表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
突撃浪漫ロボで、異世界を制覇する  作者: 焼飯学生
第3章 暴風の来訪

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/25

第12話 風は吹き荒れる

「こ、これが…ふるーつぱんけーき…!」


 伊織は運ばれてきたフルーツパンケーキに顔を近づけてよく観察しながら目を輝かせる。

 その様子を見ながら、俺はメットの口部分だけを開いた状態で、注文したアイスカフェオレを飲んでいた。

 顔立ちは中立的な美形で作ってるし、口元だけでバレることは無いだろうということで、最近はこうして飲み食いをしている。まぁ、正直外したいと思っているから、1人の時は装備を外してるけどね。


「それでは、いただきます…!」


 フォークを使ってパンケーキを切り取った伊織は、半分に切られている苺とホイップと共に、パンケーキを口へと運ぶ。


「っ! んん〜〜!」


 1口を美味しそうに食べる伊織の姿に、俺は伊織の頭の上で動物の耳がぴょこぴょこと動く幻覚が見えてくる。


「…さて、この後は何をしようか…」


 伊織がフルーツパンケーキを楽しんでいる中、俺はカフェの大窓から外の景色を見ながら、この後のことを考えることにした。

 このまま何処かでホテルを取って散財しながら観光でもするか?それとも本部で依頼でも受けるか…本部ならそこそこ金が貰える依頼がありそうだし……てか、そもそもの目的はウェントクリスタルをこの目で見るためだったな。

 そういったことを考えながら外を見ていると、


「…ん?」


 今まで普通に歩いていた人達が、一斉に同じ方向に向けて走り出すのが見え、俺は不思議に思った。


「伊織殿、私は少し席を外す。料金をここに置いとく故、また後で合流しよう」


 俺がフルーツパンケーキとカフェオレ代をテーブルに置き、席を立ったその時だった。


 ――ドォーンッ!!


