魔獣の生き方
精神的疲労が規定値の半分を超えました。『疲労無視』を発動します。
私はまた出てきてしまったのか、と思う。この状態だと私は私なのに、まるで別人のような思考になってしまう。思考速度1.5倍というバランス崩壊なスキルを使っているので思考方法が完全に別人だったとしてもさほど驚かないと思う。というか、私は第二の私と言われても信用してしまうかもしれない。
「君・・・本当に大丈夫?腕を切り落とすことが切り札の発動条件なのかい?」
男はそう聞いてきたが別段答える理由は無いので返事をしないでいいや。と、思ったがこの能力発動前に共闘して倒す的なことを言っていたので素直に話しておこう。今の状態なら兎も角、スキルが解けたら私は普通を求めてしまう。確かにこの記憶があるせいでその思考にたどり着くのはおかしなことではないのだが、記憶の中の弟ならこう言うだろう。『そんなもん、恐れなくていいくらい強くなってやる。』と。
私はわかっていない。この記憶は確かに辛いものがたくさん詰まっている。だが、それだけではなく、大切なものを守りたいという、失ったものを忘れたくないという思うが沢山詰まっているのだ。心の拠り所であった弟の事を忘れたくないがために、それ専用の能力もなしに記憶を来世に持ち越すなど無茶苦茶もいい所だ。今世の私にとっては迷惑極まりない事だろうが、と内心苦笑しながら魔獣を向き合う。
「肯定です。ただし、腕を切り落とすことが発動条件ではなく、痛みによる精神的ダメージ、その蓄積量が一定以上に達した時に発動できるスキルです。まあ、あくまでスキルであり『特異神秘』ではないので能力も逸脱して吹っ飛んではいませんし、スキルの発動条件が厳しいです。」
私の声がさっきまでの、敬語だったが抑揚のある元気な声から冷え切った淡々と話す声に変わって目を見開いている。
「人格でも変わったのかい?・・・いや君の人格は二つではないね。四つくらいの魂が椅子取りゲームをしているようなぐちゃぐちゃな状態のようだ。先ほどの魂は黄色、今の魂は紫といったところだね。いやはや、こんな辺境でとんでもないものに会ってしまったようだ。」
「私も自分の事を正確に把握しているわけではありません。私の中の四つの人格ですか。心当たりがあり過ぎて困りものですね。」
恐らく一つ目は『ミフィア』の魂。二つ目は『私』の魂。そして三つめは『前世』の魂。通常表に出ている人格は黄色、そして今の状態は紫といった感じだ。
それとは別に、自分とは違う視点でこの結果をくれたこの男に感謝するとともに、先読み、精神的要因が大きくかかわる戦闘で、ここまで頭が回ることに警戒をした。
「さて、魔獣を倒しましょうか。しっかりとした足止め、期待してます。」
私の声掛けに男は苦笑した。
「腕を失う前の君とは共闘出来そうだったけど、今の君とは連携できないかもしれない。・・・本当に君は強いね」
「さあ、何の事かさっぱりわかりません。ただ、私が今ここで最も信頼を寄せているのはあなたです。」
「君があと十歳早く生まれていたらその言葉で惚れていたよ。」
男はその言葉を言い切るころに走り始めた。
超級炎魔獣は完全に動きを見切っている。いつでも殺せるのだと、フンと鼻を鳴らす。しかし、男はその隙を突き剣技を発動する。一般的に誰でも使える人類の切り札だ。
その攻撃の強さは元々のステータスに比例し、一撃目はステータスの1.2倍、二撃目は1.44倍、三撃目は1.73倍と威力を上げていく。一般人なら出来ても二連撃まで。訓練した兵士で三連撃、上手くいくと四連撃。かなりの手練れになると五連撃の剣技を発動する。五連撃、つまりステータスの2.5倍にあたる攻撃力を引く出すことが出来る。
一撃目。
