表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
突撃浪漫ロボで、異世界を制覇する  作者: 焼飯学生
第2章 豊穣の大地

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/24

第7話 深淵に打ち込む杭

 周囲を警戒しながら家屋に移動した俺らは、囲炉裏の火で明かりを確保しつつ、囲炉裏を囲んで情報を交換をしていた。


「ふむ…遺体が不自然な程まで無いのと、黒い人間ですか…」

「嗚呼…」


 囲炉裏の炭を火箸で少し移動させながら、先程の出来事を伊織に話した。


「…私の方では、探索をしている最中、倉庫の中であの子達を見つけまして、その場で色々と事情を聞いていた奴らが襲ってきたという感じです」


 伊織は互いに集まってスヤスヤと寝ている子供達を見ながら話す。


「それで、この子達からこの村がアビスに襲われたことが分かりました」

「アビス…?」


 首を傾げて気になった単語を復唱しながら、伊織に尋ねた。

 アビス…どっかで聞いたことがあるような…あっ、プラサス市で戦った時の魔物の名前だ!


「はい。空間を切り裂くように出現する裂け目(ゲート)から出てくる異界の者達のことです。数百年前、勇者シグレ・カグラザキ様の活躍によって、アビスによる侵攻を食い止めることが出来たのですが…数十年前から裂け目(ゲート)を通して、各地に現れ暴れるという被害が多くなっているのです。恐らく、この村を襲ったのもアビスの手の者でしょう…彼らは、人間や生物を捕まえ、深淵獣(アビスビースト)深淵亜人(アビスノイド)と言った化物に姿を変えさせるのです。アサヒ殿が対峙したのは、第2段階(フェーズツー)となった屍人(ゾンビ)でしょう」

「アビスか…相当面倒臭い相手のようだな」


 アビスについて話を聞いた俺は、プラサス市での戦闘を思い出しながら、率直な感想を述べた。

 つまりあの時、俺は元人間か動物をぶった切っていたということだ。人間や動物の数だけ、アビスの化物が生れるとは…本当に面倒くさい。


「村については何か聞いてはいるのか?」

「勿論です。数週間前から、畑が荒らされるということが起きて、動物でないと判断したため、奉行所に頼もうとしたようですが、中々取り合って貰えなかったと…そして昨晩、デモンオークの軍勢が襲ってきたそうです」

「本当に災難だったな…ん? 待て、オークではなく、デモンオーク…?」


 村の出来事を聞いていると、気になる単語が出てきたので、伊織にその事を尋ねた。


「ええ…獣人種の中に猪人族(オーク)が居ますので、それらと区別をつけるためにアビスが作り出す化物のオークを偽豚族(デモンオーク)と呼んでいるのですよ」

「なるほど…なら、本物のオークの者達には失礼がないようにしなければな……それで、本題に戻るが…村を襲ったデモンオークは何処に…」


 通常とアビスのオークに違いがあることを知りつつ、デモンオークの行先を尋ねた。


「どうやら、村の門の反対側にある森の中へと消えて行ったそうです。今は英気を養い、明日の朝に調査致しましょう」

「……そうだな…今宵は私が見張りをしよう。伊織殿はゆっくりと休んでくれ」


 伊織からデモンオークが向かって行った方角を聞き出し、伊織の提案を同意するふりをした。


「それでは、お言葉に甘えまして!」


 そう言って伊織は、子供達の横に寝転んで寝始めた。


「…暫し待つとするか」


 パチパチと囲炉裏の火が鳴る中、俺は伊織が熟睡するまで待つことにした。

 数時間後、子供達と確実に寝ているであろう伊吹が寝息を立てて寝る中、俺は音を可能な限り立てないようにして、家屋の外に出た。


「伊織殿には悪いが…こういうのは、放置するし続けるのは面倒臭いからな…さっさと決着を付けさせてもらおう!」


 家屋から出た俺は、武装を再度展開して、夜空へ飛び立ち、伊織が子供達から聞いていたという方向に向かって飛んで行った。暫く飛んでいると、森の中に開けた場所が見えてきた。


「アイツか…?」


 空中で留まりながら、開けた場所を見つめていると、土が着いたままの野菜に齧りついている真っ黒な鎧を身に纏い、黒い牙と角が出ているデモンオークらしき者と、俺らが戦ったデモンオークと瓜二つの連中が数匹居た。

 そして、鎧を着たデモンオークの後ろの空間には、破壊された窓ガラスのように、ひび割れが入っている空間の穴らしきものがあった。

 穴の先は真っ黒に光り輝いており、何処か不気味な雰囲気を放っていた。


「それじゃあ…突撃いぃーー!」


 ――ボォーーンッ!!


