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突撃浪漫ロボで、異世界を制覇する  作者: 焼飯学生
第4章 常闇の遺跡

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第17話 目覚めの少女

 ヨグルサム共和国南西部。そこには、ホロナブ山脈と呼ばれる山脈が、ウィラード連邦国とワラカーラト王朝を隔てる国境の印として、そびえ立っていた。

 そして、ヨグルサム共和国は小人族(ドワーフ)が立ち上げた民間企業ドワラル社と共に、ホロナブ山脈に鉄や金と言った鉱物を採掘するための大規模な坑道を作り、日々その範囲と深さを広げていた。


「聞いたか? ワレクトンで紳士解放戦線によるテロがあったらしいぞ」

「聞いた聞いた…アイツらのせいで、俺らまで差別的な目で見られるのに…なんでわかんねぇのかなぁ…」


 坑道奥深くにて、髭を立派なまでに生やした男のドワーフと少しやせ細っている男の人間が、紳士解放戦線が起こしたテロについて話しており、やせ細っている男は紳士解放戦線のやり方によって関係ない者達まで影響が起きることを恨む。


「まだこの仕事が給料高い分マシだと考えよう…」

「その分、一年の殆ど地下で暮らすことになっているけどな…!」


 愚痴を吐きながら2人は、刻印魔法により軽量化と耐久力強化が施されているツルハシを振り下ろし、着々と掘り進める。

 小休憩を挟みながら2人は十数時間かけて坑道を下に掘り進めた。


「そろそろ上がるか…」

「もうちょっと掘り進めたらそうするか」


 ドワーフが着けている腕時計で時間を確認した2人は、力を振り絞ってツルハシを振るう。


「ふんっ!」


 男がツルハシを振るうと、小さな穴が開く。


「…洞窟にでも当たったのか?」

「今照らしてみよう」


 小さな穴の先を2人は見ようと覗くが、真っ暗で何も見えなかったため、ドワーフの男は下に置いていた自前のランプを持って、穴の先がどうなっているか照らしてみるが、幾ら光を照らしても穴の先がどうなっているか見ることはできなかった。


「…なんか不気味だな」

「どうする? 班長にでも報告するか?」

「いやー、どうせあいつら、お前らが判断しろ! って言って、何かあった時の責任を押し付けてくるだろ…前に有毒ガスを報告した奴らが、そう言われて、埋め直して別の方向に掘り進めたら、もっと上の連中をキレさせてやめさせられたって話あっただろ」

「そういえば、そんなこともあったな…」


 過去にあったことを思い出した2人が、上の報告を躊躇った次の瞬間、小さかった穴から黒い靄が勢いよく噴出され、空間全体に充満し始めた。


「お、おい…」

「に、逃げるぞ!」


 その光景を見た2人は慌てながら坑道の入口に向けて走り出すが、黒い靄が空間に満ちる方が早く、2人はあっという間に飲み込まれてしまった。


「あがっ! ごばっ!!」

「っうぐっ! ごぐっ…」


 靄に取り込まれた2人は苦しみはじめ、男は口や目などから黒い液体を流して苦しみながら容姿が変わり始め、ドワーフの方は少し苦しんだのち、身体が溶けて黒い液体となった。

 黒い靄は逃げ場のない坑道全体に広がっていき、そこに居た作業員達は種族問わず、男のように化物になったり、ドワーフのように身体が溶けて液状化し始め、坑道は地獄へと変わっていった。更に黒い靄は坑道内のみならず外にも広がり、周辺を侵食して地獄を広めて行った。


 ―◇―


 私は幼い頃の記憶がない。両親の顔も知らない。気がついた時には、白い部屋の入れられ、ガラス越しに大人達から常に観察されていた。

 名前も知らない。ガラスの向こうにいる大人達からは、ナンバー304と呼ばれていた。

 最初の頃、そこでの暮らしは良かったと思う。栄養満点で美味しいご飯が食べれて、しっかりとした睡眠が取れて、勉強もできた。

 でも、1年程からその暮らしは一変した。いきなり不気味な部屋に連れていかれて、そこで真っ黒な物体を植え付けられて、不思議な力を持ってしまった。

 そして大人達は私に宿った力を試したいのか、武装した大人達と戦わせたり、大きな動物と戦わさせたりされた。正直、殺めるのは辛かった。辛かったけど、やらないとやられてしまうから、やってしまった…

 平穏だった日常も変わり、首には電流を加えられる首輪を常に付けられ、あの真っ白な部屋では足枷を付けられて行動を制限された。

 本当に辛かったけど、唯一   さんは私のことを不憫に思ってくれて、色々と遊び道具や外についての話をしてくれた。

 そして、私を哀れんでくれた   さんは、施設からの脱出の手引きしてくれた。最初は一緒に脱出すると思っていたのに、   さんは、私だけを舟に乗せて、そのまま施設の外へと脱出させた。

 一緒に逃げて、一緒に知らない土地で、一緒に暮らしたかった。もっと一緒に遊んで、ご飯を食べたかっ……あれ?   さんって、どんな顔してたっけ…?てか、   って誰だっけ?えっ…あ…?え?

