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突撃浪漫ロボで、異世界を制覇する  作者: 焼飯学生
第1章 未知の世界

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第5話 腹は減り暗闇は企む

 ビッグガールは朝日に照らされながら崖の上を走っていた。

 レーダーで残っている敵を探ってみたが、全員が沈静化されたようで、レーダーには敵を示す赤い点がなかった。

 そして、俺は一息つくため最後尾車両の屋根の上まで移動し、その場に座った。


「冤罪で、どん底人生か…」


 途中で回収した大男の片手斧を眺めながら、大男が言っていた言葉が脳内で再生される。


「…働けば最底辺の環境の中働き、女性との裁判には例え冤罪だったとしても100%の確率で負ける…まるで、昭和初期の男と女の立場を逆転させ、現代での男の生きづらさ足したという感じだな…」


 プラサス市で見たことと、大男の発言からこの世界での男性立場を考え直す。


「…ジュールスか…」


 ふと、片手斧の持ち手を見ると、大男の名前が掘られていたため、名前を復唱した。


「それじゃあ、これは預かっておくぜジュールス…」


 既に居ないジュールスに語りかけた後、片手斧をインベントリアに入れた。


 ――ボーボッボッ!


 ビッグガールの汽笛が鳴り響き、ふと線路の先を見てみると、大きく白い和風の城を中心に街が広がっており、大通りを中心にレンガ造りの建物がチラホラと建っていた。


「江戸から明治に向かっている日本って感じだな…」


 目的地であろう金剛を見た時の感想を、率直に述べる。

 そしてビッグガールは、途中にあった川に沿い金剛へと向かって行く。暫くすれば、ビッグガールは街中へと入って行き、城の近場にある駅にて停車した。俺は屋根からホームへと降りたった。

 ホームは、ビッグガール以外の列車を止まっていない影響か、駅員以外の人は居なかった。


「アサヒ殿、ご無事でしたか!」


 ホームに降り立って身体を伸ばしていると、俺に気がついたグルードが駆け寄ってきた。


「ここまでの護衛、ありがとうございました…これは報酬です。足りるかどうか…」


 そう言って、グルードはエメリーにパンパンに膨れた小袋を持って来させ、俺に渡した。

 中身を確認してみると、袋の中は金貨らしきコインが詰められていた。


「……確か、報酬は金貨5枚では?」


 袋の中身に驚きながら、依頼報酬について再確認することにした。


「今回、貴殿には危ない所を助けて貰った。追加ボーナスとして、受け取ってくれ……それでは、グルード様、そろそろお時間が…」

「分かりました。アサヒ殿、この度は護衛としての任務をしっかりと果たして頂き、誠にありがとうございました…それでは我々はこれで」


 そう言い残して、グルード達は他の護衛と共に改札を潜って、街中へと向かって行った。


「これで、当面の資金源は確保出来たな………飯を食いに行くか」


 押し込めていた疲れが出て、それと同時に腹が減ったため、俺は近場の飯屋を探すために改札を抜けて街へと出た。


 ―◇―


 とある国にある廃れた村。

 その村の地下には、地上の建物とは雲泥の差があると言っていい程、豪華な装飾が施され、この世界のには似つかわしくない素材で作られた部屋があった。

 その部屋の真ん中にある椅子に、人々を嘲笑うかのような仮面を付け、黒を基調とした宮廷服を身に纏っている黒髪の少年が座っていた。


「う〜ん、上手く行っていたと思ったんだけどな〜?」


 そう話す少年の左手の掌の上には、トランプのクラブ5が宙に浮きながら回っていた。

 すると少年は、肘置きに置いていた右手の掌を自身の前に向けて床に魔法陣を作り出し、そこに回していたトランプカードを魔法陣の中心に投げ入れた。魔法陣の中に投げ入れたトランプカードは、まるで沼に飲み込まれるかのように消えて行った。


