第25話 博識対最強《中編》
「あっっっっっぶないなぁ…!!」
間一髪でアルマロスは黒い剣で太刀型軍刀を受け止め、軍刀と剣が鍔迫り合う箇所から火花を激しく散らす。
「おらぁっ!!」
「ちょっ…!!」
鍔迫り合いをする中、俺は力を入れて、そのまま黒い剣を叩き割り、そのままアルマロスを斬り、右肩の榴弾発射器を至近距離で叩き込む。
「ぶっ!!」
榴弾の爆発を食らったアルマロスは建物の壁を壊して内部へと吹き飛んで行った。
「射出、拘束!」
噴進捲揚機の錨をアルマロスが吹き飛んで行った方に射出し、射出された錨は真っすぐと建物へと飛んで行った後、
「うわっ!」
「巻き取り!」
というアルマロスの声が聞こえて来たため、俺は噴進捲揚機を巻き取りつつ、右手の太刀型軍刀を逆手に持つ。
「解放!」
「ちょっ、まっ…!」
噴進捲揚機で無理矢理こっちに引っ張ったアルマロスを途中で離し、勢いのまま俺の方に飛ばし、すれ違い様に逆手に持っていた太刀型軍刀で首を切り落とした。
アルマロスは頭部と胴体に分かれて地面を何回か跳ねながら転がり、止まった。
少し観察していると、アルマロスの胴体が独りでに動き始め、別の場所に転がっていた頭部を拾い上げた。
「………へぇ…俺の首を切り落とすとか…勇者ちゃんでもやらなかったよ?」
頭部を付け直したアルマロスは、何事もなかったように話始める。
だが、明らかに最初会った時のような余裕がなくなっているようには感じた。
「そんなこと知るか。俺は突撃して近接戦をするのが得意なんだよ」
「…君、もしかして蛮族出身…?」
「おうおう、ブーメラン刺さってるぞ。アビスの化物さん」
「君も言うねぇ…」
首の再生が終わったのか、アルマロスはパチンと指を鳴らした。
すると、アルマロスの影が後ろへと異常なまでに伸び、そこから数冊の魔導書が宙に出てくる。
「…はぁ~……対勇者用に考えていた新形態…試運転もかねて、特別に君に試してみようとしようか…」
アルマロスがそう言うと、宙に浮いていた魔導書から、何かの文字が掛かれた紙が大量に溢れるように出てきて、その紙は球体状になるようにアルマロスの身体を包んだ。
「…もしかして…」
ジュールスの時のことを思い出した俺は、数発で榴弾発射器を叩き込んでみたが、榴弾は火花を散らしながら球体に沿いながら別の方へと飛んで行き、紙には傷一つ付いていなかった。
「……予めて自己紹介をしよう…!」
球体を打ち割りながらアルマロスが姿を現した。
その姿は、通常の両腕が手先から肘まで紫色になっており、更に同じ腕が背中から8本対称的に生え、髪は大雑把に伸び、頭の上には黒い逆五芒星が天使の輪のように浮かんでいた。
「博識の支配者、アルマロス・ノウス…君の知識、記憶、技術…全て頂くよ」
「第2段階か…!」
第2段階となったアルマロスは、不気味な笑みを浮かべながら4つの魔法陣を地面に作り始める。
「復元魔人形…!」
アルマロスが地面に作った魔法陣が黒く光ると、それぞれの魔法陣から剣や弓、杖などを持った黒い人形が現れた。
「剣術、魔術、武術、弓術…俺が戦って取り込み、学んできた者達の知識をコピーした人形だ。是非とも楽しんでくれ!」
コピーマリオネットとやらの説明をしたアルマロスはパチンっと指を鳴らす。
すると、立ったまま動かなかったコピーマリオネット達が動き出した。
剣士のコピーマリオネットと格闘家のコピーマリオネットは俺に向かって走り出し、弓使いのコピーマリオネットと魔道士のコピーマリオネットはそれぞれの武器を構える。
「伍式、カスタマイズ!」
『承認。武装、伍式に変更します。』
「ミサイル全弾発射ッ!!」
愛武器を装備した俺は、後方支援に回っている弓使いと魔道士に向けてミサイルを発射しながら、いの一番で向かてきた剣士が振り下ろした黒い西洋剣を鋼杭打機で受け止める。
「捕縛網発射器発射!! ドローンも発射だ!」
剣士の攻撃を鋼杭打機で防ぎながら、迫ってくる格闘家を捕縛するためにネットを発射し、更にドローンに格闘家の相手を任せることにした。
発射されたネットは格闘家に絡みつき、その際にできた隙をついて飛ばしたドローンは、接近しながらミサイルを発射した後、通り過ぎるまで機銃で追撃した。
「………そこぉ!!」
ミサイルで弓使いと魔道士の動きを邪魔しつつ、剣士と攻防戦をしていた俺は、剣士の一瞬の隙を突き、剣士の胴体に鋼杭打機を撃ち込み、アルマロスへと吹き飛ばす。
「拾肆式、カスタマイズ!」
『承認。武装、拾肆式に変更します。』
剣士を一時的に戦闘不能にした俺は、右腕に螺旋掘削機、左腕に粒子式刀剣、両肩に機翼型推進器を装備したドリルを主体とした形態の拾肆式になり、機翼型推進器を起動して格闘家との距離を一気に詰めた。
