特訓と新たな調査
男との戦闘を終えたのちヒョーカと合流をした。街並みをぶっ壊したため、足早にその場を立ち去る。
「お、そっちも終わったみたいだね~」
そう言うヒョーカは汗一つ書いていない様子だった。相手の男に少し同情をしてしまう。
「そちらはてこずらなかったみたいですね……」
率直な感想を述べると、空のボトルを見せながら
「事前準備をしてきたからね~」
と答えた。なるほど、水の準備があればかなり強いみたいだ。
「男たちはすでに部下が逮捕してくれてるから、私たちは本部に戻ろうか~」
ヒョーカに促され現場を後にする。持ってきた本たちは無事かと気になったが、特に傷はついていないようだった。
事務所に戻り、キョーコへ報告を行う。ヒョーカが報告書を作成している間、口頭で起こった出来事について説明し、押収した資料を手渡した。
「とりあえず、幹部の一人であるルイの身元はわかった。これから調査をかけるから、君たちはしばらく待機していてくれ」
待機といっても現状できることはない。自宅の本は何度か開こうとしたが、脳の負荷の関係からか新たな本が読める気配はない。
ヒョーカもその場にいたため、ぼかしながらもキョーコに現状を伝えると、解析特訓の時に使った広間を貸してくれた。
当面はここで魔法の練習をしてもいいとのことだ。練習相手としてマネキンも置いてくれている。
さて、練習と言っても飛行はある程度できるようになったしな……
解析の練習をやり続けて頭がおかしくなりそうだったため、飛行の練習も並行して行っていた。
となると雷撃と捕縛、つまりパンドラの箱の練習だな。魔法使いも地道な練習が身を結ぶらしい。
雷撃と異なりパンドラの箱はかなりの時間を要する様だ。
15分ほどをかけ、眼の前のマネキンに魔法をかけ終えた。
パンドラの箱
マネキンの足元に光が出る。よく見るとマネキンを四角く囲んでおり、各頂点には小さな魔法陣ができていた。
足元の囲いはそのまま上に上り、マネキンを半透明な電撃の箱が包む形となった。なるほど、パンドラの箱ね……
一瞬空いた後、バチバチッと重低音が鳴り響く。時間としては10秒ほどだろうか。箱の中で雷撃が出続けていた。
雷撃が終わると黒焦げとなったマネキンが露わになる。
強い技だが発動まで時間がかかるな……
そういえば魔導書には事前に仕掛けることができるとも書いてあったか。どこかに仕掛けたり、事前に物や人に仕掛けて発動できるみたいだし、戦闘ではなくトラップのように使うべきなんだろうな。
5日ほどたったのち、ルイの身元がわかったとの連絡があった。練習を重ねたパンドラの箱だが、発動時間は3分以上短くならなかった。
「どうもこの港にある倉庫へ通っているようだ」
キョーコが調査書を見せてくる。gif画像のように音声のない簡単な動画が書面に付いていた。
男の姿ははっきりとしないが、確かにデータにあった男に類似している。メガネをかけた爽やかなサラリーマンに見えるが、犯罪組織の幹部のルイだ。
「じゃあ倉庫に行って、何があるのかを見てみましょうか~」
ヒョーカがこちらを向いて提案する。やはり今回も二人で潜入するようだ。
「押収だったり逮捕したりがあるから、ルイがいるタイミングで乗り込んでみよう~」
「そんなことしたら抵抗されませんか?僕はあまり戦闘向きではないと思うんですが……」
率直な感想を述べる。現状使えるのはほぼ雷撃しかないのだ。
「まあ、戦闘になっても2対1だよ~ヒョーカちゃんに任せなさいな~」
安全にことが進むという想定はできない、しかし、ヒョーカの発言に少し心が軽くなった。調査に進もう。




