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新しい人生の新しい学校生活 3

朝。

セスが目を覚ますと、まだ列車は動いていた。

隣の方にふと目をやると、ジーク達はまだ眠っていた。ぐっすりと。

「まだ寝てる......て、早く起きすぎただけか......」

まだ、外は少し暗い。日が出はじめたぐらいの時間だ。

セスは何もすることがなく、とりあえず寝ている間にかいた汗を流すため風呂場に向かう。

シャワーで汗を流し終え、適当に着替えを済ませ、次にセスは暇つぶしで本を読み始める。セスが読みはじめたのは薬学の本だ。読みはじめたのはいいがこの薬学の本を30分ほどで読みおわってしまった。

今度こそ暇になりベットに横になって目を閉じて時間を潰すことにした。

1時間ほど横になっていると、列車がゆっくりと速度を落とし、そして、完全に停止した。

セスは体を起こし窓の外を見る。窓の外には相当大きいホームが広がっていた。とても大きいとは聞いていたが、想像よりも大きいことにセスは驚いた。

「......ここまで大きいとは」

「うーん、あれ? セス君もう起きてたの〜?」

セスが驚いていると、エリカが目を覚ました。

「おはよう母さん」

「......おはようセスくん」

エリカは眠たそうな顔で言う。

次にジークが目を覚ました。

「んーっ、ああ、疲れた」

第一声がこれとはなんともジークらしいというのがセスの思うところだった。

「おはよう父さん」

ちゃんとジークにも挨拶する。

「おう、セス起きてたのか!」

ジークはエリカと違って朝から元気だ。

「......っと、もうすぐ時間になるな」

ジークはそう言いすぐに着替えを始める。それを見てエリカも意識が覚醒したのかすぐに着替えをしに別部屋に向かう。

ジークの格好はまた、庶民らしい格好だった。

ジークはすぐに着替えを終わらせる。が、エリカは女性のため時間がかかっている。

5分後。

「お待たせ〜。さあ、食事にいきましょ〜」

着替えを終わらせすぐに部屋を出る。それにつづいてセスとジークも部屋を出る。

食堂に着き前日と同じように綺麗に盛り付けられた料理が並べられる。

それらを全て完食し、部屋に戻る。

セス達はまた着替えをし始める。

セスはラシウスの制服に着替える。ジークはというと、昨日のような庶民らしい格好ではなく貴族の格好だ。

やはり公の場ではそれ相応の格好をするみたいだ。

エリカは先ほどの着替えよりもさらに長く着替えに時間をかけている。

セスはエリカが着替えを終わらせる前に荷物をまとめていた。ジークは白を抱いて暇を潰していた。

10分後にエリカが着替えを終わらせ戻ってきた。

「エリカも着替えを終わらせたことだし、そろそろ行くか?」

ジークが聞いてくる。

「私は準備できてますよ〜」

エリカは元気に返事をする。

「うん。僕も荷物をまとめ終わってるから大丈夫」

セスも準備は終わっていたためすぐに出れる状態だった。

「よし、じゃあ行くぞ!」

ジークはそう言い部屋を出る。エリカとセスもそれにつづき部屋を出た。

列車の外にでてエリカとジークは懐かしそうに周りを見回す。

「おお、懐かしいなここも」

「ええ、そうですねぇ〜」

二人が懐かしんでる時に二人を呼ぶ声が聞こえてくる。

「よお、ジーク、エリカ!」

こんなところで二人を呼ぶ人物は決まっている。

「おお、カロル。お前も今から行くところか?」

「ああそうだ。ところで昨日の列車ジャック? のことなんだが......」

「ああ、あれな。ほんと、どうでもいいことだったぞ」

昨日あった列車ジャックらしきものを起こした男達の話しを始める。

「どうしようもないこととは?」

「お前を嫌いな貴族どもの差し金だったぞ」

と、どう考えてもどうでもいいことでは済まされないことをジークは軽く言う。

「そうかそうか、貴族どもだったのか......少しおかしくねぇか?」

カロルはツッコミをいれる。

「二人とも〜早くしないと入学式に間に合わないわよ〜」

と、エリカが二人の話を遮って言う。

「もうそんな時間か......。じゃあ、俺らはもう行くわ」

ジークはそう言い馬車のある方に方向転換する。セス達もそれにつづく。が、

「なぁまだ聞きたいことあるし俺の魔動車に乗っていくか?」

カロルに引きとめられ三人はカロルの魔動力車に乗ることにした。

魔動力車。

基本的に魔動力列車と変わらない仕組みで動いている。

カロルの魔動力車は元いた世界で言えばリムジンのようにスマートで長かった。

その中に入るとやはり王族の車と言えば納得が行く豪華さだった。

「おお、これが魔動力車て言うやつなのか!」

ジークは子供のように魔動力車の内部を見回している。

「それよりも話を聞かせろバカ」

少し呆れ気味に言うカロル。

「おっと、そうだったな。それじゃリーダーの男から聞いた話なんだが......」

ジークとカロルは先ほどの話を始める。

「ユーナちゃん久しぶりねぇ〜」

「お久しぶりですエリカさん」

隣の方でユーナと呼ばれた少女とエリカが話している。

「あ、セス君紹介するわねぇ〜。この子が姪のユーナちゃんよ〜」

エリカはユーナのことを紹介する。

「え、えっと、始めまして。セスさん」

ユーナは丁寧にお辞儀をする。

「こちらこそ始めまして。ユーナ王女」

セスも軽くお辞儀をする。

ユーナはエリカやカロルと同じ金髪と蒼色の目をしている。ユーナの顔立ちはカロルやエリカと同じく整っており、髪はさらさらのロングヘアだった。どこからどうみても美少女だ。