 背中の噴射ノズルで加速してから、一気に急降下しデモンオークの一体に殴りかかった。


「ブヒラァ?!」


 勢いがついた鉄の拳は、一体のデモンオークの顔にめり込み、回転しさせながら吹き飛ばした。


「次は…!」


 デモンオーク達が混乱しているうちに、俺は次のターゲットを定め、一気に間を詰めた。


「ッ!! ガッ!!」


 狙いを定めたデモンオークの腹に連続で拳を叩き込んだ後、顎にアッパーを食らわせ、食らったデモンオークは後ろへと倒れ込んだ。


「どうした? こんなものか?」


 構えを取り、辺りを見渡す。

 残りの敵は重装備のデモンオーク1体、普通のデモンオークが5体。

 苦戦するような数でも相手でも無さそうだな…!


「ヴオォーーーー!!」


 どの順で倒していこうかと考えていたその時、重装備のデモンオークが雄叫びを上げた。

 すると、裂け目からゾロゾロとゾンビが現れ、あっという間にデモンオークと共に俺を囲んだ。


「多勢に無勢…四面楚歌…ってか?」


 大勢の敵に囲われたことで、俺のテンションは高まる。


「久々に本気が出せそうだな…来いよ、死体と豚共!!」


 戦いに楽しさを感じながら、俺は死体と豚の群れに挑むことにした。


「どうした、どうしたァ! こんな程度で、ナンバーワンプレイヤーは倒せねぇーぞ!!」


 次々と襲いかかってくるゾンビとデモンオークの溝内や顔などに、カウンターを入れつつ、様子見をしている奴らに対して挑発を行う。


「折角だ。ここで色んな武器の検証と行こう! 伍式カスt」

「八重極真流! 嵐刃十蹴!」


 武装を変えようとしたその時、伊織の声が聞こえると同時に、数体のゾンビに風でできた複数の刃が襲った。


「ここに居ましたか。アサヒ殿!」

「…あっ、伊織…殿……」


 森の中から飛び出てきた伊織は、気まずいと思っている俺に声を掛け、互いに背中を守るように立って構えた。


「何処かに向かったとは思いましたが…まさか単独でアビスの相手をしてるとは…」

「いやなに…少し怪しいヤツを見かけてな…追いかけてみたら、こうなってしまって……」


 内心冷や汗をかきながら、何とか誤魔化そうと試みるが、


「その割には、結構楽しそうな声が聞こえていましたよ……」


 伊織には通じなかった。


「………しかし、よく気づいたな。あまり音を立てないように移動したのだが…」

「私、人一倍嗅覚と聴覚が良いんですよ。貴方が居なくなったのはすぐに気づきました」

「伊吹殿は凄いな…」


 一か八かで話題を変えてみると、伊織が少し誇らしげに自身の長所を語ったため、この勢いで誤魔化せそうになる。


「それで伊織殿、私はあのボスらしき、重装備のデモンオークをやる…伊織殿は他の相手を頼めるか?」

「ボス…? ッ!?」


 誤魔化しつつ、敵の分担の話をすると、伊織は重装備のデモンオークを見ると否や、顔が真っ青になる。


「撤退しましょう! 今すぐに!」

「何故だ?」

「あれはただのデモンオークではないです! あれは、デモンオークの上位種の偽豚将軍(オークジェネラル)。怪力や硬化などの厄介な能力を持っている上、魔法で召喚するデモンオークは、Bランク傭兵と同等の力がある上に細かな連携を取るという、Sランクの傭兵が挑むような敵です!」

「ほ〜…」


 動揺している伊織から説明を聞いた俺は、ヘルメットの中で笑みを浮かべた。


「それでは伊織殿、後は任せる!」

「えっ! ちょっ、貴方ではオークジェネラルには…!」


 伊織に一言かけたあと、機翼型推進器(ウィングブースター)を起動させ、偽豚将軍(オークジェネラル)に向けて直線に進んだ。


「ハァッーーーー!!」


 邪魔なデモンオークやゾンビを弾き飛ばしながら、俺はオークジェネラルの顔を掴み、木々にオークジェネラルをぶつけて張り倒しながら進む。


「グガアァーー!!」


 オークジェネラルが叫び声をあげる中、真っ直ぐと突き進み、先にあった岩壁に叩きつけた。


「ガッ……アッ…!」


 岩壁に叩きつけられ、フラフラになりながらもオークジェネラルは立ち上がった。


「さて、お前に俺の愛武器を見せてやる! 伍式カスタマイズ…!」

『承認。武装、伍式に変更します』


 オークジェネラルと1対1の状況を作り出した俺は、武装を変える。

 左腕には捕縛網発射器(ネットランチャー)、右肩には小型自律航空機射出器オートドローンカタパルト、左肩には小型追尾噴進弾発射機ライトホーミングミサイルランチャー、そして右腕には、俺の愛武器でもあり浪漫武器の代名詞でもある鋼杭打機(パイルバンカー)が、それぞれ装備された。


「ナンバーワンプレイヤーの力……その一端を得とご覧あれ…!」


 ――ババババババシュッ!!


