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突撃浪漫ロボで、異世界を制覇する  作者: 焼飯学生
第2章 豊穣の大地

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第8話 新たな仲間が加わった

「何だこの刀…」


 オークジェネラルが落とした長刀を拾い上げ、じっくりと観察してみる。

 刀は何処かの家紋が彫り込まれている漆黒の鞘に収まっており、鍔は複雑な模様が入っている金製になっていた。


「……」


 周りに人がいないことを確認したあと、刀を少し鞘から抜いてみると、長方形のような形状の刃文が刃に広がっていた。

 なんだろう、明らかに高そうな気配がする…

 刀を一通り見た俺は、ゆっくりと刃を鞘に収め、丁重に扱うことを心掛けることにした。


「…それで、伊織殿はそこで何を…?」

「…バレていましたか」


 草むらの方を見つめながら指摘すると、少し引き攣った笑みを浮かべた伊織が姿を現した。


「オークジェネラルは討伐出来たが…これからどうすれば…」


「取り敢えず、このことを奉行所に報告ですね。それと、貴方のランクをSランクまで昇格してもらわなければ…」

「えっ」

「えっ?」


 伊織の言葉を聞いた際、思わず声が出た。

 奉行所への報告はまだいい…問題がSランクへの昇格だ。最近傭兵になったばかりの奴が、いきなりSランクになったとなると、必ず素性を調べたり付きまとわるようになる。その際に、男とバレた暁には…

 最悪な事態を頭の中で思い浮かべ、思わず身震いしてしまう。


「…い、伊織殿、Eランクの私がいきなりSランクになるのは、あまり宜しくないのでは? 私としては、いきなりSランクというのを避けたいのだが…」

「アサヒ殿がそう望むのではあれば仕方ありませんね……今回は、オークジェネラルに2人で奇襲を仕掛け、何とか倒したということに致しましょう」

「それで頼む…」


 内心焦りながら伊織を説得し、何とか他の人達からあまり目立たなくするために、報告する内容を少し変えることが決まった。


「それで、これからはどうする予定なのだ?」

「そうですね…まずは子供達を連れ、陸奥まで戻ろうと思います。その後、連合会と奉行所に先程言っていた通りのことを報告しようかと…」

「では陸奥まで護衛しよう」

「それでは宜しくお願いします」


 これからのことを話し合って決めた俺達は、子供達が寝ている家屋へと戻っていた。

 村まで戻ると、


「おねえちゃーん!!」


 俺が出た時には寝ていた子供達が外に居り、子供達は俺らを見つけると伊織に駆け寄って抱き着いた。

 俺らが居ないことを心配し不安になっていたのだろう。


「大丈夫。もう大丈夫だよ…仇は討ちとった」


 伊織はしゃがみ込み、子供達に優しく声をかけながら、それぞれの頭を撫でた。

 子供達が落ち着くまで頭を撫でた後、事情を説明し陸奥に向かうことにした。


 ―◇―


 道中では、数名の3歳の子からおんぶを要求されたり、遭遇してしまったショタロリコン変態野郎をフルボッコにしたりなど様々なことがあったが、無事に陸奥に辿り着くことが出来た。


「オークジェネラルですか…にわかに信じ難いですが、子供達の証言から居たとのは間違いないでしょう…分かりました。奉行所にはそう報告致します。それと、子供達はこちらで保護しますね」

「よろしく頼む」


 陸奥にある傭兵連合会にて、受付嬢に村での出来事を一部偽りながら報告した。


「あ、それとオークジェネラルがこれを落としたのだが…預かって欲しい」


 ふと思い出した俺は、例の高そうな刀をカウンターの上に置いた。


「はい。分かりまっ……」


 カウンターに置いた刀を見た受付嬢は、言葉を失いその場に固まった。


「……えっ、あっ…え? か、かかかか神威!?」

「えっ!?」

「「「「「「「えぇ!!?」」」」」」」


 受付嬢の一言で、その場にいた全員の視線が、刀へと向ける。

 やばい。目立たないために、オークジェネラルを1人で倒したことを伏せたのに、思わぬ所で目立ってしまった……


「こ、これが…あの霊刀神威?!」


 頼み綱である伊織は、俺が目立ちたくないということを忘れて、受付嬢に事実を再確認する。

 てか、神威ってそんなにヤバい物なの?助けて偉い人!!


「そ、そうです。間違いありません!」

「本当に実在したんだ…」

「私にも見せてくれ!」

「私も頼む!」


 周辺に居た者達は、興奮気味に刀の元へと駆け寄り、受付はギュウギュウ詰めとなり、身動きが取れないようになってしまった。

 嗚呼…まさかこんな所で、擬似的に満員電車を乗った時の苦痛を味わうとは…夢にも思わなかったよ…それにしても、本当に神威について知りたい。思い切って尋ねてみるか?


