第八話 学長にお呼ばれしました
10月21日
これより前の部分、主に学園入試を大幅に修正しましたので、お手数ですが、もう一度読み直してください。すいません。
あの事件から一週間。
俺は一度家に戻り、家族との別れを済ませて来た。
そして、今日。
「試験結果の発表か……」
学長は大丈夫だって言ってたけど、やはり結果を見るまではドキドキする。
今現在、俺はヴェルス学園に向かっていた。
もうそろそろ結果が張り出されていることだろう。
そしてその予想は当たっていた。
「しかし、すごい混みようだ……」
近寄るのが躊躇われる……。
「そんなことも言ってられんな。よし、行くか」
俺は人をかき分けながら、張り出された合否の結果を見に行った。
ちなみに、受験者数1800人のうち、300人が合格できる。
えーっと、14764、14764……。
「お、あったあった」
ついでにクラスを見ておいた。
俺はⅡクラスだった。
ちなみにクラスはⅠ~Ⅵクラスまである。
別にⅠクラスだからって成績がいいわけではない。
クラス間の学力ができるだけ平等になるように振り分けられるらしい。
「さて、もう用は済んだし……さっさと離れよ」
俺は再び人をかき分けながらそこから離れた。
そして、合格者は教師の案内に従い、制服や学業に必要な物、寮の部屋の鍵などを渡される。
この学園の寮は確か、男女で別れていなかったはず。
まぁ、だからといって何をするわけでもないけど……。
「はい。制服、教科書、部屋の鍵です」
「ありがとうございます」
俺は自分の名前を告げ、渡してもらうものを受け取り、早速寮の部屋に向かった。
始業式兼、入学式が始まるまでに一度寮に入る時間が設けられている。
それは制服に着替え、荷物を整理するなど、その他もろもろの用事のために昔から設けられていたらしい。
「へー、ここが新入生の寮ねぇ……」
寮と呼ぶにはデカすぎるような……。
大型ホテルといってもいいじゃないだろうか?
……十一階建てだな。
たしか、一階は食堂とか、大浴場があるらしいから、実質十階分だな。
「さすが名門といった所か……?」
俺は驚きながらも自分の部屋に向かった。
俺の部屋は二階の221号室。
ちなみに、ワンフロア三十部屋。
それが十階ぶん。300人ぴったしになる。
早速部屋の鍵を取り出し、中に入った。
「うわ……一人暮らしには贅沢すぎじゃねぇか?」
そこには一流ホテル並みの設備が整っていた。
それプラス、キッチン。
「……」
開いた口がふさがらないとはこういうことなのか?
いくら名門だとしても、やり過ぎなんじゃないだろうか……?
「ま、いいや」
俺は早速制服に着替えることにした。
この学園の男子の制服は、ワイシャツにズボン、ネクタイ、ベスト、ブレザー。
ネクタイは赤いが、それ以外はすべて黒。
ちなみに女子はネクタイは赤と同じだが、他はすべて白色らしい。
「夏は覚悟しないといけないな……」
この世界も四季はある。
それなのに、黒尽くめってどういうことだ。
「はぁ……」
今から先が思いやられる。
……主に暑さについてだが。
制服に着替えた後、俺はざっと部屋の設備を確認した。
なかなかに面白かった。
「お、そろそろ始業式だな」
俺はあらかじめ渡されていた始業式のある会場までの地図を手に取り、部屋を出た。
部屋を出ると、俺と同じように会場に向かう人達が見えた。
そして俺はそれに流されるように、会場に向かうのだった。
さて、会場に着いたのはいいが、これはこれでキチガイじみたデカさをしていた。
ダメだ、この学園。はやく何とかしないと……。
そんなお決まりのセリフを呟き、Ⅱクラスの座席に向かった。
さてさて、俺の席は何処だ?
