No.05 甘い痺れと、真っ赤な後悔。
ついに、ななは瑠花の首筋に嚙みついた。
(……あ、甘い。お姉ちゃんの血より、ずっと……濃くて、とろけそう……っ)
瑠花は「っ……あ……」と声を漏らし、体に力が入らなくなる。フリルブラウスの隙間から見える瑠花の肌が、微かに赤らんでいく。
(んっ......おいひぃ.......)
口元から吸っている血が一滴垂れる。
「あらまぁ...ほんとに食べちゃった.わねぇ..」
姉が楽しそうな笑う声を出すと、ななはハッと正気に戻る。
自分の口元に付いた一筋の紅と、瑠花の首筋に残る小さな歯型を見て、心臓が凍りつく。
「――――っ!! ご、ごめんなさい! 違うの、今の、は……っ!!」
瑠花は首を押さえながら、潤んだ瞳でななを見つめる。
「......えっと....望月さん...今...すごく......ドキドキしました...」
恐怖よりも先にななに何かをされたという高揚感が瑠花の心を満たす。
ななかが追い打ちをかける。
「瑠花くん...あのね...、あなたのことが好きすぎて我慢できなくなっちゃったみたいよ?」
「お、お姉ちゃっ...!!」
ななは顔を覆って悶絶するが、瑠花は驚きつつも、どこか嬉しそうに微笑んでいる。
瑠花の首筋についた歯形を見てななはついに隠し切れないと判断した。
「......瑠花くん......実はね......私......吸血鬼...なの......」
「えっ...?...うそ......」
瑠花は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をする。
「うぅ......ごめんなさいぃ」
────その後。瑠花が自宅に帰り、ななは自室に戻りドアに体重を預けてズルズルと座り込む。
(やっちゃったぁ......どうしよぉ......)
その時、ななの鼻に血特有の鉄の匂いがかすめる。
「......っ」
体がわずかに震えた。
「やだっ......だめっ......」
胸がぎゅぅっと締め付けられる。
「はぁっ......はぁっ......」
額に汗がにじむ。