「あ、あの…」


 質問をしようとしたその時だった。


「頼もう! 私は、役人の最上(もがみ)朱里(あかり)である。先日頼んだ調査について聞きに参った!」


 腰に刀を帯刀し、紺色の髪を1つに纏めている女性が数人の護衛と共にやってきて、それに全員の動きが止まり静まり返る。


「どうした。そんなに集まって…?」


 俺達が集まって居るのを見た朱里は、こちらへと向かって来て、それに合わせてモーゼの海割りのように集まって居た者達が、朱里達が受付まで行ける道を作った。


「…これは…神威?!」


 人だかりを不思議そうに見ていた朱里だったが、皆が集まって居た理由を見て、他の者同様驚いた。


「これを一体何処で!?」

「倒したオークジェネラルが持っていたんです!」


 狼狽しながら受付嬢に問い詰める朱里に、伊織が口を開いて答える。


「オークジェネラルが、何故我が国の霊刀を…いや…それよりもこのことを将軍様に、すぐにお伝えしなければ…報告は後々聞く! 今はこれにて失礼する!!」


 伊織の言葉を聞いた朱里は少し混乱し、緊急事態と称してそのまま刀を持って、護衛と共に本来の目的をほっぽりだして、出て行ってしまった。

 暫くの間、多くの者が唖然としていたが、一人が動き出すと、それに続くようにそれぞれの仕事ややらないと行けない事を片付けるために、戻っていった。


「……えっと…依頼は達成…で良いのか?」

「あっ…はい。報告は我々の方で行いますので、これにて依頼は達成です。それでは、報酬の金貨2枚です。それと、お2人は奇襲によりオークジェネラルを討伐しましたので、神条伊織さんはAランクに、アサヒさんは飛び級してCランクに昇格されます」

「あっつ!!」


 金貨を出した受付嬢がそう言うと、手に持っていた持っていた証明書が熱を発し、俺はその熱さで思わず声を出した。

 熱が冷めた証明書を見てみると、俺の現在のランクを表示していた場所がEからCへと変わっていた。

 恐らく、魔法か何かで文字を消して書き換えることが出来るのだろうが…熱くなるなら、先に行って欲しいかった。


「ランク更新もできたことだ。それでは、私はこれにて失礼する。伊織殿、この度は大変助かった。またどこかで…!」


 金貨を1枚手に取った俺は、伊織に礼を述べて新たな地に向かうため、その場を去ろうとしたその時、


「アサヒ殿!」


 伊織が俺の手首を掴んだ。


「どうされたのかな?」

「…私は強くなるために旅をしています。そして、あの時のアサヒ殿を見て、確信しました。貴方と共に旅をすれば、強くなるきっかけを持てると! ですので、私を仲間として加えさせてください!」


 伊織は頭を下げて仲間になりたいと申し込んできた。

 どうしよう…そりゃあ仲間は欲しい。欲しいのだが、何処かで俺が男だとバレる可能性は十分に有り得る。そうなれば、そこから俺のセカンドライフが崩壊する可能性もある。でもなぁ、今回の依頼で垣間見えた伊織殿の性格は、そういうことをする人ではなさそうなんだよなぁ……ああ悩む〜〜!!

 暫くの間、俺は両腕を組んで悩み、そして


「分かった。では、これからもよろしく頼む。伊織殿」


 と、伊織が旅に加わることを了承した。


「お任せ下さい。アサヒ殿!」


 伊織は嬉しそうに笑みを浮かべた。

 俺が男だとバレた時は、その時はその時だ。もう未来の俺に丸投げしよう!

 そんなことを思いつつ、俺は伊織と共に傭兵連合会を後にした。


 ―◇―


 世界の地下奥深く、星の核に近い場所。

 そこには、人為的に時空間が歪められた宇宙規模の広い空間があり、空間内にはあの黒い靄が満たされていた。


「チッ、失敗しやがったか…やっぱ、急成長させた豚程度はダメだな」


 全身はマグマを彷彿とさせるように、黒のボディに真っ赤な模様があり、目は鋭く黄色で、両手はドラゴンのように爪が鋭く大きい、そして背中には黒く禍々しい翼が生えている化け物が、閉じていく空間の亀裂を見つめていた。


「地道に兵力を集めてはいるが…こんな座間では、もう何十年かかる……人間や動物が集まっているところを掻っ攫うのがいいが…一体何処がいいか…」


 鋭い爪で頬を掻きながら、化け物は思考を巡らせて自分の目的を達成する方法を考え始める。

 すると、そこにバスケットボール程の大きさがある球体が、浮遊しながら化け物に近づいてきた。


『命令。対象ベリアル。作戦効率を上げるため、対象を村から列車、または貿易船に行うように変更を指示』


 球体は人工的な音声で、化け物をベリアルと呼び捨てで言い、一方的に命令を出した。


「なるほど船か…それなら、バレることなく大勢を攫うことが出来るな。流石だボス。その方向で作戦を練ってみる」


 先程の荒々しい喋り方や見た目から短気に見えた化け物だったが、ボスと呼んだ球体からの指示は素直に聞き入れて納得する。


『期待。では、あとは任せます』


 そう言い残して、球体は靄の中へと消えて行った。


「さて、まずは船を襲ってみるか。そうなると、そうだな……クラーケン、来い!」


 球体から任されたベリアルは、まるで咆哮のような大きな声で、誰かを呼んだ。


「ゲーソゲソゲソ! 呼びましたか? ベリアル様…?」


 すると、独特な笑い声と共に、黒い靄を水のように泳いで一体の人型の化け物が、ベリアルの目の前に現れた。

 クラーケンと呼ばれた化け物は、全長が2メートル程の真っ白な烏賊のような姿をしており、その目は身体の白さとはついなるように黒く濁った色をしていた。


「貿易船や大型船を中心に、ここに引き込むか、アビス化させてこい。お前ならそれがやりやすいだろ?」

「そう言うことであれば、このクラーケンにお任せを…!」

「俺様は他にもやることがある。船への襲撃はお前に一任するぞ。必要であれば、主竜鰐(デイノスクス)を連れて行ってもよい」

「ありがとうございます。それでは、早速行って参ります!」


 ベリアルから船の奇襲を頼まれたクラーケンは、黒い靄へと飛び込んで行き、そのまま消えて行った。


「後は列車の方を考えるか…チッ、俺様が出れれば一番良いんだがな」


 そうぼやきながら、ベリアルもまた黒い靄の中へと消えて行った。

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