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突撃浪漫ロボで、異世界を制覇する  作者: 焼飯学生
第2章 豊穣の大地

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第6話 荒れた村に豚は蔓延る

「またか…」

「ああ、これで6件目だ…次はどこが……」


 地命国北西部に位置する松風村にて、村長の家に数名の女性が集まっていた。

 彼女らが話し合っているのは、最近村で起きている畑荒らしについてだ。

 畑荒らしは、基本的に野生動物によって起きることが多いのだが、今回ばかりは野生動物と断言するには難しい程、大量の作物が酷く荒らされており、村人達は人為的な物だと判断しているのだ。


「一応、奉行所に対処するよう頼んではいるが…近年の地命国の改革で忙しいようで、人を派遣することが難しいとのことじゃ…」


 村長である老婆は囲炉裏で身体を温めながら、政府が対応が難しいことを村人達に伝える。


「…こうなれば、各自で見廻るしかないね…念の為子供達には目を離さないように、男達に伝えないと」

「そうだな。奉行所が対応出来るまで、我慢するとしようか」


 村長の言葉を聞いた村人達は、少し不快そうな表情を浮かべつつ、各自で自衛するしかないと判断した。


「それじゃあ、今日はこれまでとしようか。また何かあったら、報告するように…」

「「「「「はい!!」」」」」


 話し合いが終わり、村人達は不安を抱えながら、各自の家へと戻って行った。

 この畑荒らしが、大事になるとは知らずに…


 ―◇―


「んー、よく寝たぁ〜!」


 宿で一晩休んだ俺は、身体を伸ばしながら、傭兵連合会を探していた。

 理由として、資金がもっと多く手に入れるためである。それと暇つぶし


「おっ、あったあった」


 宿から出て十数分後、ようやく傭兵連合会が入っている建物を見つけた俺は、そのまま中へと入った。

 建物の中は、海門にある傭兵連合会の2倍以上の広さがあり、それなりに賑わっていた。


「ふむ…デカイ依頼をやりたいが…」


 壁にかかっている大きな掲示板の前に立った俺は、そこに付けられている以来の内容を確認し始める。


「害獣の討伐銀貨(シルバー)5枚、盗賊討伐銀貨(シルバー)8枚、畑荒らしの犯人調査金貨(ゴールド)2枚、場合によっては追加報酬あり…」


 気になった依頼書を読み上げながら、掲示板に貼られている依頼の内容と睨み合いをする。


「…これかな?」


 暫く悩んだ後、俺は貼られていた1枚の依頼書を手に取り、受付へと向かった。

 手に取ったのは、畑荒らしの犯人調査の依頼だ。普通なら、手に取らない内容だが、1つ気になった点がある。その点というのは、依頼人が奉行所となっていたからである。

 まぁ、俺の今のランクで受けれるかつ、それなりの報酬がもらえるのが、これくらいしかないというのもあるが…


「奉行所からの調査代行の依頼ですね。もう一人連れて行かなければなりませんが…どういたします…?」

「えっ…?」


 どうやら人数条件があったようで、俺は思わずその場で固まってしまった。

 そんなこと言われても、この世界だと完全にソロだからなぁ…

 依頼の取りやめを考え始めたその時、


「私で良ければ、ご同行致しますよ」


 後ろから声を掛けられ、後ろを振り返った。