 何か大切なことが、大切な記憶が、消えていくような嫌な感覚に襲われながら、私は目を開けた。


「……」


 目を開けて私が見たのは、施設では見たことの無い天井だった。


「ここは…」


 私がそう戸惑っていると、


「目覚めたようだな…!」


 そんな声が聞こえて、声が聞こえた方に顔を向けると、そこには赤と黒の鎧を全身に身にまとった人が居た。

 これが、私とアサヒさんの出会いだった。


 ―◇―


「暇だ…」


 ホテルの部屋にて、少女の見守るために留守番している俺は、窓を見つめながら1人呟く。

 少女を保護してから2日程経っているが、少女は目覚める気配はなく、俺と伊織は少女の見守りと依頼を交代で行っており、今は伊織が依頼に出向いており、俺は少女の見守りをしている。


「次、依頼を受けに行った時にでも本か何かを買うか…」


 そんなことを考えていた時、


「……んっ…ここは…」


 寝ていた少女が目を覚ました。


「目覚めたようだな…!」


 俺は椅子から立ち上がり、少女に駆け寄りながら声をかける。


「あなたは…?」

「私は傭兵のアサヒ。君を保護した者だ」

「あさ…ひ……さん?」

「そうだ。君の名前は?」

「私の…名前……名前………」


 灰色の瞳をした少女に聞かれて自己紹介をした俺は、少女に名前を尋ねるが、少女は言葉を繰り返しながら俯く。


「……ナンバー304です…ナンバー304としか呼ばれたことがないです…」


 少女は苦しそうな表情を浮かべながら、そういう。

 ナンバー304って、実質的に名前が無いような物じゃないか…それに、番号を名前として呼ぶとなると、サイコパスな親か何かの実験に使われていたのどちらかだろう…手紙に書かれていた追われているというのが正しいのであれば、後者の方が可能性は高いな。


「…生まれた時からそう呼ばれていたのか?」

「……分かりません。でも、気づいた時には白い部屋で、そう呼ばれていました……」

「…」


 軽く話を聞いただけで、俺は少女が何をされてきたのか大凡の予想が着き、


『クソガキ!! テメェ何避けてんだ!! ストレス発散が出来ないだろうが!! サンドバッグが避けるんじゃねぇよ!!!!』

『やーい疫病神!! 疫病神は学校に来るんじゃねぇー!』


 それと共に昔のクソみたいな記憶がフラッシュバックしてくる。


「……っすーー…ふぅ〜…君が受けてきた処遇は何となく察した。故に、私は何があっても君を守ると約束しよう」


 記憶を押し込めて俺は、少女に1つの約束をした。


「い、いえ…迷惑をかける訳には……」


 少女は戸惑いながら遠慮しようとする。


「迷惑なんて思ってもない。それにここは、君が居たという帝国からは離れている別の国だ。奴らが追いかけてくるなんてことはなそうそうない」


 俺は優しく語りかけながら、少女を安心させようと試みる。


「本当に…いいんですか……?」

「勿論だ! 金銭面では余裕がある上に、自分で言うのもあれだが…私は強いぞ?」

「…なんか、嘘臭いです……」

「ふっ、ふはははは! まぁ、見てもないのに強いって言われても信じ難いだろうな! だが、覚えておいてくれ!」

「は、はい!」


 俺が笑ったおかげか少女の緊張は少し解れたように感じる。


「しかし、名前が無いのは不便だな…」

「そうですけど…何でもいいですよ?」

「ダメだ。名前というものは一生使う物だしっかりと考える必要がある…うーむ。何がいいか…」


 何でもいいという少女に俺は名前の大切さを教え、顎に手を当てて彼女の名前を考え始める。

 グレーっぽい白銀の髪…灰色の瞳……いや、身体的特徴よりも意味を強くするか……

 暫く考えた後、俺は1番良いと思った名前を口に出した。


「……純粋な子として生きて欲しいから、真白…なんてどうだ?」

「真白…私の名前…」

「嫌であれば、別のを考えるが…」

「い、いえ! 嫌なんて少しも思ってません! いい名前を貰えて、嬉しくて…」

「ふふっ、そうか。そうであるならば、考えたかいがあるというもよ!」


 想像以上に喜んでくれて、俺は嬉しくなる。


「あと…すみません……お、お腹が空いて…何か食べたいのですが……」


 真白は少し恥ずかしそうにお腹に手を当てて、空腹を訴えてくる。


「そうかそうか…では、すぐになにか買ってくるとしよう。もしかしたら、伊織という女性が部屋に入ってくるが、その者は私の仲間ゆえ、安心してくれ。では、美味しいものをありったけ買ってくるとしよう!」


 機嫌がいい俺は真白のために美味しいものを買うため、真白を部屋に残して街へと出向くことにした。

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