剣を鼻先に振りかぶり、掠める。切り上げるような振り方をしたのでそこまで強い一撃じゃない。
二撃目。
上がった腕をそのまま切り下げるように振るう。しかし魔獣は後退し、当たらない。
三撃目。
距離を縮めるために刺突を繰り出す。ただ、この攻撃が当たって剣が抜けなくなるなど有ってはならない。少しずらし、魔獣の左側を攻撃する。魔獣はその意図を知ってか知らずか、右に避ける。
四撃目。
刺突で踏み込んだ左足を軸に、逆方向に回転しながら切る。攻撃力程ではないが剣の速度も上昇している。これは偏に、限界に近い集中力がもたらしてくれる恩恵なのだろう。
魔獣の頬に一筋のラインができ、赤い液体がつーっと流れる。
五撃目。
五撃目が打てるということは既に化け物の部類だ。この一撃は岩さえ砕くほどの威力があるという。魔獣は対応できず、また足に赤いラインをつける。
そして六撃目。
兵士からもあり得ない、という声が聞こえる。六撃目は3倍の威力。軽々と城門を破壊できる威力。最初からそれをしろよという声も上がったが、出来ない理由があったのだろう。しかし、着実に魔獣を追い詰めている。魔獣は驚愕の表情を浮かべている。
七撃目、八撃目、九撃目。
九連撃なんて、もはや神話の領域だ。その一撃だけで暴風が巻き起こり、地面にかすっただけで地震が起きる。魔獣は何とかこれもかわし、剣は空を切る。
十撃目、十一撃目、十二撃目、十三・・・
この男がここまでの剣技を執行できるとは驚きだ。剣技はその者の精神力で維持されると言っても過言ではない。戦闘中に気配りをして戦う心優しい男にここまでの『戦う』という心が宿っているのはアンバランスに思える。
しかし、それを差し引いても見事だと言える剣技。剣技は自分の振り慣れた方向にしか振れないというルールがあるのだ。あのように臨機応変に剣を触れるというのはまずない。一般人は縦に振り下ろすか、良くて切り上げるくらいしかできないだろう。斜めや突きなどを組み合わせて自分だけの剣筋を見出し技名をつける者もいる。
十三撃目・・・と思って振りかぶった剣はピタッと空中で制止する。剣技を使うものが必ずぶつかる壁、『精神力の枯渇による筋肉の硬直』。こうなれば、一定時間動けないし剣技なんて保てない。
神話級の剣技を繰り出しても、まだ致命傷を負わせることが出来ないことに兵たちは混乱している。確かに、準一級、一級の魔獣なら単独で倒すという偉業が出来るかもしれない。兵が繰り出した炎魔法で強化されなければ致命傷位与えれたかもしれない。しかし、魔力を喰らった超級魔獣はそれを遥かに凌駕するほど強かったのだ。
男は立った状態で硬直し、動かなくなった。だが、口は動いている。
いまだ、やれ
その合図をくみ取り、私は剣を片手に一歩、また一歩と前に進んだ。
私はまた、魔獣に向けて歩く。砂塵の中から登場した時のように、自然に歩く。しかし魔獣も同じ轍は踏まない。容赦のない一撃が飛んでくる。
しかしその攻撃は通らない。およそありえない速度で飛来した攻撃をスロー再生を見ながら避けるが如く、あっさり避けている。思考速度が上がるということは周りがゆっくり流れていると同じ事なのだ。
そして剣技を発動する。
一撃、二撃、三撃、四撃、五撃ッ
私はまだレベルが低く、体も幼いのでまだあの男の一撃目にすら及ばない。魔獣もその弱さに拍子抜けしている。しかし、兵士たちは眼をむいて驚いている。なにせ、およそ算術もままならないはずの年の子供が、兵士長とためを張る剣技を執行したのだ。
魔獣はもういいとばかりにとどめを刺しに来る。しかし、子供と侮っての事だろう。その一撃がとても軽い。具体的には、六撃目の剣技ではじけるほどに。
七撃、八撃、九撃十撃十一撃十二十三十四十五ッ!!!