 そこには、栗毛のウルフカットのショートヘアで、上は白で下が紺になっている野袴を着たツリ目の美女が居た。


「その言葉に甘えてよいか…?」

「無論! 女に二言はありません!」


 俺が再確認すると、美女は真っ直ぐな瞳で見ながら頷いた。


「それでは、私と彼女で依頼に挑む」

「分かりました。それでは、それぞれの傭兵書をお預かりします」

「…?」

「よろしく頼みます」


 受付嬢に言われ、俺は頭の上にハテナマークを浮かべつつ、美女と共に傭兵書を渡した。


「…はい! Eランクのレットさんに、Bランクの神条(かみじょう)伊織(いおり)さんですね。依頼書に登録完了しました。それでは、こちらに向かってください」


 そう言って、受付嬢は俺らの傭兵書とマップを渡してくれた。

 …これ、もしかして護衛任務カウントされてないのか…?俺は無駄足だったが…


「それではアサヒ殿、この松風村に向かいましょう!」

「……ああ…」


 前回の任務に内心落胆しながら受付嬢から互いの名前を知った俺らは、目的地に向かうことにした。


 ―◇―


 依頼を受諾して、村に向かうために列車で乗り込み、北西に向かっていた。


「それでは、改めまして自己紹介を…私は八重極真流師範の神条伊織と申します…!」

「傭兵のアサヒだ。私は記憶が1部欠如していてな…縁ある場所を探すために旅をしている」


 向かい合うように列車の客車の椅子に座り、それぞれ自己紹介を済ませる。


「記憶喪失とはまた…大変ではなかったですか?」

「まぁ、困ることはあまり無いかな? しかしながら、覚えていないことが多いゆえ、ことあることに説明して欲しいのだが…良いか?」

「無論お任せ下さい」


 列車に揺られながら、俺は伊織に質問をすることにした。


「1つ聞きたい…伊織殿は何故、初対面の私とパーティーを組み、今回の依頼を引き受けてくれたのだ?」

「簡単なことです。私は祖母からよく、誰であろうと必ず優しく接し、困っていた場合は可能な限り助けよっと、教えられてきたので、それを守ったのに過ぎません」


 胸を張って伊織は、誇らしそうに言った。


「なら、そのご好意に甘えさせてもらおう……ああ、それと、八重極真流について少し知りたいのだが…良いか?」

「勿論! それではまず、八重極真流の心得をお話致しましょう!」


 そこからは伊織のターンだった。

 八重極真流の3つの心得とその理由、八重極真流の誕生経緯、八重極真流の歴史などなど、1つ聞いたら100で帰ってくるため、時間は圧倒言う間に過ぎ、車内アナウンスが流れ始めた。


『まもなく〜…陸奥〜、陸奥でございます。お降りの際は、お忘れ物が無いようにご注意ください』


「おや、もう到着ですか…確か、最寄りが陸奥でしたね。八重極真流の究極奥義についてはここまでにして、駅に降りましょうか」

「ああ…」


 俺らは席から立ち上がり、客車の出入口へと向かった。時期に列車はゆっくりとホームで停車し、扉が車掌によって開けられて行く。

 扉が開いたことで、俺らは陸奥と看板が立っているホームに降り立ち、各自で身体を伸ばす。

 ふと看板を見て思ったのだが、もしかしてこの地命国の地名は日本海軍から来てないか?首都は金剛で、ここは陸奥。両方とも戦艦の名前だ。まぁ、日本艦の名前が地名から来ているし、ここを作った昔の転生者が、日本の地名から取って名付けたのかもしれないが…


