番外、短編。今週は休みます。本当にすいません!!
「ということで、今回はストーリーが進まないんですよ。」
真っ白の部屋の中にポツンと白と金で装飾された豪奢なテーブルが設置されています。窓も、照明もありませんが何故が適度に明るい。そんな空間に私とアベル君、そして私の腕の中にレオが居ます。
「ええと・・・まず、ここは何処なんだ?」
「ああ、ここは特設スタジオです。ここでしたこと、聞いたこと、その他もろもろは本編に支障が出ないように改ざんされてしまう都合のいい部屋です。」
アベル君はそんな馬鹿なと言いたそうな顔をしていますがそういう仕組みなので仕方ありません。なにせ、今週はいろいろあったせいで何も作ってないんです。この話だって早急に作り上げたせいで榮さんの妄想を垂れ流すような世界観になってしまっているんです。一々部屋がどうのって言っている場合ではありません。ツッコミにつかれてしまいます。
「その『榮さん』って?」
「え?もしかしてアベル君は小説の作者名を見ないタイプの人なんですか?榮さんは『ユレイユ書店の歴史の書』の作者ですよ。現在もパソコンの前で気持ち悪い笑みを浮かべながらキーボードを触ってますよ。」
「気持ち悪い笑みって情報いらないんじゃ・・・?」
いえ、とても必要ですよ。だって私が酷い目に会っているのって基本榮さんが物語作っているせいじゃないですか。作者補正で最強の令嬢にしてくれればいいのに次から次へと変な状況を作り上げてくるんです。なんですか家族全員で結託拷問って。
「それは仕返しもしたくなるな。」
「でしょう。アベル君。」
椅子から立ち上がる勢いでアベル君に顔を近づけます。いいですね。年頃なので女の子の顔が近くにあれば赤面もするでしょう。小さい頃から一緒に居れるんです。大人になるまでにアベル君の好みを私よりに変えていけばいいのです。
「なあミフィア、僕、さっきから君の心の声が聞こえているんだけど、今の奴は聞こえてよかったのか?」
「ああ、大丈夫です。アベル君は何も聞いていません。」
そうなのか・・・そうなんだな・・・いや慕ってくれるのは嬉しいけど、何時も心の中にしまっているものをさらけ出しているからちょっと強引・・・それも嬉しいけど、呼び名がアベル君になっているのがちょっと残念・・・だけどそれはそれで新鮮で嬉しい・・・
と、アベル君の心の中もばっちりこちらから見れるようになっています。
「アベル君が私に好意を少しでも持っていてくれているのは嬉しいですけど・・・何でこの部屋での記憶は消えるんでしょうかね・・・。」
「仕方ないというか・・・ここの記憶をもって本編に戻ったらなんか肩透かしを食らった気分になりそうだよ・・・あっさりというか。」
どうでしょうか?戻ったときにアベル君が私が知っていた場合・・・
告白からの二人はずっと幸せに暮ら(以下略 ルートに入りそうですね。
まあ、イフを考えていても仕方ありません。
「ですが、どうしましょう。ここにはアベル君と私、レオだけです。設置物といえば机といすだけで証明はおろかドアも窓もありません。」
「そうだね・・・第一、この話の趣旨は何なんだ?今週は休みますって言いたいだけならここまで話を書く理由は無いし・・・何かした方がいいのかもしれないな。」
何をしろというのでしょうか?ヒント的なものを探していますが見つかりません。どうしたらいいんでしょうか?教えてください。
「ミフィア、これはヒントになるか?」
さっと腕の中から飛び出したレオが一枚の紙きれを咥えて持ってきました。
「ええと何々?『爆発オチなんてサイテー』?」
アベル君は全てを悟ったような顔をしました。
「あ、何を悟ったんですか?」
「これは・・・レオが途轍もなく強い炎魔法で爆発を起こすって事だと思う。それをしないとこの空間から出られない的な感じの、所謂『定義』ってやつだな。」
定義・・・つまり、1が十個溜まったら桁が上がって10になるのと同等の優先度のルールというわけですね・・・。
「それじゃあ十六進数とか二進数とかいろいろ抜け道があるから言わんとしていることと若干違う気もするが・・・で、結局、この部屋の趣旨は何だったんだろう?結局雑談して、後は爆発っていう流れになっているから、何がしたかったのか分からないな。」
ああ、それは簡単です。
「この部屋の趣旨は・・・」
私はにこっとしてアベル君に抱き着きます。
「ちょっ!!」
「本編に響かないようにアベル君に好き勝手するための部屋です。」
その瞬間、目を覆ってもまだ眩しい光が巻き起こります。
どーん。
「爆発オチなんてサイテー!!」
本当にすいませんでした!
多分完結までに同じような短編が一つか二つ入りますが許してくださいっ!