「......あの、エリカさん」

少し不安げな顔でエリカを呼ぶ。

「なぁに〜?」

元気に返事をするエリカ。とても嬉しそうな顔だ。

「あの、セスさんは今機嫌が悪いのでしょうか?」

ユーナはエリカの耳元に近づき小さな声で聞く。

セスはユーナが何を言っているのかは聞こえていない。

「うーん、そう言うわけじゃないと思うわよ〜」

エリカはセスの方をみながら小さな声で返す。

「......そうですか。あと、その、セスさんの隣になんで魔物がいるんですか?」

気になったのかセスの横で寝ている白のことを聞く。

「白ちゃんのこと? 可愛いでしょ〜、ふわふわのもふもふなのよ〜」

白の毛並みの感想を言うエリカ。

「そ、そうなんですか......」

それに対して少し困った顔をしている。

話をしているうちに魔動力車は止まった。

ジーク達は話をやめ、

「......着いたみたいだな」

と、カロル。

「それじゃ出るぞ」

と、ジーク。

二人は先に魔動力車を出る。

それにつづいてエリカ、ユーナが魔動力車から出て行く。中に残っているのはセスと白だけだ。セスもすぐに出ようとしたが、

<なぁ、主どのよ>

白に引きとめられる。

「なに?」

<我は主に付いて行った方がいいのか? それともジーク達か?>

どちらに付いて行った方がいいか聞いてきた。

「そんなのきまってる。僕の方だよ」

セスは即答し外に出る。

<そうか、当たり前か......>

それを聞いた白はどこか嬉しそうに笑い、セスの後を追う。


魔動力車をでて入学式が行われる施設に着いた。

そこでは入学者の案内をしている人と保護者及び関係者の案内をしている人で分かれていた。

「お父様、私達はもう行きますね」

「ああ、頑張ってこい! 俺たちもいくぞジーク!」

カロルはジークを掴み行ってしまった。

残ったエリカは、

「セス君学校生活がんばってね〜。ユーナちゃんスピーチ楽しみにしてるわよ〜」

セスとユーナに一言いいカロル達の後を追う。

「あの、私達も行きましょうか」

ユーナは恥ずかしそうに言う。

「そうだねそろそろ行こうか」

セスはそう言い白を抱き上げて歩き始める。

ユーナはセスの隣まで行き一緒に案内されている方に向かう。

セス達が中に入るともう多くの入学者達が座っていた。

施設の中は多目的ホールのような構造をしていた。

この学校の入学式の席は決められていない。が、前方の席は上位クラスが、それ以外の下位クラスは後方の席に座っていた。セスはそれを見てなにも思うことは無い。そんなことはどうでもよかったからだ。

この学校は魔法実力の学校だ。SABCDE。クラスはこのようにして分けられていて、SABまでが上位クラス。それ以外のCDEが下位クラスに分けられている。それぞれ上位クラスと下位クラスで少し制服が違う。

さらに、ペーパーテストの成績が良くても実技ができなければ容赦無く下位クラスにされる。

このように優等生と劣等生をわかりやすく区別している。