 外の方から大きな爆発音が鳴り響いた。


「…行きましょう!」

「嗚呼…!」


 緊急事態と判断した俺らは気を引き締め、建物内に居た他の傭兵達と共に外に出た。


「我々の怒りを思い知るがいい!!」


 外に出ると、小銃や爆弾などを持って武装している3人の男が暴れており、無差別に人を殺して回っていた。


「貴様らも我々の怒りを食らうがいい!!」


 建物の外に出た俺らを見つけた男は、複数本のダイナマイトが束になっている爆弾に着火して、投げつけてきた。


「全員物陰に隠れろ!! 間に合え、弐式カスタマイズ!」

『承認。』


 出てきた者達に声をかけながら俺は前へと出て、弐式の防御幕展開装置(プロテクストデバイス)でバリアを展開し、爆発による被害を可能な限り抑え込む。


「なっ、何で魔法をッ!」


 俺がバリアを張って爆弾を防いだのを見て、投げつけてきた男は何故か焦りの表情を見せる。


「行くぞ…!」


 俺は走り出し、太刀型軍刀(ロングセイバー)を片手に一気に間合いを詰め始める。


「く、クソッ!」


 男は焦りながら小銃で俺を狙って撃ち始めるが、持っている銃が半自動式でリロードが遅いのと狙いが定まらないせいで、弾に当たることはなく俺は間合いを詰めた。


「1回寝てろ」

「がっ!」


 俺は太刀型軍刀(ロングセイバー)の峰で男の頭を強く叩いて気絶させた。


「貴様っ!」

「よくも同志を!」


 仲間がやられたことにより、他の2人も俺に銃口を向け、弾を撃ってくるが、俺は弾道を読んで避けつつ噴進捲揚機(ロケットウィンチ)を片方の男に向けて狙いを定めた。


「射出!」


 俺の掛け声と共に噴進捲揚機(ロケットウィンチ)のアンカーが射出され、真っ直ぐと男へと向かう。


「かはっ!」


 銃を撃ってアンカーを撃ち落とそうとした男だったが、特殊な鋼鉄の塊にただの銃弾が効くわけがなく、諸に腹を食らって吹き飛んで動かなくなる。


「ひっ!」


 自分達では勝てないと悟ったもう1人の男は、小銃を投げ捨て逃げようとするが、


「八重極真流…衝撃掌底!」


 その隙を逃さなかった伊織から、胸に掌底突きを喰らい、そのまま泡を吹きながら仰向けに倒れて動かなくなった。

 一応の安全が取れたため、物陰に隠れていた傭兵達は顔を出し、周囲と何が起きているのか話し始める。

 俺は男が投げ捨てた小銃を拾った後、伊織の元へと駆け寄り、気絶している男を見る。


「伊織殿、この者達は一体…」

「……間違えありません。この者達は紳士解放戦線です…」

「紳士解放戦線?」


 男の軍服のような迷彩服を少し触って確認した伊織がそう言う。

 何だろう、解放戦線ってだけで、絶対まともな組織じゃない気がする。


「はい。世界平等会同様、男性が女性並の権利を求めている組織なのですが…そのやり方が余りにも過激で…デモ行進時に破壊活動をしたり、不都合な人物の暗殺したり、この度のようなテロを起こしたりする連中です。彼らのせいで、世界平等会も敵視する者が現れる程酷いです」

「……」


 伊織から紳士解放戦線について話を聞いた俺は言葉を失う。

 女尊男卑が酷いとはいえ、暴力でそれを変えようとするのは駄目だろ…そんなの扱いが悪化するだけだろ…馬鹿かよ…

 紳士解放戦線とやらの過激さを身をもって知った俺は、男ながら奴らの行動に気が引ける。


「テロ…ならばたったこれだけの人数ではないな…」

「はい。先程の人が逃げてきたのを見る限り…」


 俺らは先程人々が逃げきた方を見つめる。


「うっ、おぇぇ…!」


 動こうか考え始めた時、俺らの近くで他の傭兵と話していた獣人らしき傭兵が突然吐き始めた。


「どうされました?!」


 伊織は獣人に近づき、優しく背を摩る。


「ま、魔力…魔力酔い…がっ!」

「何で魔力酔いが…」


 そう言い獣人は再び吐き、伊織は背をさすりながら困惑する。


「い、伊織殿…その…魔力酔いとは…?」

「魔力酔いは亜人の人達によく見られる現象です。主な原因としては、体内に魔力の根源の魔素を体内に溜め過ぎる事なんですが…この人は先程まで元気だったので、いきなり魔力酔いを起こすことはないはずです…魔素が溜まり過ぎていることは、何となくで分かるので…」


 俺の質問に答えながら、有り得ない状況に伊織は困惑し続ける。

 例えるなら、車に乗ってないのに車酔いをしたようなものか?そうであれば、確かに異常と言える。


「と、取り敢えず…この者を安全な場所…傭兵連合会内まで移動させよう」

「そうですね。すみません、其方の肩を持って貰えますか?」

「は、はい!」


 弱っている獣人を傭兵連合会の建物内に運ぶため、伊織は獣人と話し合っていた女性傭兵と協力して、獣人を肩で担ぎ、建物に向けて歩き始める。

 俺もその後について行こうとしたのだが、


「魔法が使えない!!」


 という大声が聞こえ、俺は足を止めて声の方に顔を向けた。

 声がした方を見ると、そこではThe魔法使いという格好をした女性が、先程の獣人のように魔力酔いを起こしているエルフを回復させようと魔法を使おうと一生懸命になっている姿があった。


「使えないって、どういうことですか…?」


 他の者がそう魔法使いに尋ねると、


「そのままの意味です! 魔法の構築が全く出来なくて…恐らくですが、大気中の魔素が酷く乱れていているのが原因だと思います…! 早く何とかしないと…死んじゃう…!」


 魔法使いは涙目になりながら説明し、何度も魔法の構築を試みる。

 魔法使いの態度からして、魔力酔いは場合によっては人が死ぬ自体が起きる可能性があるようだ。

 俺は手にしている小銃を見つめる。

 唐突な魔力酔い…魔法が使用不能…奴らの主な攻撃方法が銃と爆弾……

 これらのことから、俺は1つの結論に辿り着いた。


「この世界で主流となっている魔法を無力化、そしてそれに伴う混乱に乗じて、銃や爆弾でテロを起こす…テロで直接殺し、魔法の無力化の副産物であろう魔力酔いで、間接的に殺す…」


 紳士解放戦線のやり方に、ふつふつと怒りが湧き上がってくる。


「動くしかないな…壱式、カスタマイズ」

『承認。武装、壱式に変更します。』


 多くの者達が動けなくなっている状況で、まだまともに動ける上に、TALOSというパワードアーマーのお陰で銃や爆弾に対抗する力がある俺は、カスタムを切り替えて紳士解放戦線に抵抗するために動き始めることにした。


「後で伊織殿には怒られそうだが、緊急事態だ。いか仕方ない…」


 イカもどきの件での反応から、後で伊織に怒られると思いながら、俺は機翼型推進器(ウィングブースター)で空高く飛び上がった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