二部のエピローグ的な?
三話同時投稿の三話目です。
この話で一章完結というかもうこのタイトルには投稿しないというか。
一章とは何だったのか(哲学
それから時は少しばかり進み、私は晴れて四年生です。
「それではホームルームを始める・・・前に、ライズ君、どうぞ。」
何でしょうか?知らせならホームルームの途中でやればいいじゃないですか。それ以外の大切な事なら授業を一コマ潰してしたらいいと思うのですけどその辺はどうなのでしょう?
「はい」
ライズ君は既に打ち合わせしているのですね。
「マージョリー様、一つご報告があります。」
「は?何かしら?」
物凄くイラついてますね。火を見るよりも明らかです。大方生意気にも従僕が自分の意思以外の行動をとっているのが気に入らないんでしょうね。
「本日を持ちまして私の契約は終了となります。私『ライズ』は契約続行せず、飛び級でこの教育機関を卒業、つまり私は本来この教室に居てはいけない身なのです。」
「何?待ちなさいよ。勝手に契約を切るとはどういう事かしら。そんなの認めないわ。これでいいでしょ?さっさと下らない話題を止めなさい。」
マージョリーさんは地面に数枚の大金貨を投げて契約続行の意を示します。ただ、もう契約しないって言っている人間にそういう態度をとっても付いてこないと思うのですが。傲慢というかなんというか、近年偶によく見る我儘お嬢様の見本みたいな人ですね。
「いえ、どれだけ金を積まれたところでもう一度貴女の執事になるつもりはありません。」
「はあ?私の言うことは絶対よ?下民が背いてはならないことを貴方には『また』教え込まなくてはならなそうね。」
そう言ってにたりと顔を歪ませるマージョリーさんは控えめに言って関わり合いになりたくないような人相でした。
「では教えてくださいますか?」
ライズ君はマージョリーさんの逆鱗を逆撫でするように的確なセリフを浴びせます。ええとですね、そんなこと言ったら本気でマージョリーさんキレますよ?本気と書いてマジですよ?
「いいわ?体に叩き込んであげる!」
その時、マージョリーさんは使い古された鞭を腰から引き抜きライズ君に振り下ろします。ああ、成程。ライズ君がボロボロになっていたのはこれのせいだったのですね。と、脳内で現実逃避を始めた頃、ライズ君が鞭の先端をパシッと止めます。
ん?
待ってください。何処かで聞いたのですが鞭って先端の部分はマッハ四くらいまで加速するんですよ?振り下ろす時のパンッて音は音速を突破した音なんですよ?何で掴めるんですか?
「は!?何故掴めるのよ!離しなさい!この下民が!」
激昂しながらぐいぐいと鞭を引きますが一向に動きません。
「お嬢・・・ああ、いや、もうお嬢様じゃないのか。おい公爵令嬢。お前誰に鞭を振るっているのかいるのかわかってるのか?」
ライズ君は・・・いえ、先ほどのセリフの途中から若干声が高くなり、見知った人物の声に変化します。そして丁度マージョリーさんが転ぶタイミングで鞭を放したその男は両目から赤のカラーコンタクトを取り、頭につけている真紅の鬘を取ります。
そこから出てきたのは青い髪と蒼い瞳。
言わずと知れたサンスレット・ロード・・・レットさんです。
「はあ?誰よ。髪と目が赤かったくらいで私に楯突けると思っているの!?」
相変わらずヒステリックに喚き続けるマージョリーさんを傍らにレットさんは涼しい顔をしています。
「お?まさか俺のことを知らないのか箱入り娘め。俺の名前はサンスレット・スクウェア・ロード。全能列強序列四位・・・と名乗りたいところだが此処では『地権』を四つ保持する筆頭公爵だと名乗っておこう。」
レットさんがそれを言い切るとマージョリーさんはさっと血の気が引きました。まあさっきまで鞭を振るっていた男が実は自分の家を潰す・・・まではいきませんが子爵くらいまで降格させることの出来る人間だったとは思っていなかったのでしょう。
実際、機嫌を損ねてしまえば彼女の実家は立場を失いますしマージョリーさんは勘当でしょう。
