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ユレイユ書店の歴史の書  作者: 榮 裕也
一章 ミフィア・フィーシル
7/28

手加減って何でしょうかね。

まずは剣術から。皆の点数をのぞき見してみたところ、この人は全員に同じ強さで勝負し、少しずつ威力を上げながら戦い、最終的な耐久時間で点数をつけているみたいです。五十点を取るためには五十秒耐える。簡単な計算ですね。


見た限り勝ち越して百点を取るなんて容易そうですけどそれは目的と違うのでやりません。極稀な窮地に立たないかぎり自分の力をひけらかすようなことはしません。ええ、万が一にもそんなことはしませんとも。目立っていい事なんて何もないんですから。


「お嬢ちゃんこれは試験だから手は抜けないんだ。すまないな。」


「大丈夫です。私、頑張りますから!!」


「その姿勢は褒めてやる!」


そう言って試験官はとびかかってくる。成程、毎回違う戦い方をしているから後半が有利になるなんてことは無いようです。盾に振りかざされた剣を体を若干ずらし、避けます。


試験官は両目を見開いているがすぐに冷静さを取り戻り、右、左と薙ぎ払う。片方は跳躍して避け、もう片方はしゃがんで避けます。反撃をしないと怪しまれてしまうのでしゃがんだ流れで試験官の後ろにすっと回り込み、剣で切りかかります。勿論、とても遅い速度で、ですけど。


試験官は私が後ろに回ったのを感じたみたいで、咄嗟に前に飛びます。私はそれを追撃せず、そこでまた剣を構えなおします。


「お嬢ちゃん・・・少し油断したみたいだ。見た目で実力を測るなと散々言われたのにこのざまとは情けないな。」


「頑張りますって言ったでしょう?だから実力以上の力が出たんですよ。」


私はとりあえずそんな軽口をたたいておきます。こうすると試験官は若干攻撃が甘くなります。何人かは気付いているので私が万策を尽くして挑んだというアピールにもなるでしょう。


「はっ!!」


次は私からとびかかり、間合いを詰めます。しかし試験官は逆に間合いを取り、長期戦の構えになりました。ちょ、やめてくださいよ。あと十秒で五十秒なんです。切りかかってきてください。


私はそのまま硬直、疲れたふりをして剣を今までの構えより少し下に構えます。すると上段に隙が生まれます。試験官さんは一瞬怪訝な表情を見せたが罠ではないとふんでこちらに突進してきます。そして剣が防げないくらいのゆっくりした速度で防御に剣を持っていき、試験官に弾かせます。


さて、成すすべがなくなった私が次にすることは


「降参しまッ」


す。と続けたかったが、なぜか試験官は思いっきり私に剣を振ってきました。


寸止めではなく、完全に振りぬいていました。


さっと避けて、後ろに回り込み、腕を曲がらない方向に曲げて間接を決め、動きを止めます。


「降参します。試験官さん。・・・通りますよね。」


さっさと止めなければ点数がどんどん高くなっていく一方です。試験官の腕をひねり上げて痛みを与えておきましょう。ギギギギギ。


「降参を認めなければ関節を外します。」


「いで、いでででで!!分かった!降参を認める!!」


おお・・・と少し小さめの歓声が起こりました・・・。無駄に力を使ってしまいましたね。


「これで五十二秒・・・つまり五十二点ですね。そこの所、よろしくお願いします。」


そう言うと試験官さんは驚いたような顔をした後、青ざめてしまいました。仕方ないです。点数が高過ぎたらアベルさんと同じクラスに入れませんから。


とと、間髪入れず次の試験が始まります。試験官さんはこちらを怪しい奴を見る目で見てきます。私そんなに怪しくないよ?ニッコリ?・・・ああ!なんか怪しい奴を見る目から凄く怪しい奴を見る目に変わりました!何でですか!?私って人畜無害な存在ですよ?