「えーっと、目的の松風村はここから更に北西に歩かないとダメですね。昼食を食べた後に向かうとしましょうか」


 俺が別のことを考えていると、受付嬢から受けとった地図を見ていた伊織から、昼食を摂ることを提案された。


「飯とは言え、この辺だと何が有名なのだ?」

「そうですね…陸奥辺りだと…牛の舌を焼いて食べる牛タンと言う物が有名ですね。塩だれという物で食べる故に美味いとのこと」

「……なら今すぐに探して食べるとしよう! 金なら多めにある!」

「分かりました。それでは探しましょう!」


 伊織から牛タンがあると聞いた俺は、好物の一つである牛タンを食べるために、飲食店を探すことにした。

 数時間ほど、二手に分かれて探し回ったが、


「……」

「いやー、まさか空いてないかったとは…」


 ようやく見つけた店が定休日だったため、結局牛タンは食べれなかった。

 楽しみにしていた分、ショックがでかい…


「ま、まぁ…美味しいお蕎麦を食べれたので、よしとしましょうよ!」


 呆れが少し混ざっている声で、伊織は励ましてくる。

 確かに蕎麦は美味かった…そこら辺で売っていた蕎麦に近い値段だったのに、味は比べ物にならない程良かった。だが、それはそれとして牛タンが食べたかったよ…


「…そうだな。気を取り直して、松風村に向かうとしよう!」

「はい!」


 こうして俺らは、徒歩で目的地の松風村へと向かうことにした。


 ―◇―


 沈み始めようとしている日に照らされながら、俺と伊織は薄暗い田道を歩いていた。


「見事なまでに育っているな…」


 実りの良い稲を見た際に、素直な感想を述べる。

 しかし、基本的に現代か近代と同じ技術が無ければ、これほど育つことはそうそう無いはず…どういう原理だ?シンプルに豊作ということか?

 そんな疑問を抱いていると、伊織が口を開いた。


「ええ、地命国はテラクリスタルの恩恵を頂き、豊穣の大地となっているのですよ」

「テラクリスタル?」


「はい。数百年前に、アビスを撃退した勇者、シグレ・カグラザキ様が使用されていた聖杖アークエーテル。その武器に埋め込まれていた宝珠の1つです」


 伊織は地命国の秘密を話してくれた。

 テラクリスタルにアークエーテル…何処かで聞いたことがあるんだよなぁ〜?何処だったか?

 知っているはずなのに思い出せないというもどかしさにかられる。


「1つということは、他にもあるのか?」


 2つの単語に聞き覚えがある俺は、もう少し詳しく話を聞くことにした。


「はい。イグニスコア、アクアコア、ウェントスクリスタルが、地命国とはまた別の国に、それぞれ厳重に管理されてます。なんでも、己の力を悪用されることを恐れた勇者様が、宝珠を各地の人々に預けたとのことです」

「なるほど…」


 伊織から他のことを聞いたが、それでも思い出すことが出来ず、頭の中のモヤモヤは更に大きくなる。

 これは1度実物を見る方が良いな…各国に向かったら、日本人っぽい勇者について色々と知ることが出来るか…?

 そんなことを思っていると、


「あっ、あそこですかね?」


 何かを見つけた伊織が指を指す方を見てみると、そこには木の柵で全体を覆っている村があった。


「ふむ……どうやらそのようだな」


 こっそりとTALOSのメットに内蔵されているカメラの望遠鏡モードを使い、村への入口にあった木の杭に松風村と書かれてあるのを確認した俺は、伊織に目的地だということを伝えた。