「俺がライズとしてこの学校に通っていた理由は偽物の『ユレイユ』を糾弾してこの学校から叩き出すために都合がいい立場だったからだ。その任務は果たせたしもうこの学校の生徒をやる理由はない。」
途中から私も参加したのですがその辺は言わないでくださいね?アイコンタクトでそう言ってみましたが「何で目をパチパチさせてるんだ?」くらいにしか思われませんでした。仕方がないので言い始めたら強硬手段で止めます。
「まあ、その辺はどうでもいい。俺的にはライズ君は卒業したっていうことを皆に伝えたかったってだけだ。・・・あ、間違った。それともう一つお知らせがあってだな。」
レットさんは腰が抜けて立てないマージョリーさんを放置し、教壇まで歩いていきます。そしてメイルさんが少し右にずれてレットさんが真ん中に立ちます。
「今年からこのクラスの副担任をやることになったサンスレット・ロードだ。この教育機関の教育プログラムを作ったのは俺だからなんでも聞いていいぞ。」
一瞬しんとなったが突然大きな歓声が上がります。おい、貴族ならもっと感情を抑えてくださいよ。皆興奮しすぎです。確かに全能列強第四位の方に指導してもらえるなんて王族でさえ機会が無い貴重なことです。これから卒業までの三年はさらに充実したものになるでしょう。
レットさんはそこまで言い終わると左にずれてメイルさんが前に出ます。
「見ての通り今年からはレットも指導をしてくれるのでしっかり勉学に励んでください。・・・それと、」
クラスメイトは新学期初日から情報量が高い連絡が沢山行われたせいで頭がパンク気味なのですがまだ何かあるのでしょうか?
そう思うや否や、メイルさんはレットさんの腕に抱き付きます。
「レットは私の夫です。三年遅れて自己紹介といきますが、私の名前は『メイル・S・ホワイト・ロード』です。今まで『シンフォル先生』と呼んでくれた方には申し訳ありませんがこれからは『ロード先生』と呼んでください。」
メイルさん、言えて嬉しいのは分かりますがそれではレットさんの呼称と被ってしまいますよ。レットさんだってロードなんですから。
「先生!」
一人の元気のいい生徒が手をあげます。質問ですね。まあ、何を聞くかは大体分かってはいるのですがそのまま静観しておきましょう。
「メイルさんの夫は四十四歳だったはずです!その男は明らかに十四歳前後の容姿じゃないですか!三年前のカミングアウトと矛盾します。」
「レットは私より早く死なないように不老不死になってくれました。」
得意げに矛盾を突いた生徒をバッサリ切り捨てるところを見るにメイルさんは平常運転だなと確認する私はこの教室に毒されている証拠でしょうか?
「不老不死だってさ・・・?」
「でもそれって人類の夢だろ?今まで誰も成功したことないはずでは・・・」
「まてよ?それじゃ先生の夫を殺して娶ることが出来ないということか!?」
クラスがざわめきます。中には多少物騒なものもありますがいつも通りなので放置の方向でいきましょう。
「メイル先生。」
また一人、今度は令嬢のほうから手が上がります。
「二人は夫婦なのですよね?なら、き・・・キスとかできるんですよね?」
そう言った令嬢は二人が本当に夫婦かどうかを見極めるために質問したように装っていますがキスを見たいという思考が見え隠れ、というかもろに出ています。
「あ、いや、ほらさ、そういうのって人前でやるやつじゃないと思うんだが・・・」
レットさんは此処で怖気づいたようです。令息の方々はキスしないでほっとしているようなのでこのままこの話題が流れてくれればありがたいのですが。
「レット、ん。」
あ、メイルさんはやる気満々ですね。そういえばレットさんの財布のひもを握っているのはメイルさんだったはずなので家の中ではメイルさんの立場のほうが強い・・・というか積極的にリードしているのでしょうね。今のように。今のように!!
「ん。ん?」
レットさんは求められるままにメイルさんにキスをしました。が、その瞬間メイルさんの口が若干開き、舌がレットさんの口の中に入っていきました!