「いやミフィア。猫を片手に抱えて戦闘、さらに試験官の腕を決めればそうもなるだろう。」


いやああ!!シャベッタアアアア!!という顔になってしまいました。もう挽回できません。試験よ早く始まってください。


「こほん。それでは試験を始めます。好きなように攻撃してください。」


やっと試験が始まる雰囲気になったので一安心です。


因みに魔法の試験官さんは魔法の威力と発動の速度で点数をつけているみたいです。なので初撃を譲ると言った後、一発魔法を打たせるのですが、それで普段使いの魔法の力を見極めるようです。


しかしそこからの戦闘は全部フェイクというのは解せません。まあ、一撃を叩き込んだ後戦闘が始まる前に降参したらいいのであまり気にしないでおきましょう。少し予定が狂って剣術の方で点数を二点多くとってしまったのでこっちでの点数は五十五点引く二点の53点です。


五十三点をたたき出したいなら発動まで二秒、威力を木が揺れる程度にしたらその点数が入ります。


「一撃目を譲るなんて余裕ですね。・・・行きますよ」


「ええ。どうぞ。」


一・・・二!!

ドンと大きな音をたてて発射された水弾は虚しくメイルさんの手前で消滅してしまいました。しかし、私には関係ありません。


「・・・参りました。」


私はそう宣言して退場するだけです。


「その程度の威力では二十点ほどしか入りませんが、よろしいですか?」


・・・は?何を言っているんですか?みんなと公平に、公正にジャッジしてほしいものです。


「今までの人たちの点数とすり合わなくなりますよ。なぜそんな横暴をするんですか。剣術の時もそうです。寄ってたかって一人の女の子をいじめるのは楽しいですか?」


本当に、何を考えているのでしょうか。こういうタイプの人は差別なんてしないはずです。そのはず・・・



『本当にそう思っているんですか?』


『騙されていませんか?』


『貴女が信じていたお父様、お母様、お兄様、お姉様は全て嘘つきでしたよ?』


『前世の記憶とやらでは人間なんて殆どゴミな奴だったと記憶していますよ?』


『信用できる人はいますか?』


『レオがいなければ貴女は本当の意味で一人になりますよ?』


『レオがずっと一緒に居てくれるわけではないんですよ?』


『何で全て不用心に信用するんですか?相手は大人ですよ?』


『何をされてもおかしくありませんよ』


『さあ、目の前にいるゴミを掃除しましょうか。』



ああ、何を勘違いしていたのでしょう。人間ていう種族は基本、信用できないんでした。平和ボケし過ぎていましたね。思い返してみれば大人なんて大概があんな感じでしたね。


「『***フ* ***レ** ******** *****シ*ノ** *** ア**** ****** *** ***テア** ***** **リ** *****ム* **ジ* *ネ**** ***** **ケ**イ** *** **テ****** ******ロ』捻り潰してください。“カリュブディス”」


これは私が持っている中でも上位の魔法です。確か超級に分類される水魔法でしょう。これを発動できたということは私も超級水魔導士を名乗れますね。まあ、今はどうでもいい事です。この試験官を捻り潰して教育機関の入学を取りやめねばなりません。


「やはり、と言ったところですか。貴方は強いです。しかしあなたは三百番台。二百番台の私には勝てませんよ。」


三百番台?列強の話でしょうか。私の名前は載っていなかったはずです。私を何と勘違いしているのでしょう。


「『***フ* ***レ** ******** *****シ*ノ** *** ア**** ****** **デ* ******レン* *** ****ト***** ****シ* ***** ****バ** *******ト** ******』飲み込め“カリュブディス”」


なっ!?私の魔法を・・・!


「ありえない、という顔をしていますね。残念ながらこれでも絶級魔術師にはなっているもので。貴方のカリュブディスは『中心に吸い込む』『中心にかけて圧力が高くなる』『抜け出せない』の三つです。しかし私がカリュブディスで重視したものは『近くにあるものを取り込む』です。貴方がキャパシティを三つに分けている分、私は取り込むことに全てのキャパシティがつぎ込まれているんです。威力が低いことは確かですが魔法を飲み込むことに関しては一級品ですよ?」


私の超級魔法が、試験官の超級魔法に取り込まれた・・・・・・ことに驚愕していると懇切丁寧に説明してきます。うざったいです。


「余裕ですね。私くらい簡単に倒せるということですか?」


「いえ、私が余裕を見せてふんぞり返っているのはあなたを教育する・・・・・・・・ためです。一応、教師なもので。」


イライラします。一々癇に障ること言いますね。教育する?私をこんな子供に育てたのは他でもない大人アナタタチなんですよ?