神話級と言われた男の剣技を超える速度をたたき出す。確かに私の剣技は軽く、十一撃目を繰り出した今でも男の初撃並みの威力しか出ていない。しかし、速度が尋常ではないのだ。一撃一撃が速すぎて並みの兵では見えない程に。
ここで一つ言っておくが、私には剣の才能が魔法に比べて無い。ただ、『魔法に比べて』の話であってこの国の兵士なら誰だってねじ伏せられるだけの力はある。剣技だって十一連撃くらいなら出せる。修行したらもっと強くなれるかもしれない。だが、攻撃力は210、魔力は240と明らかに才能が劣っているのだ。
しかし、今の私はそんなこと関係ない。剣技が停止する理由は精神力の枯渇による筋肉の硬直だ。だが、今の私は『疲労無視』。肉体的なダメージなら兎も角、精神的な疲労は蓄積しない。
十六十七十八十九二十二十一二十二二十三二十四二十五二十六二十七二十八二十九三十ッッッッッッッッッ!!!!!!!!
ダダダダダダダダッッ!!!!と速度が上がる。威力もそれに応じて上がる。
三十連撃、威力にしてと二百四十倍。ミフィアの攻撃力は十三万にも迫っていた。
魔獣は自分が死ぬことの恐怖より、人間が、か弱きものが自分と同じ土俵に登ってきたことに歓喜していた。一撃がどんどん重くなり、早くなり、さばけなくなり、三十連撃目、魔獣は心の底から幸せを感じていた。殺すことが全ての自分が『戦ってる』。最高だ、と。
更に速度を上げる。目にもとまらぬ速さで十連撃を叩き込む。これで四十連撃。
「『究極剣技』」
私はお兄様のが教えてくれた最高の四連撃を叩き込む。四十一、四十二、四十三。
そして四十四連撃。
「ハアァァァアアアアアアア!!!!」
ズドォォォォォォォオオオオオオンと大きな衝撃が走る。地面に当たればまず間違いなく王国が破壊されていたであろう一撃が魔獣に直撃した。
総合攻撃力、二百万強。
「やった・・・のか?」
「うそだろ・・・?」
ワアアアアアア!!と大きな歓声が溢れ、涙を流して喜ぶ者、お互いの頬を引っ張り合って現実を確かめる者、写真を見ながら『俺、帰ったら結婚するって約束、果たせそうだよ。』と呟く者、沢山の感情で溢れかえっていた。
しかし、歓喜の中、唯一、自分のするべきことを淡々としているものがいる。共闘した男だ。
「・・・ん?ああ、こいつにとどめを刺そうと思ってね。虫の息だが、最後の力を振り絞って爆発したりするからね。」
男は私の視線に気が付いたのか、そう説明する。本当にしっかりしているんだなと思いつつ、仲良く転がっている私の腕と男の腕を拾い上げる。
「それをどうする気だい?ちぎれた腕はどうしようもないだろうに。」
そう男は一般常識を吐く。だが、今の私はあきらめる筋合いはない。私は一度ちぎれた腕を蘇生してもらっている。つまり私は腕がどのような魔法で蘇生できるか知っているのだ。
サンスレットは言っていた。『流石にちぎれた腕を蘇生することは出来ないから作った腕をくっつけた』と。つまり腕さえあれば今のこの国の魔術力でも再生できるということなのだ。
腕を持ち上げ、自分の方あたりに近づける。まだ使ったことのない魔法なので自分で身体実験をば。腕と肩をつなぐ細胞はその辺にある脂肪から少しづつもらって再生個所に集める。そして細胞と細胞を接続させていって、神経も接続。神経を接続するのはとてつもない痛みが伴うが『疲労無視』を発動している私からしたらなんという事もないものだ。
実験は見事成功。腕は若干違和感がある程度でしっかり動く。切り離されていた時間が短かったのが幸いして、死んでいる細胞はごく少数。三日もすれば違和感もなくなるだろう。念のため接続した腕の殺菌は手を抜かない。
「さあ、次はあなたの腕ですよ。」
「なんか君は本当にぶっ飛んでいるね。」
男の腕は無駄口をたたいている暇にくっつけてしまった。しかし、やはり若干違和感があるのか、自分の腕を回しながら不思議そうにしている。私には頭の上に『?』が見えます。
「助かったよ。本当なら家に招きたいくらいだけど・・・記憶を消すんだったね。腕の治癒を見せつけられてしまったら戯言と切り捨てることは出来ないからね。」
