第3話 出発
お久しぶりです。今回も長めの投稿です
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そして翌日の朝…
メイドA「アリー王女様、おはようございます。起きてください。ほら、今日もいい天気ですよ。」
そう言いながらメアリー(メイドA、以下メアリーとする)はカーテンを勢いよく開けた。
明るくやわらかい光が部屋いっぱいに降り注ぐ。
アリー「うん…おはよう…。」
私はその光でようやく目がさめた。そしてベッドの脇にあるドレッサーの前に座る。
メアリー「さあ、王女様。今日はどの髪型にしますか?」
アリー「もう、メアリーったら…王女様はやめて、って言ったでしょ?私、王女だからっていうだけでそう呼ばれるの、嫌いなの。」
メイドのメアリーはクスっと笑った。
メアリー「はい、承知いたしました、アリー様。」
アリー「………っとにもう………あ、それと髪型はいつものようにしてちょうだい。」
メアリー「はい、かしこまりました。」
そう言い、メイドのメアリーは私の黒くて長い髪をセットしていく。
まずブラッシングをして髪を整える。
首の後ろの髪を頭の上で束ねる。
そして髪の先は軽くカールするように…
そして30分後、いわゆるアゲハ孃の髪型の完成です。
アリー「うん、これでいいわ。メアリー、ありがとう。ところで、お父様とお母様は?」
メアリー「大公様と公妃様は、今日のご予定を確認されて…あ、今ちょうどご出発されたようですね。」
外からは車が走り去る音と、それを見送る人々の声が聞こえる。
(はぁ…お母様とお父様はわたくしの転入の日だというのに…)
メアリー「それは大事なお嬢様ですから見送りたいのでしょうけど、ご公務ですから仕方ありませんわ。なんてったってこのモナコ公国の大公ご夫妻ですもの。」
しばらく、私は車の出て行った先を少し寂しそうに見つめていました。
そしてどれだけの時間がたったでしょうか?
キャリス(執事)「アリー様、お食事の準備ができましたが…。」
という執事の声で我に帰りました。
アリー「あっ、いっけなーい!!もうこんな時間!!急がないと…。」
キャリス「では、せめて果物だけでもお召し上がりください。お車で行かれますか?」
私は急ぎながらも上品に食べながら答える。
アリー「いいえ、歩いて行きます。近いですから。」
キャリス「さようですか…それでは、お気をつけて…。」
裏門を開けると、使用人たちがそろって、
「行ってらっしゃいませ、お嬢様。」
と見送ってくれた。
裏門から出たのは、パパラッチの警戒のため。
(だから、それはやめて、って言ってるのに…)
そう思いつつも、私は転入先であるモナコでも有数の高校にむかって胸躍らせながら向かった。