俺は案内用紙を見て、そこに書いてあった番号の席に着いた。
「はぁ……」
席に着くと、自然とため息が漏れた。
疲れてんのかな、俺。
そして、しばらくすると始業式が始まった。
『えー、本日はお日柄もよく……』
今挨拶しているのは学長ではなく、副学長。
―話長そうだなー……。
俺の予想通り、副学長の説明は長かった。
『……えー、では、案内に従い、各クラスへ戻ってください』
ようやく始業式も終わり、後はクラスでの連絡を残すのみとなった。
その時だった。
「やっぱりレイっちだった!」
「あ、ホントです」
「ん?」
後ろから声を掛けられ振り返ると、そこにはニーナとサフィが近寄って来ていた。
「やっほ!」
「おはようございます」
「おぉ、久しぶりだな」
「そうだねぇ。あ、レイっち何クラス?もしかしてⅡクラス?」
「あぁ、Ⅱクラスだ」
「お、一緒だ!」
「私もですね」
どうやら二人はさっきは前の方に座っており、俺は後ろの方に座っていたらしい。
俺達は談笑しながらⅡクラスに向かったのだった。
クラスに着くと、張り出された座席表で自分の席を確認した。
「左側の窓際の一番後ろか。ふむふむ……なかなかにいい席じゃん」
昼寝には持って来いだな。
ちなみに席順はこの世界でも五十音順なので、サフィはクラスのど真ん中ぐらいの席。
ニーナは俺の右隣の席。
「よろしくね、レイっち!」
「そう、だな」
俺は自分の席で日光を浴びながら、早速まどろんでいた。
だが、しばらくすると教室のドアを開け、担任らしき女性教師が入ってきた。
種族は人である。
「は~い!みなさん席についてくださ~い!」
その声に皆が席に戻って行った。
「え~、では、今日から私がこのクラスの担任です。キース・テレンです」
この先生、美人の部類に入るだろうな。
なんて思っていると、連絡事項が終わっていた。
まぁ、ちゃんと聞いてたけどな。
「では、自己紹介でもしていきましょうか!」
廊下側の前の席から始まった。
そして、少しするとサフィの番になった。
恥ずかしがり屋っぽかったけど、だけど大丈夫かな?
「さ、サフィ・アンダーハート、です。ま、魔族、です。しゅ、趣味は、読書です……」
最後は尻すぼみになったものの、言い終えていた。
また少しすると、ニーナの番になった。
まぁ、コイツは大丈夫だろ。
「ニーナ・クォルツです!見ての通り獣人だよ!趣味は、えーっと……体を動かすことです!よろしく!」
元気いっぱいに自己紹介を終えたニーナ。
周りもニーナの自己紹介で笑顔になっていた。
その時、突然眠気が襲ってきた。
―なんか、前の世界でもあったなこういうの……。
前は授業中に何度も寝て、先生に起こされてたっけ。
―珍しいな、俺が昔を懐かしむなんて……。
「……ィ君、レイ君!」
「は、はい!」
「最後、キミだけよ」
いつの間に……って、ニーナが自己紹介してたんだから、そりゃすぐ俺に来るな。
「レイ・サイズニアだ。種族は人。趣味は料理、昼寝だ」
俺はそう言って座ろうとした時、周囲からの視線に気が付いた。
最後なんだから、もっと喋ってよ
なんでもいいから面白いことしろよ
等々の意味が視線に含まれている。
「えー、なんか視線が痛いんだが……?」
俺がそう言うと、ほとんどが視線を逸らした。
「というわけで、気軽に話しかけてくれ。じゃ、よろしく」
俺はそう締めくくり座った。
「これで全員終わりましたね!では、今日はこれで終わります。あ、サフィさん、ニーナさん、レイ君はこの後私について来てくださいね?」
おぉう、すげぇ視線が突き刺さってくる。
ん?なんかしたかな?
……………………………………あ、学長の説明か?
「では、さようなら~」
先生のあいさつを皮切りに、教室は騒がしさを取り戻した。
そんな中、俺達三人はキース先生に連れられ、学長室に向かうのだった。
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