「それなら、早く向かいましょう。間もなく夜になるので」

「承知した」


 俺らは歩るく速度を早め、日が完全に沈む前に村に向かった。

 日が沈む直前とも言える時間に、俺らは村に辿り着いたのだが、


「これは…」

「…何かに襲われたようだな」


 村の現状を見た俺らは、その場で戦慄する。

 村はほぼ原型を留めていたが、建物の扉や外に置いてあったのであろう農作道具は破壊され、あちらこちらに血痕が残っていた。


「…血痕が地面にも残っているということは、襲われてからそう時間は経っていないだろう…一体誰が…」


 しゃがみこみ、地面に着いている血痕を見ながら伊織は呟く。


「今は生存者を探すしかないな……この状況だと、居る可能性は低いが…」

「そうですね。手分けして探しましょう」


 俺らはそれぞれに別れて、生存者探しと調査を行うことにした。

 伊織と別れた俺は、扉が壊されている一件の家の中に入り、中の状態を見ることにした。


「…盗賊という訳でも無さそうだな…」


 家の中は争った形跡や血痕はあるが、金目になりそうな物を奪うため、片っ端から家の中を粗探したという感じではなかった。


「これだけ血痕があるのに、遺体の無いのが余計不気味だな…まるで、人…遺体を必要としているような……」


 村の不気味さと、夜になったことで周囲が薄暗くなったのが相まって、悪寒を感じる。


「他も見て回るか…」


 更に詳しく調べるため家から出てみると、そこに1人の男が立っていた。


「……」

「そこのおか…」


 男に気がついた俺は傍に駆け寄るが、こちらに振り返ってきた男を見て、違和感を感じた。

 男の目はハイライトがなくどす黒く、服はボロボロな上に血が付着している。


「壱式カスタマイズ…人間じゃあないな…何ものだ?」


 武装を展開し、右手の自動小銃(アサルトライフル)の銃口を男に突きつけて問い詰める。


「……ギュラァーーーー!!」


 男はいきなり人間とは思えない雄叫びを上げた後、衣服も含めて全身が真っ黒になった。


「…」


 片手腕を刃に変化させた男は、地面を蹴り飛ばして、俺との間を詰めて斬りかかってきた。


「剣技が素人そのものだぞ?」

「ガ、ァ…ッ!」


 俺は左手の粒子式刀剣(レーザーソード)で、襲いかかってきた男の身体を刃となった腕ごと切り伏せた。

 斬られた男は、切り口から身体が砂のように崩壊して行き、そのまま霧散して行った。

 今の散り方…ジュールスの時と似ているな…もしかくして、前の列車襲撃とこの村の異常は、共通の黒幕が糸を引いているのか?

 そんなことを思っていると、


 ――ドゴン!!


 左の方から大きな音が聞こえた。

 どうやら、伊織の方でも何かあったようだ。急いで向かうとしよう。

 背中のスラスターを勢いよく吹かせて家の屋根に昇った後、家と家を飛び映りながら伊織の方へと向かった。


「八重極真流、金剛正拳!」


 伊織の元に辿り着くと、伊吹はオークらしき二足歩行の豚の腹に鋭い正拳突きをのめり込ませ、吹き飛ばしていた。


「くっ…数が多い…!」


 構えを直しつつ、伊織は自分を囲んでいるオーク達の様子を伺っていた。

 そして、そんな伊織の後ろには、


「お姉ちゃん……」


 村の生き残りであろう数名の子供が、集まって震えていた。

 流石に助太刀するか…


「肆式カスタマイズ!」

『承認。武装、肆式に変更します。』


 超近接による殴り合いが良いと思った俺は、武装を変更した。

 両腕は黒鉄機械篭手(アイアンガントレット)を、両肩には機翼型推進器(ウィングブースター)をそれぞれ装備した肆式。完全に間を詰めてぶん殴りまくるというスタイルのカスタムだ。


「さ〜って、いっちょ暴れるか…!」


 機翼型推進器(ウィングブースター)の翼を展開させ、屋根から飛び降り、一体のオークに目掛けて殴り掛かった。


「ゴバァッ?!」


 落下速度で加速された重い拳を顔面にモロに食らったオークは、顔面を物理的に崩壊させながら吹き飛んで行った。


「ラッシュと行こうか…!」


 スラスターで姿勢を取り直し、背中の噴射ノイズで一気に距離を詰め、別のオークの腹に連続で拳を叩き込んだ。そして、それを食らったオークは後ろに倒れ込み動かなくなる。


「ウオォォォ!!!!」


 また別のオークが、持っていた斧を俺に目掛けて振りかざしてきたが、機翼型推進器(ウィングブースター)の翼を水平になるようにした後、勢いよくジェットノズルを吹かせ、その場で一回転したのち、勢いをつけた拳を叩き込んだ。


「八重極真流、衝撃掌底!」


 残りのオークを見ようとした時、最後の一体に伊織が腹に掌底打ちを食らわせていた。


「ウッ……ガァ……」


 腹に掌底打ちを叩き込まれたオークは膝まづき、前のめりに倒れた。


「さて、この者達も倒したことだ。伊織殿、情報共有と行こうか」

「そうですね。こちらはかなり重要そうな情報が入りましたよ…」

「では、場所を移動しよう…先程良さげな場所を見つけてな」


 敵がもう居ないと確認した俺らは、互いの情報交換を行うため、移動中に偶然見つけた荒らされていない家屋に向かうことにした。

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