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短編集として纏める以前に書いてた短編を纏めた短編集

コタツから出れない時にありがちな事

作者: 午前深夜

私の名は山田俊子、どこにでもいる普通の可愛い中学二年生。


街ですれ違う誰もが振り返るくらい普通の女の子よ。

もし魔法の鏡があったなら「鏡よ鏡よ鏡さん。世界で一番美しいのはだあれ?」って問うた時に、

『普通に山田俊子』って言われるくらいには普通かな?


そんな私が今ピンチ。


三年前、兄が機械の身体を手にいれて世界を破滅ささんとした時レベルでピンチ。

つまり大ピンチ。


あの時は、私の眠るる能力『切断手刀(ハンドカッター)』が開眼し、事なきを得ましたが、今回は下手すると更にヤバイ案件かも知れませぬ!


つまりねー、私ね、今、コタツでだらだらミカン食べてんだけどねー?


あ、あの…オシ…オシッコ行きたくなっちゃったの…


いやん!花の女子中学生に何言わしょんな!

この変態がぁ〜、カスが〜、ボケナスがぁ〜、右膝の皿割るぞロリコン野郎がぁ〜!


あぁんもうっ!トイレに行きたいのに、コタツの魔力に捕らえられし憐れな我が身が恨めしい!


『ふふふ、いいんだよ。コタツですればいいじゃない?』


「コタツさん!?で、でもそんなハシタナイ事できん言ぉーろーが阿呆!」


『君は三年前に世界を救った英雄だ。だから君にはコタツでオシッコ漏らしてもいい権利がある!』


「なんと!そんな権利は初耳タイフーンね!」


『いいかい?オシッコするのは気持ちいい…。コタツに入るのは気持ちいい…。

だから、コタツでオシッコして気持ちいいのは当たり前……そうでしょ?』


「は…はい……いや、いやいやいや、その理屈はおかしい!」


『チッ、だがどうだ?どれほど口では否定しようと身体は正直よの!

ここまで来て未だに余から逃れられんのがその証拠よ!』


「くっ…!」


考えろ…考えろ山田俊子。

痴漢容疑で捕まった親父がいつも手紙で書いてたじゃないか!


父の手紙【元気にしているか俊子。父さんこうして捕まってるが、全くの濡れ衣なんだ。

政府の、いや、組織の陰謀だ!宇宙人のアレがソレなんだよ!】


そうかわかったわ父さん!

私は普通の女の子!ノーマルガール!

つまり普通の私が妙案を思いつける筈が無い!


だから私は、あくまで普通の正攻法でコタツの呪縛から解放されるしかないッ!


頭の靄が晴れ、解が出た…!

ふふ、なんでこんな普通の方法がわからなかったのかしら。


『ようやく観念したか?しからば!さあっ、漏らすがよい!!』


「うおおおおおハンドカッタァァーー!!!」

ズブシャアアアア!!


『な…なにいいいい!!?自らの下半身を…血迷ったか小娘ェ!?』


そう、私は手刀で下半身を切り離した…!


「へへ、なに言ってんだいコタツさん。こんなの普通フツー…ゴポァっ!」


思わず吐血!ひゃあ、鉄の味がすんぜ!

だがこれで私は自由!フリーダム!

しかも下半身を切り離した事により、尿意もなくなった。

最高のコンディションでぃ!


私は溢れるハラワタそのままに匍匐前進で進む!


『待てェい…!逃がさん…逃がさんぞォ…!!』


あな恐ろしや!コタツは

四本の脚柱を、うら若き少女の脚へと変化させ追って来たのだ!


余談だが、その脚すべて黒パンスト履いているのは作者の趣味だ。

練乳があれば思わず塗りたくりたくなる美脚揃い。


さて、若干だが私の匍匐前進のほうが速度が速い。

どこか安全な場所…そうだ!兄の部屋!英語で言うとマイフェイバリットブラザールームデスティニー!


「ヘイ!ヘイブラザー!オープン!ユーのルームのドアー、プリーズオープン!」


兄の部屋の扉がオープン!


「どうしたんだ俊子…ハゥア!?おめぇ下半身が無いじゃねえか!!」


「御託はオーライ、ハリー!ハリー、クローズドドアー!プリィーズ!」


兄の部屋の扉がクローズド!


「スパシーバ…」


ようやく安全な場所に着いて安堵する。楽園はここにあった…!


「なにがあったか説明してくれるか?」


「………」


私は迷った。

オシッコ行きたいから下半身を切り離してコタツから逃げてきたなんて、

そんな壮大な話を普通に説明しようとしたら、

文字にして五百万文字に達しちゃうよぅ。ふぇ〜ん。


仕方ないから言語圧縮して二秒で伝える!言わなきゃ伝わらないよ何事も!


「ピィ…ィィ……ィン…キュキュキュ…!」


「なるほど分かった!」


兄貴すげェ!


「三年前、お前がいなければ、俺はリチャード老師の思うがまま世界を破壊してしまっていた。

今度は俺が、お前を助ける番だ!!」


兄の機械の身体、その本領発揮である!

ウィーン!ガシーン!ガショーン!グボラー!



\ジャァァアーッン/


妹「お兄ちゃん、その姿は!?」


兄は変形して脚となったのだ!


「今日から俺がお前の脚になろう…。さあ、ドッキングしようじゃないか…」


「うん…キて…お兄ちゃん…んっ!」


ガシャコーン!!!


機動戦士私!ここに誕生!アニメじゃないよ本当のことよ!