令嬢たちは半数は目を隠して顔を赤くしてキャーキャー言い、半数は目を隠している手の中指と人差し指の間が若干開いていて静かに、そして顔を赤くしながらそこからガン見しています。令息たちは絶望で真っ白になってます。
「ん・・・ふう、どうでしょう?参考になりましたか?」
レットさんの唾液が口の端から少し垂れているのが気になり、ペロッと舐めとるメイルさんは凄く大人っぽかったです。
これから三年間、楽しくなりそうですね。
と、思っている矢先にこの章は終了し次の章に突入します。主人公も変わります。残念でしたね。気が向いたら四、五章あたりで続編が出来るのではないですかね?
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「この度は招待していただき、誠にありがとうございます。」
「いえ、私としては同じ『転生者』としてコンタクトを取りたかっただけなのでそこまで畏まらなくてもいいですよ?」
「え!?」
二十代半ばの女性に自分が転生者だと言い当てられて少女は動揺を隠しきれないようだ。少女は今まで出来るだけばれないように行動してきたつもりだったし、友人からは変な人だと思われる程度で転生者知識などを広めたわけでもないので遠国の女性にばれるとは夢にも思わなかったらしい。
「正確には、あなたが私について調べていると隠密から報告されたので、少し探りを入れてみたんですよ。そうすると、転生者しか知らない単語『諦めたらそこで試合終了』を聞いたので転生者と確信したのですよ。どうです?当たっていますが安西先生。」
「貴女もあのバスケ漫画を読んでいたのね・・・いたんですね。」
「敬語は結構ですよ。」
女性は自然体でいいと少女に告げる。少女は本当に大丈夫なのかと後ろに立っている侍女に視線を向けたが表情はピクリとも動かず当てにならない。
「分かったわ。あと、偶然の一致だけど前世の苗字も安西よ。」
「安西さんですか?偶然ですね。苗字が同じことでシンパシーを感じ、あのネタを発してくれたおかげで私はあなたにたどり着けたのです。安西という前世の名字には感謝ですね。」
「変な曲解してるけど別にシンパシー感じてないからね?偶々そのネタを聞かれただけで他のネタも結構言ってるからね?」
安西と名乗った少女は相手が早々にボケの方に回っていると感じ、ツッコミに入る。何とも懐かしいと感じる安西はまだその正体に気が付かない。
「というか貴女は敬語のままなのね?」
「ええ。長年この口調だったもので、いきなり敬語を止めろと言われても・・・そもそもどういう風に話せばいいか分からないんですよ。」
事実、彼女は物心ついてから今まで敬語じゃなかった時の方が少ない。パニックになった時などに数度今の口調が崩れた時があったが今は突発的な出来事でも口調が乱れないと断言できる。
「じゃあ気にしないでおくわ。・・・何を話せばいいの?」
安西は女性にそう問いかける。安西をこの国に呼んだのは女性であり、安西自身が何か用があってこの女性を尋ねたわけではない。
「ええと、そうですね・・・特にありませんね。私としては貴女が転生者ということを確認することが目的だったので。そういうあなたの方こそ、何か聞きたいことがありそうですね。」
女性は安西にそう返す。安西はその見透かしたようなセリフに顔をしかめる。しかし別段驚いた様子は無い。
「・・・セリフまでそのままね。」
「何か?」
安西はこの場面を既に知っている。
彼女は前世でこの世界にゲームをやっており、このシーンと同じやり取りを画面越しに見たことがあった。奇妙なことに、女性が発した言葉は一言一句違わずゲーム通りなのだ。
「聞きたいのは一つ、『ユレイユ』についてよ。」
その言葉を聞いた女性は今日一番微笑みが崩れていた。
「え!?貴方はユレイユの事を知っているのですか!?具体的にはどの辺りまでですか!?」
先程まで豪奢な椅子にどっしりと構えていた女性は先程までの雰囲気からは考えられない程興奮し身を乗り出さんばかりだ。
「は!?いや、待って。そんなセリフ私は知らないわ・・・」
「セリフ・・・ですか?」
