......。あっ、でも顔はよかったです! 多分」
ユーナは何とも曖昧に言う。
「な~んでそんなに曖昧なのよ」
シリカは苦笑している。
「すみません」
ユーナはしゅんとする。
「ちょっとそんなに落ち込まないでよ。そういうこともあるって......」
といいつつもちょっとだけかわいいとおもってしまったシリカ。
「......ん? どうかされましたか?」
その眼に気付いたユーナは、首をかしげる。
「いや......なんでもないわ」
なんでもなさそうだが、ユーナはそういうのならとこれ以上の追求をやめる。
「そうですか......」
ほんの少しの間があき、
「ねえ、あしたよかったらそのセスっていう人紹介してよ」
シリカは目を輝かせながら聞いてくる。
「それは構いませんけど......いつ出るのかとか分かりませんよ?」
「ん~、それなら今から行ってみる?」
この提案に、
「え、でもいきなり行ったら迷惑なんじゃ......」
もじもじしながら答える。
「も~、じれったいなー。いくよ!」
シリカはユーナの手をつかみ強引に引っ張っていく。
「えっ、ちょっ、まってください~!」
そんな言葉はむなしく、結局、部屋を出ることになった。
「......で?」
「ん? 何がですか?」
「セスって人のことよ。その人はどのクラスなの?」
ユーナのの手を離し、振り返りながら聞いてくる。
「セスさんのクラスですか......。Eクラスですよ」
あまり言いたくはなかったが、セスのクラスを教える。
「.......E......クラス?」
......やっぱり、この人も.....。
ユーナはそう思った。
「ふぅん。Eクラスなんだ。なに、その残念そうな顔は」
シリカはユーナの顔をみてクスリと笑う。
「まさか、私をそこらへんの人たちと一緒だと思ってる?」
ユーナはドキッとした。
「そんなわけないじゃん。たしかに劣っているとは思うけど、使えなくても強い人はいるからね。少なくとも私は下位クラスをエルバと差別するつもりはまったくないわ」
シリカは堂々と胸を張って言い放つ。
エルバ。それは、この学園の上位クラス、下位クラスを差別するための言葉だ。
校則上は{上位クラスが下位クラスを差別する言動を禁止する}とある。が、そんなことを守る生徒はほんの一握りしかいない。
「すみません! 私、勘違いして......本当にすみません!」
その言葉を聞いてすぐに大きく頭を下げる。
「そんなに気にしてないわ。それよりはやく行こう」
シリカはユーナの手を引く。
「あ、ちょっとまってください」
ユーナはこけそうになりながらシリカについて行くのだった。