「はあっ」


火球を三十個ほど同時生成し、試験官さんに飛ばします。しかし試験官さんも氷の盾を三十個同時に生成し、全て相殺してしまうます。化け物じみていますね。しかし、私も油断してしまいました。試験官さんが氷の魔法で相殺した理由を考えずに立ち上がる水蒸気を見ていました。それが目くらましだと夢にも思わず。


試験官さんは氷のナイフを私の首筋にあててきました。これは試験なので殺されないことが唯一の救いです。


「貴方は誰も他人を信用していませんね。今は信用しているという仮面すら取ろうとしている。そんなことをしたら貴女は天涯孤独の身になってしまいます。それでもいいんですか?」


「いいですよ。前世でも、今世でも信用できたのはたった一人だけでしたから。」


私はあえて挑発的な態度を取ります。大体の大人はここで本性を現すのだ。ここで死ぬのもまたいいでしょう。レオが助けてくれるかもしれませんが五分五分ですね。


「そうですか。前世の話は後程するとして今世は・・・レオの事ですね。実際レオは優しいです。私が知っている人の中で四番目くらいに優しいです。」


何を知ったようなことを・・・


「貴女は深くかかわった人に散々裏切られてきました。しかし、裏切らなかった人も居たんじゃないですか?具体的には、浮遊大陸で、誰に胸の内を打ち明けたんですか?」


「貴女がなんでそれを知っているんですか。」


「簡単な話です。彼はあなたに特待生の紙を渡しました。学校側に連絡が入らないわけないでしょう。まあ、それはどうでもいい事です。厳しいことを言いますが、偏に、人を見る目が無かったんですよ。貴方は。」


むかついたので首筋にあるアイスナイフを口でとらえてかみ砕きます。所詮は氷です。衝撃には弱いと踏んでいましたが大当たりです。

アイスピックを作り出し、試験官さんの首に振ります。しかし、やはり避けられます。なので後ろに待機していた百のアイスピックを全て魔法で投擲します。流石によけきれなかったようです。二、三本掠らせることが出来ました。


「ですが・・・サンスレットくらい信じてほしかったです。」


それは・・・


私が作った一瞬の隙を見逃さず拘束にはいられました。これは・・・重力魔法!?つまりこの人はこの国で重力魔法を使える二人の片割れ・・・


「さて、私は知っています。貴方は優しくて人を信用して、騙されて、死んで、次の人生の家族にさえ騙され、もうどうしようもない気持ちになっているのは知っています。」


何でそんなことを知っているんですか・・・?私は貴女に何も言っていないのに・・・。


「私はこの世界で三番目くらいにはあなたの事を知っているつもりでしてね。貴女より詳しいですよ?」


「放してください!!」


「貴女は優秀です。私がここで零点を言い渡しても易々合格できるラインに居ます。ですが、今の貴女は精神的に不安定です。故に。」


試験官さんが真剣な表情を崩し、私に笑いかけてくれました。


「私と暮らしましょうか。」


・・・ん?




007


「メイルさんメイルさん!制服着ましたよ!似合ってますか!?」


「ええ。もう少し丈が短いのがあれば良かったのですが・・・。要調整ですね。」


ということで私ミフィアはメイルさん宅に居候しています。


ん?何がということでになるんですか、ですって?前章の最後の方、良ーく見てください。メイルさんが戦闘中に『私と暮らしましょう』って言ってくれています。それで結局試験が終了した後にもう一度、同じこと言われて一緒に暮らすことになりました。


「ミフィア。ここに来て何かいい事でもあったのか?」


「むふふ。どうでしょうか。」


いい事も何も、メイルさんと一緒に暮らしてからずっといい事ばっかりですよ。言ってはいけないとは思いますけどお父様より知識が深くて、お姉様より魔法が使えています。まあ、剣と料理は専門外のようですが、毎日いろんなことを知れてとても嬉しいです。