そう言って肩をすくめる。演技を一瞬疑ったが、男の落胆は演技としては出来過ぎていたので本当にそう思っての行動だったのだろう。肩をすくめるなんて本当にしている人を見たことが無いので疑ってしまった。
「ありがとう。これで確実に虎を倒せるよ。」
男は茶化すようにあえて的外れなことを口にした。しかし私はこの虎にしなければならないことがあるのでこの男には少し引いてもらう。
「すいません。ちょっとこの虎と話がしたいので少しどいてもらっていいですか?」
「ん?殺す前にした方がいい事なのかい?ならお先にどうぞ。」
男に一言断りを入れて、歩いて近づいていく。そして満身創痍でぐったりしている虎に話しかける。
「話せますよね。私の質問にあなたの命が掛かっています。正直に答えてください。」
冷酷とも言えるその物言いに虎はたじろぐ。
「我にどのような質問をするのだ。」
「すぐに分かることです。それと口を慎んでください。」
大半は魔獣が喋ったことについて驚いている。魔獣は階級が高くなるごとに知性が高くなると聞いたことはあったらしいが実際に喋るのを見た物はいなかったらしい。というより、超級の魔獣に会ったことがあるなんて人はそうそういないだろう。
「あなたは時速三百五十キロ以上の速度で走れますか?無理なら『NO』と。可能なら速度と持続時間を。」
「その質問がなぜ我の生死にかかわるのだ。」
「口を慎みなさいと言っているでしょう。貴方は私に負けたんです。今すぐ殺すことも可能なんですよ。」
話を円滑に進めるためとは言え、流石にこの言い方は罪悪感があった。こちらは命を握っているのだぞというのは流石に心が痛い。
更にネタバラシをすると実際には今すぐ殺すことなんてできないというのが本音である。あれは剣技で嵩増ししてやっと届いた領域であり、今すぐそれを発動するなんて不可能だ。しかし都合のいいことに虎は『剣技以外にもお前を殺す方法はある』と言ったように聞こえたようで。しゅんとしている。
「・・・時速五千キロまでなら出せる。継続時間は六時間だ。」
「成程。マッハ4強ですか。それで六時間は結構な持久力ですね。」
そういうと私は今持つ全魔力を炎に変えて超級炎魔獣に与える。私の魔力は吸収率がいいのか、魔獣はどんどん成長し、絶級と言っても差し支えの無いくらいの強さを獲得する。
なぜこんなことをと魔獣が困惑しているが、どこ吹く風と気にせず『疲労無視』を解除した。
そして私はニッコリと笑い、こう言った。
「私の移動手段になってください!」
「・・・・・・は?」
魔獣はもう何が何だかという表情をした。
004
「あと十二時間くらいで王都の試験会場に行かないと入学試験に間に合わないんです!!私単体だと時速三百キロくらいの速度でしか進めないんです!なのでテイムします!私の魔力を渡したので多分さっきより強化されたはずです!さあ、こっちに来てください!!!」
涙目でまくしたてる私はさっきまでの威厳なんて何処にもありませんでした。さっきは本当に子供なのかと疑っていた兵士さんたちが私を生暖かい目で見てきます。止めてください!!そんな目で私を見ないで!!
「・・・我がお前を殺すとは思わないのか?我はお前の魔力で先ほどと比べ物にならないくらい強くなった。お前は今の我を止めれるのか?」
魔獣は威圧するでもなく、本気で心配したような顔で私に問いかけてきます。
「多分大丈夫だと思いますよ?・・・まあ何かあったらサンスレットさんに丸投げしますけど・・・」
私は今とても無責任なことを言った気がします。多分気のせいですけど。そうすると魔獣は呆れたように私を見ます。ジト目です。これがジト目なんですねって感じのジト目です。
「我を連れて行ったら周りが迷惑するのではないか?親御さんはどうなのだ?ちゃんと我と一緒にいることを許してくれるのか?」
「ああ、家族は一昨日・・・でしたっけ?に全員死んでいるので大丈夫ですよ?」
あ・・・・分かります。今スゴク嫌な空気が流れています。それを聞いた魔獣さんや兵士さんがかなり濃厚な同情の目を向けてきます。中には泣いている人もいます。どう、どうしましょう?