 小型追尾噴進弾発射機ライトホーミングミサイルランチャーから6発のミサイルを偽豚将軍(オークジェネラル)に向けて放った。


「ウゴオッ?!」


 オークジェネラルは驚きつつ、両手で顔をガードし、全てのミサイルを受ける。


「……グゥッ…ガアァーー!」


 伊吹が言っていた硬化の能力で、ミサイルを耐え抜いたオークジェネラルは、雄叫びを上げた。すると、それと同時に地面に巨大な五芒星のマークが描かれた魔法陣が現れ、その魔法陣から通常のデモンオークが4体程、這い出でるように出てきた。


「確かに、あれらがしっかりと連携してくるのは面倒臭いな…ってことで、相手を任せる。ドロちゃん…!」


 右肩の小型自律航空機射出器オートドローンカタパルトから、戦闘機の形をした一機の無人機を飛ばし、射出された無人機は、空高く飛び上がって行った。

 一方のオークジェネラルはミサイルを防いだ腕に黒い靄をそれぞれ浴びせており、デモンオークは無人機のことを無視して、俺の動きを伺っていた。


「君らに良いことを教えてやる。TALOSの無人機は、そこそこ脅威なんだぜ」

「グガッ?」


 俺の言葉に、デモンオーク達は不思議そうに首を傾げる。

 そしてその上空では、無人機がデモンオーク向けて急降下を始め、搭載している爆弾と小型ミサイルを放った。


 ――ボカァーーン!!


「グギャアァーーーー!!!」


 4体のデモンオークは、無人機が放った爆弾とミサイルに気づかず諸に食らい、爆発に巻き込まれ、地面の魔法陣諸共吹き飛んだ。


「…ホーミングミサイルや、無人機の性能調査も終わった事だ…メインディッシュと行こうか!」


 日が出始めようとしているのを見た俺は、左腕の捕縛網発射器(ネットランチャー)の銃口をオークジェネラルに向けて狙いを定めた。


「発射っ!」


 捕縛網発射器(ネットランチャー)から放たれた弾は、空中で側面が裂け、中から蜘蛛の巣状のネットを出して、避けようとしていたオークジェネラルの右腕に巻きついた。


「起動!!」

「ガアァーーーー!!」


 一言呟くと、ネットの中央にある黒い円盤状の小さい機械からネット全体に電流が流れ、オークジェネラルはその電流に感電し、悲痛な叫びをあげる。

 作り出した隙を逃がさないためにも、背中の推進器を再び起動させ、一気にオークジェネラルとの間を詰める。


「グアッ!!?」


 危険を感じたのか、オークジェネラルは両腕を硬化させ、防御の姿勢を取った。


「乾坤一擲! 鋼鉄杭撃(パイルバンカ)ァーー!」


 ――バゴォンッ!!!


 タイミングを合わせて殴ると同時に鋼杭打機(パイルバンカー)から杭が放たれ、周囲に轟音が鳴り響く。


 ――ガゴンッ!


 俺が右腕を突き出しているままの状態で、鋼杭打機(パイルバンカー)は音を立てて元の状態に戻った。


「討伐完了という所かな?」


 警戒心を時、俺はへそからしたの下半身だけが残ったオークジェネラルを見つめる。

 そして、唯一残っていた下半身は、まるで砂のようにボロボロと崩れていき、その場にはオークジェネラルが腰に帯刀していた1本の刀が残った。


 ―◇―


「…凄い…」


 残党をすぐに片付け、身を隠してアサヒとオークジェネラルの戦いを見ていた伊織は、思わず声を出した。


「あのオークジェネラルを意図も容易く…アサヒ殿…貴方は一体…」


 少し興奮気味に伊織はアサヒを見つめる。

 そして暫くアサヒを見つめた伊織は、とある決断をする。


「あの人と共に旅をすれば、多くのことを学べるかもしれません…是が非でもお供させてもらえるように頼んでみましょう…!」


 伊織は手を合わせ、アサヒに着いて行くことを決めた。

 こうして、世界一の強さを求める一人の女性武道家は、アサヒと共に進む道を選んだのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