あの時の言葉だって、相手を乗せるための挑発でしたし、何でそれに気付かなかったのでしょうか・・・?メイルさんが的確に逆鱗に触れたからでしょうか?・・・思い返してみれば自分の中で連想ゲームのように嫌な思い出が爆発していましたね。


結局点数は最初の一撃を評価していて、後の戦闘の全てはおまけでした。戦っている途中は誰にも話しかけていなかったので何だか騙された気分です。


あと、とにかく優しいです。お父様もお母様もお兄様もお姉様も私を教育対象にしか見ていませんでしたからね。優しくはされましたけど上っ面だけでしたからね。私知っていますよ?私をシーフィル家の兵器にするために才能のありそうな赤子を片っ端から攫っていたんでしょう?盗み聞きなら得意ですからね。そうなるように仕込んだのもお父様とお母様ですけど。


「じっとしていてくださいね。今調整しているので。」


魔法を使った見事な手際で裾の長さや色々を調整していきます。これは完全に神技ですね。細かな調整をこう幾つも同時にするなんてすごいです。私だってしようと思えば出来ますがかなり集中力がいります。なのにメイルさんはコーヒーを飲みながらです。リラックスしながら適当にパパっとやって出来る芸当じゃないと思うんですが。


「メイルさん、もしかしてですけど私が激しい踊りをこなしていても調整出来ますよね?」


「その場合はこのコーヒーを机に置かなけではなりませんね。」


あ。出来るそうです。集中したら出来るそうです。私はたぶんできません。


「我はその服を燃やすくらいしかできぬな。」


「残念ですがその服には私がエンチャントしたのであらゆる事象を無効化できますよ。いくら貴方が絶級魔獣でも傷ひとつつけられませんよ。」


「我は超級炎魔獣に分類される。」


「ミフィアの魔力を食べた時点でもう絶級認定されますよ。」


レオが私の服を燃やす計画を立てていたようですが、メイルさんの怖ろしいエンチャントがその計画を破綻させてくれました。絶級魔獣が攻撃しても傷ひとつつかない服なんて・・・。


「それと、このバッチと紙ですね。大切な物なんですからちゃんと管理してくださいね。」


メイルさんが渡してきたのはお金持ちな二人と執事の人からもらったバッチです。これそんなに大切な物なのでしょうか?取り合えずまた今度役所に行って話を聞きましょう。

さて、今まで来ていた若干質素ですが意外と値段の張る生地を使った服は何処でしょうか。あれは嫌な思い出が詰まった衣類なので燃やします。今はそれ以外にも着る衣装はありますから。


「その服は燃やして良かったんですか?思い出の服だと思っていたのですが。」


「負のです。」


「負のですか。」


負の思い出が詰まっています。


差し当たってすることが無くなったのでどうしましょうか。メイルさんは基本本を読んでいるか魔法の研究をしています。私が何かしたいと言えば付き合ってくれますが何から何まで頼ってはダメな人になります。メイルさんは許容しそうですが。


「ミフィア。そんなにすることが無いならバイトでもしたらいいではないか。ここで何もしていなかったら・・・紐だぞ?」


「バイトを探しにハ〇ーワークですね。」


差し当たってやることが決まったので無職の味方のハロー〇ークに行きましょう。


「メイルさん!ちょっと外に行ってきますね!」


「気を付けてくださいね。」


ということでドアをガチャリ。外に出たのは今日が初めてですが・・・なんか人が沢山います。押し寄せるほどでないですが十人くらいはいます。コレどうやって出るんでしょうか。


「きゃあああ!!メイル様のお子さんよ!!」


「こっち向いて―!!可愛いぃぃぃぃいい!!」


「家の養子になってぇぇぇぇ」


ガチャ、と扉をしめます。そして後ろを振り向き、メイルさんを見ます。なんですかこの状況、という目線を向けるとメイルさんはコーヒーをテーブルに置き、キリっとした顔でもう一度さっきの言葉を復唱します。


「気を付けてくださいね!」


メイルさんのクールな印象が若干傾いてきました。実は結構砕けた方なのでしょうか?もっとこう、高嶺の花的な存在だと思っていたのですが。その辺はこれからじっくり観察していきましょう。


