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ユレイユ書店の歴史の書  作者: 榮 裕也
一章 ミフィア・フィーシル
19/28

嵐の荒らしの女

十八歳ほどに見える青髪の少女はお姉さん系の美しさがあります。レットさん含む四人が美味しそうにサンドウィッチを食べているのを微笑ましく眺めているのを見れば、大概の男は心を持っていかれるでしょう。彼女も片手にサンドウィッチを持っていますがそれを食べる動作一つ一つにさえ気品があり、知らないものから見れば貴族の令嬢にだって見えそうです。


十六歳ほどに見える茶髪の少女は何処かメイルさんのような雰囲気を醸し出しています。冷静沈着、何にも動じない心の穏やかさのような物があるように見えます。ただ、メイルさんのように残念な部分が見え隠れすることは無く、正真正銘の文学少女のようです。


十歳ほどに見える緑髪の少女は何事にも控えめな印象な女の子です。何時もアワアワしているような印象で、レットさんがアクリアからサンドウィッチを強奪しているのを見てアワアワし、アクリアがアッパーカットをレットさんに入れるのを見てアワアワする、混乱すると何をしたらいいか分からない感じの性格の女の子です。


八歳ほどに見える赤髪の少女は元気溌剌な感じの女の子です。レットさんと張り合ってサンドウィッチの大食いをやっていたりサンドウィッチが無くなってきたからレットさんから奪うという強行に出ている所がレットさんに被り過ぎていて直視できません。レットさん並みにめんどくさい人が二人もいれば十分学級崩壊しそうです。レットさんや赤髪の少女が学校に行っているかどうかは分かりませんが。


因みに、赤髪の女の子は『アクリア』と呼ばれています。あれですね。アベル君が言っていたレットさんのテイムしている大陸獣の名前と一致しますね。恐らくレオがやっているように身体の大きさを調節しているのでしょうがまさか人間のような姿になれるなんて思ってもいませんでした。


「レットさん、美味しそうですね分けてください。」


さっきまで世界最高速の鬼ごっこをやっていたはずなのになぜか呑気にお昼を食べていることに皮肉半分でそう言ったのですが、


「何言ってるんだ!これは私のだぞ!」


と、隣でサンドウィッチを秒で消していくアクリアがそう言ってきます。いやまあ、多分それメイルさんのお手製ですよね?なら私も食べたいです。メイルさんの料理は最近食べて無いんです。私が距離を取った所為なのですがそれでもあの味は忘れられません。


「・・・メイルさん。」


「分かりました。今料理・・・というか簡単に作るので待っていてください。」


メイルさんに助け舟を求めるとメイルさんは何処からか取り出した『スーパーシステムキッチン』で料理を開始します。


そのキッチン何処から出したか聞いてもいいですか?


「そういえば聞いていませんでしたね。レット、何でこんなことしてるんですか?そもそもあのふざけた法律は随分前に出来てしまったものなので今更とやかく言うつもりはありませんよ。」


まあ、そうですよね。だってもう取り返しのつかないくらい浸透してますし、実害がないのでまあいいのではないのでしょうか。


レオは頭の上から猫パンチをシュッ、シュッと何度も繰り出しています。アクリアが物珍しそうにレオの周りを駆けているせいでしょうね。私以外の人には普通にドライなので。ツンデレな子なのですが周りにはツンツンで私にはツン七割デレ三割な感じです。


座っている時とかに膝の上に来てくれるのですが、それを撫でると目を細めて気持ちよさそうにしてくれるのでレオが甘えてくれるのは私としてもオールオッケーです。


「なんだこの猫!強い!ツヨイぞ!!」


アクリアがそう言ってますがどういう経緯でそう思てるのかを聞いてみたいです。子猫レオさんが強いと思うのは同じく小さい子供くらいだと思っているのですが。


もしかするとアクリアは肉体年齢と精神年齢が連動しているのかもしれません。人間の子供の姿になっているせいでレオの猫パンチが強い打撃に見えるのかもしれません。


「お、アクリアいい目をしてるな。そいつ多分三十一億・・・五、いや、六千五百万くらいの攻撃力を持ってるぞ?あ、皆気付いてるっぽいな。」


「何でレオさんの攻撃力をそこまで正確に知ってるんですか!」


本当に驚きですよ!レオの強さはブラインドしているので結構分かりにくくなっているはずです。しかもレットさんに至っては強いという事だけでなく正確な数値まで割り出しています。