「ほんと、この赤鎧は何だったんだ〜? 彼奴さえ居なければ、作戦は大成功だったのに…」


 少年はトランプカードを吸収させた魔法陣から立体映像を出す。

 その映像は、TALOSを身に纏い黒騎士と戦っているアサヒの姿だった。


「まぁいいや! 種は沢山あるし、地命国には彼奴が仕掛けようとしてるから、僕は引き続き種を作りつつ、支配を続けようか…!」


 少年は魔法陣に手を向けて、左から右へに動かして魔法陣を消し去った後、椅子から立ち上がって部屋に唯一ある扉へと向かった。


「…さて、今日の仕事をさっさと終わらせようか」


 扉をくぐり抜けて部屋の外に出た少年は、ネクタイをしっかりと締めた真っ黒なスーツを着て、サングラスをかけた女性の姿となり、そのまま地上へと上がって行った。


 ―◇―


 護衛任務が終わり、腹を空かせていた俺は、駅の近場にあった牛鍋と書かれた看板を掲げているすき焼き屋の前に居た。


「…牛鍋を叩いてみれば、文明開化の音がする…ってか?」


 本で見たうろ覚えの明治時代の言葉を思い出しながら、扉を開けて中へと入る。

 店の中に入ると、身なりが良い者が楽しそうに会話をしながら、すき焼きを食べていた。


「いらっしゃいませー、何名様ですかー?」


 店内の雰囲気を見ていると、俺に気がついた店員が駆け寄ってきた。


「1名だが…あそこの個室らしき場所は使えるか?」


 俺は店の奥の方にある個室らしき場所を指さしながら、店員に尋ねた。


「使用出来ますけど…それだと、少しばかり高くなりますが、大丈夫ですか?」

「…これで足りるか?」


 俺は袋の中身を店員に見せ、問題がないか確認することにした。


「し、失礼致しました! ご案内致します…!」


 俺がそれなりの金を持っていることに気がついた店員は、冷や汗を垂らしながら個室に案内してくれた。

 個室はこじんまりとした感じで、4名程度ならの余裕で入れる程度の広さだった。


「それでは、ご注文が決まり次第、そちらのベルを押してお知らせ下さい。失礼致します…」


 店員は説明した後、一礼して個室の扉を閉めて離れて行った。

 メニュー表を見てみると、定番のすき焼きや、高級食材をふんだんに使ったすき焼き、鳥で安めのすき焼きなど様々な物が書かれていた。


「…せっかくなら、この極楽コースという物にするか…値段は〜…1人金貨6枚……うん、まぁ足りるでしょ…」


 高級すき焼きの値段が、護衛任務を最初に受けた時の報酬以上ということに、少し引きつつ頼むことにした。

 部屋にあったベルを鳴らすと、先程とは別の店員がやってきた。


「お待たせいたしました。ご注文をお伺いします」

「…この、極楽コースを1つ頼む」


 やってきた店員にメニュー表に書かれてある極楽コースを指さしながら頼んだ。


「畏まりました。直ぐにご用意致します…」


 メモを取った店員は、そのまま出て行った。

 暫く待っていると、野菜や肉がそれぞれ盛られた皿、卵が1つ入った器、白米が入った茶碗などが乗っているお膳を店員が持ってきた。


「こちら、極楽コースの料理となります。火をお入れ致します」


 そういうと、店員は鍋に向けて手を翳し、力を込めた。

 すると、鍋の下にあった六角形の金属の鍋敷きが、赤く光り始めた。


「鍋が沸騰したのち、こちらの手順通りに牛鍋をお作り下さい。また、其方の鍋敷き、大変熱くなりますので、触れることのないようにお願い致します…それではごゆっくり」


 店員は持ってきた紙を俺に渡した後、個室の扉を閉めて離れて行った。


「解除っと…」


 TALOSを脱ぎ、アンダースーツの状態になった俺は、鍋が沸騰し始めるまで待つことにした。

 数分程待っていると、鍋の中にあるタレがグツグツと煮えてきたので、紙に書かれてある通りに、食材を入れ始める。 

 食材を全て入れた後は、卵の殻を割って中身を器の中に入れ、よくかき混ぜた後、食材に火が通るのを待つ。


「そろそろかな…?」


 食材に火が通ったと判断した俺は、鍋から1枚の肉と野菜を箸で取り、卵に潜らせた後、口へと運ぶ。

 美味い肉に新鮮な野菜を巻くのは、最高の贅沢だよね…うめぇ…!


「うっっっまぁーーい!!」


 すき焼きの余りにもの美味さに、思わず声が出てしまう。

 取った分を食べ終わり、今度は1枚分の肉だけ取り、卵に潜らせたのちに白米の上に乗せ、食べ始める。


「うっっっまぁーーい!!」


 肉を口に入れたあと、白米をかきいれた俺は、先程同様の感想を述べる。

 肉と白米は最強で不変のコンビ…はっきり分かるんだね…

 そんなことを思いつつ、すき焼きと白米を交互に食べ進める。


「ご馳走様でした…」


 空腹だったということもあり、すき焼きが出来てから10分も経たないうちに、俺は食べ終わってしまった。


「さてと…お会計、お会計」


 TALOSを再び着た俺は、伝票を持って個室から出て、会計をするためレジへと向かった。


「お預かり致します。個室で極楽コースですね…金貨6枚と銀貨2枚頂きます」

「金貨7枚だ。お釣りは預かっといてくれ…」


 金額を聞いた俺は、店員に袋から取り出した金貨7枚を渡した後、そのまま店を出た。


「…さて、宿探しと行こうか」


 店を出て歩きながら、俺は宿を探すことにした。

 そこから暫く歩き回ったのち、俺は宿を見つけることが出来た。


「徹夜で戦っていたから、眠くはないが宿でゆっくりしよう」


 宿の前で立ち止まっていた俺は、食事を買ってくるか少し迷った後、買わないことにして宿の中へと入った。

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