「螺旋、掘削機ァーー!!」
右腕の螺旋掘削機のドリルを回転され、高速で格闘家に向けて突撃する。
「っ!!」
勢いを止めることができず、格闘家は下がりながら螺旋掘削機を止めるために両手でドリルを掴もうとするが、巻き込まれて両腕を持って行かれる。
「雷鳴・矢…」
「ファイヤーストーム」
妨害が無くなったことにより、弓使いは雷を纏った矢を、魔道士は魔法陣から炎の竜巻を放ってきた。
「流石に無理か…!」
格闘家を盾にして進みたかったが、魔道士のファイヤーストームが防ぎきれないと判断し、俺は格闘家を押し飛ばして空高く飛び上がる。
「飛ぶ…か…復元魔人形追加…!」
俺が空中に飛んだのを見たアルマロスは、再び指を鳴らし、追加で弓使いと魔道士のコピーマリオネットを作り出した。
「火炎・矢」
「氷結・矢」
「「サンダーダウンポア」」
それぞれ2人になった弓使いと魔道士は、それぞれ炎と氷でできた矢の雨と雷の雨を俺に向かって放ち、俺は避け続ける。
「おいおいおい! 雷は分かるけど、矢も追尾して来るのかよ!」
俺が避けると、矢と雷は都市の天井を破壊しながら避けた俺に向かってくる。
「右腕…! 軽機関銃、カスタマイズ!」
『承認。右腕、軽機関銃転送します。』
矢と雷の追尾から離れようと全力で飛行しながら、右腕の武装を軽機関銃に変え、お返しとしてコピーマリオネット達に弾幕の雨を浴びせる。
避けることなく弾幕を浴びたコピーマリオネット達は、ハチの巣となって動かなくなる。
「う~ん…たった1人に復元魔人形がやられるか…まっ! これしき意味がないけど…!」
やられたコピーマリオネット達を見たアルマロスは、余裕の笑みを浮かべながら両手を叩く。
すると、倒れていたコピーマリオネット達が欠損部位を再生しながら立ち上がり始める。
「は、ははっ…すげぇなおい……」
復活したコピーマリオネット達を見た俺は、乾いた笑いが出る。
「……だったら…壱式、カスタマイズ!」
『承認。武装、壱式に変更します。』
少し考え事をした俺は壱式の武装に変え、機翼型推進器を起動して降下しながら速度を上げ、俺はコピーマリオネット達へと向かって行く。
「疾風・矢」
「雷鳴・矢」
「ファイヤーストーム」
「アイシングストーム」
弓使いと魔道士達の攻撃を避けながら、俺は突き進み、
「粒子式刀剣…!」
少し刀身を伸ばした粒子式刀剣で、4体のコピーマリオネットをすれ違い様に斬り刻んだ。
「これでどうだ…?!」
コピーマリオネットはコアがある限り再生すると思った俺は、身体を捻って斬り刻んだコピーマリオネットの方を見てみる。すると、1体の弓使いは再生を始めているが、それ以外のコピーマリオネットの再生は始まらなかった。
「よし、次は…!」
方向を変えて、俺は迫ってきている剣士と格闘家の対処をするため、自動小銃の銃口を向ける。
「大太刀、兜割」
「ヘビィーインパクト」
剣士の縦に振り下ろされた剣は粒子式刀剣で受け止め、格闘家の攻撃は自動小銃と腕で防ぐ。
「うぐっ!」
剣士の方は止めれたが、格闘家の一撃は防いでも強い振動が身体の内部に伝わってくる。
「っは…ははっ…いいね…!!」
感じた痛みに今まで実感できなかったこの世界が、夢や幻などではなく、現実だとしっかりと理解でき、俺の心は燃えるように熱くなってくる。
そして、俺は剣士と格闘家を押し返し、バランスを崩させる。
格闘家には自動小銃を撃ってハチの巣にし、剣士は粒子式刀剣で突き刺したのち、真っ二つに斬る。そして、2体はコアがやられて消えて行った。
「雷鳴・矢」
俺の隙を突くためか、再生を終わらせた弓使いが、雷を纏った矢を死角から放ってくるが、俺は身体を捻って矢を間一髪で避け、自動小銃の銃口を弓使いの胸辺りに向け、引き金を引く。
「…あ……が………」
一瞬弓使いから何か聞こえたが、銃声にかき消されて何も聞こえなかったが、弓使いはコアが損傷し、再生せずにそのまま消えて行った。
「……まさか、俺が対峙してきた者達の中で、最も強かった実力者達を屠るとは…化物か? 君は…?」
「そうじゃないと、ナンバーワンには慣れないんでな…! どうした? 本物の化物を見て怖気づいたか?」
「仕方ない。君には、復元魔人形を幾らぶつけても意味がないようだ…直接対決と行こう」
俺との一対一の対決を決意したアルマロスは、全ての腕を広げて宙に無数の魔法陣を作る。
「最初から全力で来いよ……」
コピーマリオネットと俺が戦っている際、傍観していたアルマロスに内心呆れながら、俺は武器を構えた。