「簡単だよ?『視可能力サーチ』っていう神秘持っているからな。言っては悪いと思うが隠す相手が悪かったんだよ。」


「反則です!私が頑張って編み出した魔法なのにそんなに簡単に看破されたら堪ったものじゃありません!というか幾つ神秘を保有してるんですか!普通、一人一つですよ!」


ちょっと感情的に捲し立ててしまいましたが神秘を幾つも持っているというのは本来おかしい事なんです。私は『魂』が四つあり、必然的に『精神』も四つあり、精神に密接である『ステータス』も四つ、ステータス一つにつき一つの神秘も四つありますが、レットさんもそんな感じなのでしょうか。


「それはだなあ・・・何と言えばいいのか・・・。まあ、簡単に言えば一つ目の神秘の能力で二つ三つ取得できるんだよ。」


成程。レットさんは普通にチートでした。ややこしい上に面倒臭い力を持っている私が言うのもアレですが、レットさんも結構おかしな力を持ってますね。


今のところ、私が知っているレットさんの神秘は

『転生回帰』ビィ・バックホーム

『盤上遊戯』グッフィー・ゲーム

視可能力サーチ

それに加え、公に公開している

『万物浮遊』トワイライト・レフィティア

『究極打撃』オール・ユーズレス

『天変地異』ロスト・ラ・ムー

です。


もう普通に現実逃避したい能力の数々ですね。『転生回帰』ビィ・バックホームは死なない、『盤上遊戯』グッフィー・ゲームは強制的に自分の土俵での勝負、『視可能力サーチ』ではそもそも自分の実力がバレます。


『万物浮遊』トワイライト・レフィティアはこの大陸が浮いている理由そのもので、『究極打撃』オール・ユーズレスは一撃必殺の打撃、『天変地異』ロスト・ラ・ムーに至っては大陸をも沈める大災害を引き起こす特異神秘です。


スキルとは違い、特異神秘は規模や威力が段違いです。しかも、スキルには生活が楽になる程度の物もあることに対し、特異神秘はどんなものでも使い方を覚えれば戦場の最前線で戦えるほどの物ばかりです。レットさんは普通に大災害です。


「あ、俺の事大災害だとか思っただろ?残念。物理で殴った方がこの星にダメージが入るんだからな。」


そんな誇らしげに言わないでくださいよ。それはそれで困るんですよ。レットさんが怒ってイラっとして本気で地面を叩こうなら星が揺れてしまうんですよ?ちょっと代償がおかしいです。レットさん怒ったりしたこと無いんですかね?というか物に当たるタイプの人でしたら既にこの星滅んでますね。


「軽食が完成しましたよ。はい、ミフィアの分です。」


そんなこんなでいつの間にか料理は終わっていたそうです。レオには猫缶のような物を出しています。レットさんは猫缶も輸入しているらしいですね。


「ありがとうございます!中身は・・・たくさん種類がありますね。たった今作ったんですか?」


「流石にそこまで器用じゃありませんよ。あらかじめ準備していた食材の中から使えそうな物を幾つか見繕ってみただけです。でも喜んでもらえたなら嬉しいです。」


「はい!」


メイルさんの言葉を聞きながらサンドウィッチにかぶりつきます。私分だけではなくアベル君用にも入れてくれているようなので多めです。・・・アベル君の分も?