女性は転生者ではあるがゲームの事を知らない・・・というか発売される前に死んでいる。女性が死んで、安西が死ぬ前に発売されたのだ。
「そうよ。この世界はゲームの世界で、貴女は私にユレイユの重要な情報を一つくれるNPCなんだけど・・・ここで貴女に私が知っているユレイユの全てを話したら情報の与えすぎとか言って来そうだから言わないわ。」
実際、ゲームの女性は一度目の失言をした後、その後何度話しかけても「情報を与えすぎた」と繰り返すのだ。RPGお決まりのイベント以外のセリフが固定される現象ではあるが今迄安西が出会って来たNPCはそのセリフを一回以上は発している。
だからそれが女性にも適応されるのではと危惧しているのだ。
「では貴女から聞いた情報以外の情報を渡すとここに宣言するので貴女が知っている情報と・・・それと私がゲームで言う『セリフ』を教えていただけませんか?」
安西は思う。これは確かに魅力的な提案だ。ゲームでも彼女は全てを見透かしたようなセリフを幾度も発し、ネットでは彼女ならばユレイユの全貌について知っているのではないかとも噂されていた程だ。
だが美味しい話には裏があるというもの。
現在女性の立場は自分より高く、自分が全て話したところで宣言を反故にされる可能性もある。
「・・・私が知っている情報は・・・」
だが、安西は全ての情報を開示した。
理由は至極単純。後ろに女性の侍女が控えているからだ。女性に無礼があれば自分は何らかの形で処罰が下るかもしれない。
「・・・成程、『ユレイユの書については絶対に話してはならないと彼が・・・』ですか。『書』という言葉を知らなかった貴女にこれを言うのは早計・・・というか早とちりでしたね。因みにその書は結局、歴史、物理、化学、言語の内どれなんですか?」
「え?私が知っているのは『ユレイユの書』が魔王復活のカギに成ったって事くらいで・・・」
そこまで言うとハッとした風に顔を上げる。どちらが、と問われれば両方だと答えるべきだ。女性は自分がしてしまった失言に気が付き、安西は先程から危惧していたRPGのセリフループに突入するかもと女性の失言を指摘した事を後悔した。
「成程。確かに貴女が話してくれたゲームの状況通りですね。失言です。ですがここで情報多加を言い渡せば信用が落ちるでしょうしちゃんと私から一つ情報を開示しましょう。」
女性の言葉を聞いて安西は明らかにホッとした表情になる。ゲームの強制力というのは時として人を殺すもの。女性がゲーム通りに動いた場合直ぐ失踪、又は殺害されてしまう。安西としては女性にはゲームのシナリオを無視した行動をとってほしかったのだ。
「ところで、貴女が欲しい情報を具体的に教えてくれませんか?『ユレイユについて』と言われましてもどこを話せばいいのか分かりません。流石に全てとはなりませんからね。此処まで貴方の話を聞いてもユレイユについて全て話すのは気が引けます。」
本人のプライバシーもありますしねと冗談めかして言う。だが安西は自分の中の価値観が若干揺るいだ。ゲームの世界、ゲームの目的と考えながらユレイユについて探し求めていたが、ゲームをプレイしているような気分だったせいかユレイユが一個人だということを忘れていた。
ユレイユだって一人の人間なのだ。
何故忘れていたのかと安西は若干自己嫌悪に陥ったがそんなことをしている暇はないと頭を振る。安西にはユレイユを探すのっぴきならない理由があるのだ。
最初の方はなんとなく神様から探せと信託があったから探していた。しかし、ゲームシナリオ通りに時間が流れればこの世界で出来た初めての友人が死んでしまう。理由は至極単純、その友人はユレイユの書のせいで魔王復活の礎にされてしまうのだ。
その運命は安西が生まれる前から既に動き始めており、修正し、友人を取り戻すには他ならぬユレイユの力が必要だと考えている。なにせユレイユの書を作成した本人なのだ。本の効果を消すでも良し、回収して他の場所で使うも良し、とにかく友人に作用しない所に持っていって欲しい。
「だったら・・・秘密にしていて私に話せる最大の秘密を一つ教えて欲しいわ。」
