ネックレスと告白
彼氏の名前:○○
彼女の名前:●●
「あっ……」
立ち止まり、首もとに手を当てると御守りのように毎日着けていたネックレスがなかった。
(アイツの家に忘れたんだ……)
●●は○○の家に戻りたくなかった。だけど、戻りたくない理由を考えるよりも先に身体が動いていた。
(お願い……、まだ寝てて……)
○○がまだ寝ていることを願いながら、●●は急いで、○○の家へ向かった。
○○が目を開けると、そこには●●はいなかったが、●●が大切にしているネックレスが枕元においてあった。
(気がつかなかったのか……)
昨日の夜、●●を抱いているときに、外したネックレス。そのネックレスが●●にとってスゴく大切なのはわかっていた。だから、抱いているときに外した。そうすれば、必ず、●●は戻ってくるから。○○がしばらくの間、ネックレスを見ながら●●の事を考えていると、ドアが開く音がした。そして、足音を立てないように、●●が動く音が聞こえてきた。
(●●らしい……)
○○は寝たフリをして、ベッドのところに●●が来るのを待つことにした。
「あっ……」
(オレが持っていることに気がついたか……)
○○が起きないのを確認した後、ゆっくりと○○の手からネックレスを外そうとし始めた。○○はしばらくされるがままにしていたが、頃合いを見て、●●をベッドに引き込んだ。
「えっ、起きてたの?」
「いや、今、起きた」
白々しいウソだ。だけど、●●と会話ができているのだから、それの回答がウソでも良い。
「それ……、返して……」
「やだ。返したら……、●●、帰るだろ……」
その問いに●●が頷く。
「だから、返さない」
「どうしたら、返してくれるのよ……」
「オレと……」
「ヤダ」
「まだ何も言ってない」
「聞かなくても分かる。付き合ってでしょう?」
「そうだよ」
「だから、イヤ」
「好きなんだ、●●の事が……。だから……」
「……ちゃんと愛を言葉で示してよ……。行動じゃなくて……」
「だって……言葉より行動の方が……手っ取り早いから……」
「女の子は行動より言葉が大事なの……──」
「何か言った?」
「時には大胆な行動も必要だけど……」
「じゃあ、今がその時。大好きで愛してるから、●●の事……抱かせて?」
その言葉に赤くなりながらも頷いて答えてくれた●●の事が更に愛おしく感じた○○だった。