「アベル!これ美味しいですよ!食べてみてください!」


そう言って今二口ほど食べたサンドウィッチをアベル君の方に持っていきます。


「あ、ありがとう・・・」


サンドウィッチを片手に息をのんでいます。それはそうですよね。アベル君くらいの年齢なら間接キスに敏感になるころのはずです。女の子が食べた唾液付きのサンドウィッチを食べるのはかなりハードルが高いのでしょう。


私も若干恥ずかしいですが仕方ありません。アベル君を振り向かせるための致し方ない犠牲です。コラテラルダメージです。


そしてゆっくりな手つきで・・・食べましたーー!!顔が真っ赤でやって良かったと心から思った瞬間です。あ、メイルさんがこっちを見ています。その目に『わざとやりましたね?』と書かれているように見えるのでアイコンタクトで『モチロンです』と答えて見ます。


通じたみたいですね。グッとサムズアップしているのでメイルさんはグイグイ行くことはオッケーな方なのでしょう。


「若いっていいですねー・・・」


メイルさん何言ってるんですか。見た目は十四歳でしょう。心は二百超えているかもしれませんがまだ体は若いのですから好きな人とこういう事したらいいじゃないですか・・・そういえば、メイルさんの夫は暗殺されるかもしれないから今は家族を名乗れないとか言ってましたね。


「これからどうする?町からも結構離れてるし肝心の買い物は出来ないし・・・」


アベル君の言うことは尤もですが、実際はそこまで買い物に未練があるわけではないので私はこれから何してもいいんですよね・・・


そうこう考えている内に、『嵐』が来ました。


それは比喩ではなく、一人の人間が『嵐』を体現しながら歩いてきました。



積乱雲を引いてやってきた女性は一遍も濡れず笑顔で歩いてきた。


いきなりの事で対処できず私は『疲労無視』オフ・フェイスを発動させてしまった。精神的なダメージもあまりなく、肉体的ダメージに至っては全くないのにこのスキルを発動したのは恐らく、身の危険を感じたからだろう。


身の危険を感じた程度で『疲労無視』オフ・フェイスを発動してしまうなんて思ってもいなかった。・・・いや、『疲労無視』オフ・フェイスと本体は別々の存在だということがバレてしまった今、こんな言い方で煙に巻いても意味はないだろう。


オフ・フェわたしイスがミフィアに過保護になってきている証拠なのだろう。本体を傷つけたくないからと能力発動のルールを破って出てきたのはオフ・フェわたしイスが悪い。


因みに、この状態では本体の思考がオフ・フェわたしイスに混じっている上、解除後にも記憶が残るから二つ目の人格がどんな奴かを見ることが出来る時間だ。ミフィアは別に嫌悪感などないのだがもう少し早めにそのことを教えて欲しかったと切実に思う。


こちらとしては話せない事情もあったので察して欲しい。


「レット―!あーそーぼー!」


歩いてきた女性の声は高くもなく低くもなく中性的で、その美しい顔を見なければ男性ともとれる声色だった。年齢は二十前後で薄い黄緑の髪と目、シーフの格好をしている。


但し、その体から溢れるオーラは隠れて財宝を盗む職業のそれではなく、正面から全部ぶち壊して堂々と奪っていく力強さが見える。


普通の人なら彼女がどれだけ強いか分からないだろう。一見只の気が強いお姉さんだ。しかし、ある程度実力があるなら分かってしまう。彼女は強い。それも、レットさんを軽く上回る程に。


恐らく彼女は全能列強三位か二位。


「ん?その子たち誰?お初だよね?私はメンディス・ドランバルド。『荒れ恵み』のメンディスだよ!宜しく!」


メンディス・ドランバルド。全能列強第三位。彼女が歩けば雨風で辺り一帯は荒れ、栄養の高い水が一回潰した植物をさらに強く育たせるため付いた二つ名は『荒れ恵み』。・・・というのは表向きの話で、彼女がいるだけでそこら一帯が密林になることを皮肉を込めてそう呼ばれているだけだ。


「私はミフィアです。・・・こちらはレオですが、あまり近づかないでください。レオは貴女の圧に耐えれそうにありません。」


「私としては、こんな近距離に居るのに私の圧に怖気づかない貴女に興味があるんだけど。・・・まあいいよ。私はレットと遊びたくてここまで足を運んだんだから。私が居ても荒れない土地を作ってくれたのは嬉しかったけどやっぱり退屈なんだよね。」