安西はそれが最善策だと確信している。相手に開示させる内容を決めさせるのは本来は愚策と言えよう。しかし女性は『信用』をおとさない為に態々漏らした情報とは別にもう一つ情報を開示する人間だ。この方法は自分の信用性を自分で決めさせる行為なのでいい情報を開示してくれると安西は確信している。
「うーん・・・じゃあ、私の正体を明かしましょうか。ゲームでは明かされていないシークレットな内容ですよ?」
女性はクスリと笑い安西に視線を向ける。女性の微笑みは同姓でも魅了してしまいそうな勢いであったが安西はその微笑みにどこか既視感を覚えその笑みに魅了されている暇は無かった。
「私は・・・『ミフィア』は、『サヱ・シィキア』です。」
「・・・は?」
女性が開示した情報は安西の予想していたものを遥かに凌駕していた。
ゲーム知識によれば、『サヱ・シィキア』年齢不明、ユレイユの親族に当たるがその根拠はファミリーネームが同じだということだけで、ユレイユと同じくらい謎に包まれた・・・というか存在しているかどうかも怪しい人物である。
「待って待って、え?少し待って完全にキャパオーバーなんだけど?・・・あ、でも貴女がユレイユの親族だったところで何か進展するわけではないわね。」
確かに安西の知識の根底を揺るがすものだがそれはその上に何か知識がなければ揺るいでも特に変化は起きないのだ。
「そんなことは無いですよ?別に一回限りしか会えないわけではないので。そうですね・・・これを渡しておくので何時でも来てください。代価があれば情報を開示しますよ。勿論、それ相応ものもですが。」
何らかのカードを受け取りながら安西はまた思考の渦に捕らわれていた。彼女はこの面会の後女性が失踪、又は殺害されることを知っている。だが彼女は転生者で、しかも世界で四番目に強い者なのだ。簡単に殺されるわけもなくそもそも世界崩壊レベルの戦力だから逃げも隠れもする必要は一切ない。
安西はまたしてもゲームの知識を前提に動いていたようだ。自分の固定概念を憎く思いつつ改善に思考を持っていけたところは偏に適応力の高さ故だろう。
「有難く受け取っておくわ。・・・ってこれ何?」
「ああ、それは地権の分権ですよ。王国王都二十四分の一を治めている証ですよ。分権ですから税収等は弄れませんが私に会いに来るための身分証くらいにはなりますよ。」
女性は軽々しくそう言っているが実際はもっとえげつない利用価値がある。分権と言えどそれを提示すれば何処だって上級貴族並みの待遇で迎え入れてくれるのだ。それをポンと渡すのは女性が阿保なのか将又安西を信用しているのか。
此処まで女性を煽っておいてアレだが、本当の理由は安西が高位貴族であるため、地権を使わずとも同じようなことが出来るからだ。よって、安西に渡すときに限り、その地権の分権は女性に会うための許可証程度の価値に成り下がるのだ。
「うーん・・・地権ってゲームでも名前は出て来たけど詳細は知らないのよね。あんまり説明無かったし。今から詳細を聞いたら頭がパンクしそうだわ。」
確かに地権には沢山の規定があるがあくまで規定であり、使い道等は限られているため実際に使わないのであれば説明は容易い。
「最後に、一つ気になったのだけれど・・・貴女って今ユレイユが何処にいるかとか分かっていたりするの?」
これは対価が必要な質問だろうかと、安西は質問した後に心配になったが女性は気に留めることなく思考する。唸りながら人差し指を唇の近くに持っていって悩んでいる姿も何だか既視感を覚える。次来た時はそのあたりを中心に質問しようかと安西は検討しているがその間に女性は返答を整理し終わったようだ。
だがそれは、女性の、つまりユレイユの親族で無かったら唯ふざけているのでは無いかと思うような出鱈目な回答だった。
「うーん・・・多分ニ十回目くらいの新婚旅行じゃないですかね?」
それは既に新婚じゃない、と安西は心の中でツッコミを入れた。
温泉旅行だったとか。
ということでこのシリーズは終わりです。
垢切り替えますので気になる方はその内この下にURL張ると思うのでそれから飛んでください。
短い間でしたがありがとうございました。