このことが優等生と劣等生の隔たりを作ってしまっていることは明らかだ。

そもそもこの制度は対抗意識を持たせるための制度だった。

こうなりたい、こうなりたく無い。このような意識をもたせることで生徒のモチベーションを上げることを目的としていたはずだった。結局その目的は逆効果になってしまったが。

セスは近くの後ろはじの下位クラスの席に座る。

ユーナは首席のため入ってすぐ別のところに案内された。

セスは何もすることがなくなった。目をつぶり、このまま入学式が始まるまで睡魔に身を委ねようとした、のだが、

「あの、すみません、となりいいですか?」

声をかけるものがいた。女生徒だ。

セスは最初自分に掛けられた声では無いと思った。が、その声の確認を行うと間違いなく自分に掛けられていた。

「ええ、かまいません」

なぜ自分の隣の席に座るのかがわからない。まだ座る場所ならあるはずなのに。

「ありがとうございます!」

声をかけてきた女生徒の他に二人の女生徒が座る。

ここで納得する。三人一緒に座れる場所を探していたのか、と。

「私、ルーティ、ルーティ・ベリアージュて言います。よろしくお願いしますね」

「私はリリー・ネーメ。よろしくね!」

「あたしはシーナ・アルジェントて名前よ。よろしく!」

三人の予想外の自己紹介。

「あなたの名前は?」

と、リリーが聞いてくる。

「セス・クラウンです。よろしく」

できるだけ愛想よく返す。

それにしても、ルーティは気弱そうな口調と外見。

リリーとシーナは強気な口調と外見。

一人と二人は真逆の性格をしているのだろう。

と、観察していると三人ともセスの膝で寝ている白の方を不審そうに見ている。

「基本害は無いから安心して」

三人が白のことを聞いて来る前に言う。

「じゃあ、触っても大丈夫ですか?」

ルーティは顔を輝かせている。

「ええ、どうぞ」

セスは白をルーティに渡す。

その時、起きていたのだろう白がこっちを睨む。

「ねぇ、セスくん、君はなんでそんなに髪が長いの?」

セスの髪についてシーナが聞いてきた。確かに髪は一般男子のそれではなかった。長さは腰ぐらいまである。これを初めて見た人はほぼ全員聞いてきていた。

「まぁ、いろいろと事情があるんだよ」

これまでに同じようなことを聞かれていたセスは、いつも通り言葉を濁す。

「事情て?」

シーナはしつこく聞いてくる。が、校長が台上に上がり話は中断される

少し残念そうに頬を膨らましている姿はとても可愛らしく思える。

しかし、このことを言えない、言えるはずがない。異世界から転生したとか。言ったとしても信じてもらえないのがオチだろう。

まぁこの事をいても説明には全くならないが。

今はこのぐらいでいい。

校長の話はすぐに始まった。

ここの校長も話は長くなりそうだ。

そう思えてしまうほど校長はそんな雰囲気を醸し出していた。


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