確かに面白いものは沢山ある。ゲーム然り、アニメ然り。彼女はそう言う。確かに心から楽しそうに話している辺り嘘ではないのだろう。


「でも、やっぱり私は誰かと手合わせして自分が強いことを再確認しないと不安になってくるんだよね。何にも集中で気無くなってしまってね。だからレット、私と勝負して?」


メンディスさんの言葉を聞いてサンスレット・ロードはここ最近では見たことが無かった真剣な顔になった。こんな顔は初めてこの大陸に来た時、私の腕を治癒してくれた時以来だろうか。


「いいぜ?じゃあ、俺から様式美を言わせてもらう。」


そう言ってサンスレットは不敵な笑みを返すとセリフじみた言葉を口から出した。


 『ゲームをしよう』



その瞬間、目算四キロ四方の白い箱が現れた。私達はその中に居る。これがサンスレット・ロードの神秘『盤上遊戯』グッフィー・ゲーム。ゲーム板を召喚し、その中のルールを決めることが出来る。ただ、ルール一つ一つに『コスト』があり、『コスト』の合計が上限を超えないようにルールを作らなければならない。


今回作ったルールは以下の通り。


入出厳禁

死亡不可

観客無傷

地形保存


以上の四つだ。これは何時も最低限設定しているルールで、他のゲームをするときは他のルールも付け足す。この場合は周りに迷惑をかけない限り制約はないルールだ。


「いや、いつ見ても凄い神秘だね。私の一撃を以ってしても破壊できない壁はこれしか見たこと無いな。」


神秘によって隔離されているはずなのに尚振り続ける雨にツッコミを入れたいところだが二人とも真剣な面持ちなので止しておこう。


「俺としては壁を殴って揺らしたことに驚いたんだけどな。」


サンスレット・ロードのゲーム盤は不動不壊のはずだったのにこの人は揺らせたのかと表情に出さずに驚愕する。私の力を以ってしても揺らせるかどうか微妙な所だ。ただ、私はまだスキルやステータスを掌握しきれてないので努力次第で揺らすことも可能になるだろう。


サンスレット・ロードが敵に回るとは思っていないが、強い力はそれだけで理不尽を跳ね除けることが出来るのだ。逆に弱いと押し寄せる理不尽に逆らうことが出来ない。


どの様な理不尽がやってくるか分からないのだ。対策するに越したことは無い。


「じゃあ始めるよ。・・・シッ!」


メンディス・ドランバルドが世界を揺らす一撃を放つ。サンスレット・ロードはそれを躱す。そこまでの速度は無く、それなりに慣れていれば目視で躱せる速度だ。が、しかし威力が段違いで、奥の地面がごっそり持っていかれた。


地形保存のルールは何処に行ったのだろうか。いや、壁を揺らす程の一撃だ。構成物質不明ならいざ知らず只の土や石だ。神秘の保護があったとしても崩壊を防げなかったようだ。


サンスレット・ロードはその腕を掴んで背負い投げする。


しかし嵐のせいで捕まえた筈の腕がずるりと滑り、威力が抑えられる。但しクレーターが出来るほどの威力はあった。


「『レイン』」


彼女が何かを呟くと雨が一層強くなる。


「『その雨は槍と化す』」


そしてその雨は鋭さを増し、サンスレット・ロードに突き刺さる。液体なので刺さった後直ぐに抜けるがそれと同時に出血し体から血液がどんどん失われていく。


だがサンスレット・ロードの動きは鈍らずまだ寝転がっているメンディス・ドランバルドの腹に一発入れる。少し苦しそうな顔をするがメンディス・ドランバルドは怖気付かず反撃に出る、が、軽くあしらわれまた腹に一発入れられる。


二度目は流石に苦しそうだったが直ぐに立て直し、距離を取る。


遠目から見れば、血だらけのサンスレット・ロードの方が劣勢に見えるが雰囲気がそうではないと語っていた。現在優勢といえるのはサンスレット・ロードの方だ。


「『ウインド』」


メンディス・ドランバルトはまた新たな語句を口にする。そうすると雨がサンスレット・ロードの方に向き槍が飛来する。しかし先程とは違い、全ての槍を躱していく。この状況の凄さがあまり伝わらない文章だったので補足を付けておくと、『雨粒一つ一つと同じ頻度で降ってくる』全ての槍を躱しているのだ。