ゴアアアアアアア!!


脚のスラスター噴射で窓を突き破り外に飛び出す!


ドガッゴォーン!!


続いてコタツも壁を突き破り追ってきた。


「ここじゃあ周りに被害が出るわ。ついて来なさい」


『いいだろう。どのみちもこみち貴様の墓場になる場所だ。好きに決めるがいい』



そして




戦いの舞台は





『商店街?こんな所で戦うのか?』


「気が早いわね。これだから童貞はよォー。いいからちぃっと待っとけ?な?」


パアアアアアア!

そこにすかさず商店街のオッサンが眩い光とともに顕現す!


「よォ俊子ちゃん、俺の商店(テリトリー)に何か用か?」


「うんとね、この福引券、まだ使える?」


「あいよ。じゃあこの木で枠組みされた六角形の回転する装置に備え付けられし取っ手を掴んで回転運動を起こし、開けられた穴からこぼれ出る小さな球体に己が運命を委ねるがいい…」


ガラガラガラー、コロン。


カァン!カァン!カーン!


「うおおっーと!?これは特賞だあああー!!

特賞の宇宙旅行券だああああー!!」




いざ戦いの舞台は宇宙へ!!



キィン!カカカッ!ドガーン!バゴーン!ドンガラガッシャーン!松尾!バショォーン!


宇宙での戦闘は熾烈を極めた。

ハンドカッターもコタツの天板に防がれ決定打にはならない。

コタツの攻撃も電気ケーブルを巻き付けてくるが絞め殺すほどの力もなく、やらしく身体に食い込むだけ…。

あっ、今へんな想像したっぺ?男子ってほんっとサイテー!ヘンターイ!五臓六腑撒き散らして死ねッ!かぁ〜!ペッ!


「何故だコタツ!なぜ貴様は私を、こんな普通な私を付け狙う!?」


『くかかかかか!普通?普通ねえ?

面白い冗談を言う!何故と言うなら応えてやろう!

それは、お前が落とした下半身を届けてやろうとしたけど些細な勘違いと行き違いでこうして戦うことになってますなう!』


「なん…だと…?え、ちょっ、つまり…あんた本当はいい奴なん?」


『うん、割りと。捨て猫みたら思わず拾っちゃう程度にはいい奴』


「なにそれー!スッゴクいい奴じゃん!?それ超いい人オーラでてるよー!!」


その時、猫の鳴き声が!?

にゃぁーん


『あっ、コラ!黙ってなさい!』


「まさか…あんた本当に捨て猫拾ってたの!?

元の場所に返して来なさい!」


『やだいやだい!お願いだよちゃんと育てるから!!』


「わがまま言ってもダメです!どうせ飽きて世話しなくなるに決まってますぅー!」


『そんなことないもん!ちゃんとお世話するもん!

それにトカミちゃん家も捨て猫だった猫育ててるし、ねぇー!いいでしょー!?』


「よそはよそ!ウチはウチ!」


にゃおーん…


「可愛く鳴いてもダメです!」


『俊子ちゃんのわからず屋!しからば我が全力をもって思い知らせてやろうぞ!

はあああああああああ!!!!』


「くぅ!?なんて凄まじいニャーラだ!?」


※ニャーラ

猫好きオーラのこと。特にこれといって害は無い。


ガッスィィーン!


コタツが超長距離カタパルトへと変形し、そこから超高速で子猫が放たれるッ!


にゃごぉぉーっーん!!


子猫は私の胸元に着弾っ!やばい!なにこれ超かわいい!

超かわいいんですけど!そもそも宇宙空間でなんで猫が生きてるのとか、そんなのどうでもいいレヴェルでかわいいよぅ…!


にゃぁー


「はぁーい、よちよちかわいいでちゅねぇー!

お姉ちゃんでちゅよー!

ほーら肉球ぷにぷにー!ぷよぷよー!ぷよぷよ通ー!よーしお前の名前はアルルゥだー!」


『ね、ねえ?飼ってもいいよね…?』


「当たり前田のクラッシュバンディグー!!!!」


『やったああああああああ!!』


\わあああああああ!!/

勝負の決着に歓声をあげるギャラリーども。


そのギャラリーに見知った顔が一人…!


「貴様は、リチャード老師!?」


そう、三年前、兄を騙し世界制服を企んだ本場アメリカ生まれのヒップホップ仙人だ!


すわもう一波乱と思いきや、「へいヨー!ワシもあれから色々あって改心したヨー!

お詫びに我が仙術で離れた胴体くっつけてあげるヨー!シェケ!」とかで私の胴体くっつけてくれたシェイシェイ!


やべえトントン拍子に話が纏まってやがる!エンディングに突入するには今しかない!っきゃない!



エンディング



三年後、そこには私と兄と商店街のオッサンとリチャード老師とアルルゥとでコタツでくつろぐ私たちがいた。


ピンポーン!


お客さんだ。

だがコタツの魔力に捕らえられし我らは抜け出せない。


しかし!だがしかし!


無闇に三年の月日を浪費したわけではないのだ!


「みんな!やるわよっ!」


「応ッ!」

「仕方ねえな!」

「やるヨー!」

「ごろにゃー」

『行くぞ!』


臨!兵!闘!者!皆!陣!列!在!前!


ガシンガシン!パキョン!ウィーン!清少!ナゴォーン!


ペカアアアアアアアア!!!



 合体超合金コタツンガー



   発 進 !!





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