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無題1

作者: 音樹える

 昼間が暖かかったから、たまにはいいかと思い、夜は窓を開け、カーテンを開けたまま部屋の電気を落とした。それまで部屋を満たしていた淀んだ空気は、春先特有の程よい温度と湿度の空気へと変わっていく。

 春先、といっても、そろそろ五月に入ろうかというある日。別段、この日に何か特別な事があるわけでもなかった。ただ、こういう空気を吸いながら寝床に就くのはとても心地よかったのだ。だから、こうして文章を書く。


 窓の外を眺めてみれば、昼間の喧騒を忘れるほど澄んだ空に、星の群れ。私が住むこの街でも、昔はかなりの数の星を見ることが出来たらしい。だが、今は住宅の増加、交通量の増加によって空気が汚染され、年々見られる星の数は減っている。それでも、空に輝く一等星なんかを眺めていると、心が落ち着く。


 ふとベランダに出て、外の空気を思いっきり吸ってみる。先週までとは明らかに違う味がする。ちょっとだけ湿気が混じった、土の味がする。空気の状態を匂いで判断する人が多いと思うが、私は違う。空気の状態は、味わって判断する。なぜなら、鼻は舌に比べて感度が低いと考えているからだ。生物学的にどうだということは考えない。因みに、私が一番好きな空気の味は、雨が降り始めた時の味。土が濡れた匂いが混じった空気は、それだけで大自然にいるように感じる。


 現在時刻は午前二時。ほとんどの人はもう寝ている時間だ。私の家の前を通っている県道も、この時間になれば交通量は少ない。夜が深くなれば深くなるほど、辺りは静寂に包まれる。その静寂を味わいたいからこそ、今私は起きている。

 一人星空を眺めながら物思いに耽けているのは、傍から見たらただの悲しい人かもしれない。だが、私は誰にどう見られようと関係ない。この時間に、こうして考え事をするのが、他の何よりも好きなのだから仕方ない。ただ、女性願望が無いわけでもない。今私の隣に想い人がいたとするならば、勿論嬉しい。私は決して僧職系人間ではないから、誤解はしないでもらいたい。


 結局私は、この星空に、この空気に、安堵感を求めているのだ。私はまだ大学生だから、親に何かと世話をかける。親離れをしたいと思うのだが、なかなか出来ていないのが現状だ。親に世話をかけるのはあまり気分の良いことでは無いから、どうしてもストレスが溜まってくる。このストレスを発散するために、私は星空を見て、空気を味わうのだ。ちょっと可哀想な人に見えるかもしれない。実際、自分が気づいていないだけでそうなのかもしれない。


 だた、それは私のやっていることを試しに一回やってみてから評価してほしい。普段、騒々しい人の声や、車の音なんかを聞いている人にとって、静寂はとても居心地のいい空間に感じるはずだ。


 胸中を安堵感で満たした後は、ぐっすりと眠るといい。そして起きた時、一日が始まるのが嫌になっている人も、そうでない人も、きっと満たされた気持ちでもって一日を始めることが出来るだろうと、私は思う。


夜、窓を開けてみたら、心地よい風が流れてきて、書きたくなったので短いですが書いてみました。


こんな風に思う人は案外いるのかもしれない。

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