とても人間技とは思えない。


しかしそれだけでは終わらない。


「『その風は刃と化す』」


その言葉は反則だと思った。なぜなら、無ければ死ぬ空気を味方につけられたのだ。吸うだけで肺がズタズタになる状況でどうやって戦えというのか。『疲労無視』(オフ・フェイス)たる私でさえ対処できない。


「ぐ・・・カハっ」


サンスレット・ロードは刃と化した空気を吸い、肺機能及びそこに達するための喉や口内がズタズタに切り裂かれた。だがそれでも動き続けているのは意地を張っているからなのだろうか。


「殴打ッ!」


その一撃はメンディス・ドランバルトの胸に見事直撃し、ダメージを与えた。しかし皆は忘れてはいないだろうか。サンスレット・ロードは『究極打撃』オール・ユーズレスという、拳が一撃必殺である証明のような神秘を持っているのだ。


こちらの能力は自己深刻な方の神秘なので本当かどうかは分からないが、最低でもかなりの強者をたった一撃の打撃で屠れることを公言していると取れるのだ。つまり、一撃で死ぬ打撃を三度も、メンディス・ドランバルドは耐えている。


怖ろしい耐久力だ。


率直に言おう。この人は化け物だ。ただ、その化け物を圧倒しているサンスレット・ロードが何故全能列強第四位で甘んじているのかが理解できない。


決着直前に戦闘を中断しているからだろうか?


何らかの方法で列強の順位を固定しているのだろうか。


分からないが、結局、サンスレット・ロードに勝てる未来が全く見えない。


私の頭では未だに戦闘中の二人を見てそう思うのが限界だった。



メイル視点


毎回見ているが本当に怖ろしい戦いですね。列強の順位を一つ上げるのにだって死ぬような思いをしないといけないのにレットを見ていると馬鹿馬鹿しく思えてきます。


先の先、私が居るところなんてまだ序の口と思えてしまえて辛い。


全能列強第三位『メンディス・ドランバルド』は特に変わった能力は持ち合わせてはいません。ただ、呪術大陸の実力者総出で呪術を掛けられてこの様な状態になっているのです。


確か『超不幸』という呪術でしょうか。


極大の苦しみを与えつつ、死なせないという『不幸』を何千倍、何億倍、何京倍にしたのが『超不幸』です。それのせいで彼女が居るところには常に災害級の雨が降り続けます。


しかし、彼女の不幸がその程度で消費しきれるはずもありません。彼女には数多の不幸が降り注ぎ、彼女と関わるモノは悉く破壊されました。なので彼女は開き直って、『超不幸』を受け入れることにしたのです。


具体的に何をしたのかと言うと、スキル『来運蓄積』ラック・タンクを覚える事です。『来運蓄積』ラック・タンクとは幸運なのか不幸なのか確定していない『運』を貯めて一気に使うというものです。ですが彼女に降りかかるのは不幸のみなので被害を出したいときに『運』を開放。控えたいときは極力貯めるという方法を取っています。


元々そこまで『運』を貯めれる能力ではなかったので貯め続けても一週間が限度なので一週間に一回はガス抜きをしなければなりません。


そして彼女は超不幸を自分の巻き添えにして相手にぶつけるという活用方法を身に着けたのです。『超不幸』のせいで不幸では死なず、しかし相手は死なないという保証は無い自分だけの領域。


本当に怖ろしい呪です。



とある男の子の葛藤


おおおお落ち着くんだ僕!


ミフィアはサンドウィッチを流れるように僕に渡したんだから故意は無いはず!そう!彼女は『間接キス』していることに気が付いていない!もしくはそこまで大事だとは思っていないんだ!


つまり僕も何も気が付かなかったかのように普通に齧り付けばいいんだ。


おおおおおおおおおお落ち着け。スムーズに、且つ自然に食べるッ!


目の前まで持ってくると分かる。ミフィアが食べているところがしっとりしている。絶対に唾液。


腕が震えてきたああぁぁぁっっ!大丈夫!何のッ!問題もッ!無いッ!!


パクリ。


ッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!





その一口はそれはそれは甘く感じたそうです。

戦闘シーンって難しいよね(達観

戦闘シーン打ち切りでいいよね(願望

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