「分かった。もう言わんでいい。テイムされる。されるから。これからは我の事を家族と思ってくれてもいい。」
魔獣さんは涙を浮かべながらテイムを了承してくれました。空気が重たいですがもうテイムの儀式をしましょう。
「テイムしたいです。なのでこの魔獣に首輪を!」
儀式に必要な言葉を結構端折っている儀式に驚く人も多いですが、呪術なんて適正も無い上に碌に勉強していなかったので簡単に言うしかありません。しかし、この言葉だけでテイムが成功したのは僥倖と言えるでしょう。
「これで我とお前は主従の関係になった。誇るがいい。」
「お前じゃなくて『ミフィア』って呼んでください!家族としてそばにいてくれるんですよね!?」
ずい、と顔を近づけながらそう宣言します。お父様もお母様も大体こうしたら引いてくれるので魔獣さんにも同じことをします。通用してくださいっ!!
「・・・・ミフィア」
やりました!!魔獣さんが私に従いました。これにはさすがのポーカーフェイスミフィアも満面の笑みです。周りの兵士さんたちから暖かい目を向けられていますが今は気になりません。魔獣さんが心を開くきっかけを作ることが出来ました!いずれは完全に心を開かせて本当の家族になってもらいます!
「そういえば魔獣さんの名前って何ですか?」
「我は生まれてまだ日が浅い。個別名称は与えられていない。」
「じゃあ魔獣さんの名前は『レオ』で決定です!」
「おい、勝手に・・・まあ、それくないならいいか。」
さっきまで殺し合いをしていた仲とは思えない程ホンワカな雰囲気が漂ってきました。まあいいです。これからはレオと一緒に居れるので寂しくなりません。そのことがとっても嬉しいのでそれ以外はとりあえず棚に上げます。
取り合えず、今しないといけないことはし終わりました。レオが時速四千キロで走れるというので明日の朝にでも出発したら間に合います。ということはここにいる人たちのケアが優先ですね。何か出来ないものか・・・
「あ!そうです!!皆さんにベッドを用意しましょう!」
私がいきなり大きな声を上げたことに驚いた兵士さんもいましたが、何をいまさらという兵士さんの方が多いようです。恐ろしい順応能力・・・
ズドドドドドドドドドドドドッ!!!
魔法で大きな建物を作ってその中に大量のベッドを設置しました。前世由来のフカフカベッドです。ここまでの地形干渉魔法を使うのは久しぶりで結構疲れましたがまあいいでしょう。体育館みたいな感じをイメージして作ったんですが一個じゃ足りなかったのでもう三個くらい生やします。
ズドドドドドドドドドドドドッ!!!
ズドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!
ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!
兵士さんたちは唖然としてますがまあいいでしょう。休養をいち早くとるために用意した施設です。皆さんに入ってもらわないと建物が泣いてしまいます。
「皆さん!休養施設を作りました!人数分ベッドがあるので好きに休んでください!!」
皆さん相当疲れているんでしょう。「お、おう」くらいの反応しかせず、みんな建物の中に入っていきます。もうすぐ夕ご飯時なのでご飯でも作って皆さんに振舞いましょうか・・・。幸い、私は料理も出来るので山で材料を一網打尽にして集めてきましょうか・・・
かくいう私も体力と気力を酷使し続けたので疲れました。一つベッドを使ってゴロっとしましょう。ガラガラ。ボフッ。そのまま寝てやろうと思ったりもしましたが「このベッドすげえ!?王宮のベッド並みに寝心地いいぞ!!」とか「誰か!俺にもベッドを!!」とか騒いでいたので眠れませんでした。
途中レオが中に入ってきて、兵士さんたちは戦慄し、臨戦態勢の兵士さんをよそに私の添い寝をしようと布団に潜り込んできて、さらに暖かくて普通に寝そうになったけどベッドが重さに耐えきれずバキッて逝ってしまったのでやっぱり寝れなかったのは別のお話である。