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ワイン風呂

彼氏の名前:○○

彼女の名前:●●

●●side


“ワイン風呂に入りたい”

 確かに言った。でも、なんで、今、こんな状況なんだかわからない。

 でも、一つだけ言えることがある。やっぱり料理酒と同じで●●の素肌は艶々になった。それは嬉しいけど、なんでお互いが裸なのかがわからない。

(あたし、何したの? あんなこと言わなきゃあよかった……)


○○side


 料理にお酒をいれると照りがでる。確かに、照りは出るが、それが人に適用されるかは別だと○○は思っている。

「お酒の風呂がないならワイン風呂でもいい。肌が艶々になるなら試したい」

「でも……●●さ、お酒、弱いじゃん……」

 ●●は人の呼気でよってしまうぐらいお酒に弱い。だから、一人でワイン風呂なんかに入らせるなんて危ない。

「それは……わかってるけど……」

 ●●が残念そうに呟く。それを聞いてると、なんだか罪悪感が○○に襲いかかってくるような気がした。

「そんなに入りたいなら、今、家でそれっぽいことしてみる?」

 ●●が首をかしげ「どういうこと?」と聞いてきた。○○は、それから、お風呂の準備を整え、●●と一緒にお風呂に入ろうと伝えた。


 それから、○○はテキパキと準備を整え、お風呂場にリンゴのワインを持っていった。

「こうやってお風呂の中でワインを飲んだら、その気分が味わえるかなって……」

「……ありがとう」

 ワインを熱燗みたいにしているのはなんだか妙だが、それは気にしないでおく事にする。

「どう? それらしい気分、味わえた?」

「……気分は、ね」

 ●●が満足していないのはわかりきっているが、これで酔ってしまうなら、ワイン風呂になんて一人で入らせられない。

 しばらくの間、ワインを飲みながらお風呂に浸かっていると、●●が酔ってきたのがわかった。流石に、このままお風呂の中で酔いが回るのは良くない。だから、○○は急いで●●をお風呂から出るように伝えた。


 服を来て、リビングに行くと眠そうな●●がいた。

「髪の毛、乾かしてやるよ」

「ありがとう……」

 そうしているといつの間にか●●は眠っていた。

「これでよく、ワイン風呂に入りたいなんて言うよな……」

 ○○は●●の髪の毛をちゃんと乾かし、ベッドに運んで一緒に眠りについた。


 それから半年が経った頃、あるパンフレットに書かれている記事が目に飛び込んできた。

“個室の露天風呂でワイン風呂が楽しめます”

「これだ!」

 ○○はそのパンフレットを持ち、急いで家に帰った。

「ただいま、●●。ワイン風呂入りに行こう!」

「おかえり、○○。いいの?」

「これなら、オレと一緒だからいいよ。その方が●●も安心だろ?」

「うん! 楽しみだね」

 それからというもの、連休に行く旅行の準備が楽しみで仕方がなかった。


 旅行に出発したのが午後だった為、着いたのは午後5時だった。

「夕食の後に入れるように、準備しておきますのでそれまでごゆっくりお過ごしください」

 仲居さんが襖を閉めると●●は○○に抱きついてきた。

「ありがとう、○○。すっごく楽しみだね」

 ●●は小さな子供がはしゃいでいるかのように喜んでいた。


 夕食後、1時間ぐらい経った頃に、部屋についている露天風呂に入ると、そこはマスカットのワイン風呂が用意されてきた。

「うわぁ~……」

 ●●は嬉しそうに声を出している。

「取りあえず体を洗って入ろうな」

「うん!」

 それぞれで体を洗ったあと、マスカットのワイン風呂に入ると、アルコールの匂いとマスカットの匂いが混じり合い、ワイン好きの○○にとっては何とも言えない美味しい匂いがしていた。

「幸せ~」

「よかったな、●●」

「ありがとう、○○。あたしすっごく嬉しい」

 にこやかな笑顔になっている●●の頬はすでにほんのりと赤くなっていた。

(大丈夫かな、●●……)

 それから数分が経つと、○○が思った通り、●●は酔っているのがハッキリとわかってきた。それもそのはず、普段は口からしかアルコールを摂取しないが、今は全身からアルコールを摂取しているようなものだ。

「ふふっ……。なんか、たのしい……マスカットの匂いもするし……」

「そろそろ、出るか?」

「まだ……入ってたい……、……けど……」

 ●●はもう眠そうだ。そろそろでたほうがよさそうだ。

「出ようか……。一人で出られる?」

「た、ぶん……、だい、じょう……ぶ……」

 ●●は浴槽の縁にもたれ掛かって、瞳を閉じそうな感じだ。

(しょうがないか……)

 ○○は、●●を抱き上げ、マスカットのワイン風呂から出ることにした。


 しばらくすると、●●が瞳を開けたが、まだ眠そうだ。

「あっ……、あたし……」

「酔って、寝ちゃったんだよ」

「そっか……」

 ●●は眠そうに、瞳をパチパチしている。

「まだ眠い?」

「うん……。……なんか、良い匂いが、する……」

 あれだけマスカットのワイン風呂に入ってたんだからお互いからマスカットの匂いがするのは当たり前だ。○○が自身の指を●●の口の前にかざすと、●●が鼻をスンスンさせ、幸せそうな顔をしながら、○○の指を口の中に入れた。

「味が……しない……」

「マスカット味を……、味わいたい?」

「うん……」

 ○○が●●を抱き起こし、○○の膝の上に座らせ、マスカットのワインを口に含み、そのまま●●に口付けた。

「ん……」

 ●●の口腔内にワインを流し込むみ、口を離すと●●が飲み込んだのがわかった。

「美味しい……、……もっと……、ちょう、だい……?」

「ダ~メ……。今は、これでがまん、な……?」

 ○○は●●に口付け、そのまま押し倒した。

読んで頂きありがとうございました。

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