それにしてもどうやって切り抜けましょう。意外とこの家は大きいですし、塀も門も完備されているのでメイルさんファンの皆さんの侵入は厳しいです。でも、熱心は人はその塀を頑張って超えてこようとするので驚かされます。


馬鹿な・・・その壁は・・・五メートルあるんだぞ・・・・。

因みにですが魔法で制御しているので通常は一メートルくらいなのですが、こうやって人が押し寄せて来た時はその都度大きくなります。ああ!一人壁を乗り越えようとしています!ドドドドド。壁が更に高くなりました。七メートル前後でしょうか。


それでも頑張って侵入しようとするその精神は凄い。


仕方ないので自宅の天井にジャンプし、塀に向かってもう一度ジャンプします。それで七メートルの壁を越えれるのですから私って凄い身体能力ですね。というか。両手でレオをぎゅうううっとしているので足のみの跳躍でここまで来たことになります。見られたかな・・・?


「お嬢様が出てこられたわ!何としても捕まえて養子にするのよっ!!」


「きゃああ!!メイル様のお子さんは身軽でかわいいわ!!猫よ!虎柄の猫を抱きしめているわ!!」


「猫を抱いているお嬢様を抱くことが出来たら死んでもいいわ!!」


そこには戦線に出ている兵士も真っ青な統率のとれた主婦たちが群がっていました。屋根を伝って逃げますが逃げ切れません。何でですか!!なんで何処に行っても先回りされるんですか!!この国の主婦はおかしいです!


ハ〇ワまでダッシュです。とう、とう、とう。屋根の上は意外と走りやすいです。中央でない限り道が砂利道だからでしょうね。でも流石おばちゃん達しぶとい。全然撒けません。すぐそこにはもう〇ロワが見えているのですが入り口付近にも数名います。


くそう!邪魔じゃ邪魔じゃ!!こうなったら風魔法で右側に人を寄せて空いたスペースを活用して扉の前に着地、ドアを勢いよく開け、ローリング入店、即刻扉を閉め、魔法でドアを凍らせて人が入れなくします。


「うおあ!なんだい!?」


いきなりの出来事で何が起こっているか理解できていない店主を後目にどの様な仕事があるか調べます。戦闘系はギルドに行かないと無いのでここでは平和な奴を探しましょう。店番とかがいいですね。


ん?これなんてどうでしょうか?パン屋さんの店番。給料は高くないですが、メイルさんと暮らす分には申し分ない額です。メイルさんなら全部負担すると言いそうですがそれは私が許しません。紐、ダメ、ゼッタイ。


「おじさん、この仕事紹介してくれませんか?」


「え?あ、わかった。それにしても何の騒ぎなんだコレ?」


「おじさん、世の中には知った方がいい事と、知ると途轍もなく面倒臭いことに巻き込まれることの二種類が存在するんですよ。」


「成程・・・つまり聞いたら面白いことになるって解釈でいいか?」


このおじさんはノリがいいんでしょうが私から見たら普通に阿保ですね。何でわざわざ面倒ごとに首を突っ込もうとするんですかね・・・。分かりかねます。私なら即刻見なかったフリをしますよ。


ニヤリと笑っておじさんの質問に答え、ドアの封印を解きます。流れ込む主婦たち。何とかして脱出するべく魔法で床を凍らせ、先頭数人を転ばせます。その人たちを踏んで荒れ狂う主婦の海を華麗にサーフィンしていきます。


「きゃあああ!!お嬢様が!踏んでくださったわ!!」


「私もよ!なんて慈悲深い!!」


「私・・・もう死んでもいいわ・・・」


何この集団・・・・。いや、本当にやばいですよ?メイルさんの所に転がり込んだ子供をお嬢様だとか養子にするとか頭湧いているんじゃないんでしょうか。踏んでくださったわ!ってもうキモイ以外の何物でもないですよ。


「お嬢ちゃん!仕事は明日八時からのシフトを入れておくぜ!」


「ありがとうございます!」


ハロ〇のおじさんが声をかけてくれたので大きな声で返事をしておきます。

明日が楽しみです。パン屋さんではどんなことをするんでしょうか。


「ミフィアよ。いい加減主婦を撒け。」

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