第六話 ヴェルス学園の入試 その四
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(^q^) マジか
ありがとうございます!!!
~テスト科目「白兵戦」~
入試最終日。
俺達は昨日と同じように、待機会場で待っていた。
「次のテスト、白兵戦だよね?」
「あぁ、そうだな」
「なんかわくわくするな~!」
「そりゃ、自分の得意分野だからだろ」
「そうなんだよ!」
やたらとテンションが高いニーナ。
それに比べ……。
「サフィ?大丈夫か?」
「ふぇ!?だ、大丈夫ですよ!?」
「明らかに大丈夫じゃなさそうなんだが……」
「そ、そんなことないですよ?」
「ふーん」
凄いきょどってる。
おそらく、次のテストが不得意科目だからだろう。
「さて、頑張りますか」
俺は特に得意不得意ないし、通常運転だ。
そして、俺達は試験官に呼ばれ、試験会場に入った。
「では、試験を開始します。先日の「魔法」と同じくレプリカですので、大きな怪我を負うことはありません」
科目「魔法」と同じように魔方陣から召喚されたのは、岩でできた3m級のゴーレムだった。
「レイさん、これは?」
「ゴーレムだな」
「ゴーレム?」
「ゴーレムは攻撃魔法を無効化するバリアを張っている。だから、潰すには近寄らなきゃいけねぇ」
「じゃ、早速!」
「待て!いくらレプリカのゴーレムだからといってうかつに近寄ると、吹き飛ばされるぞ?」
「え!?」
「動きは鈍くねぇし、一発は重い。誰か囮をした方が確実に仕留めれる」
問題は、その囮を誰がするかだ。
「じゃ、私がする!」
「ダメだ。お前が攻撃の主軸なんだから」
「じゃあ、誰がするの?」
「……」
よく考えたら、俺しかいなくね?
「よし、俺がしよう」
「いいの?」
「俺しかできねぇだろ。サフィは白兵戦が苦手っぽいし」
「すいません……」
「別にいいさ。苦手にしてる物があるのは別に悪いことじゃねぇ」
「じゃ、レイっちが囮役だね?そろそろ、ゴーレムも動き出すよ」
「そうだな。よし、サフィは俺とニーナの援護だ。防御をしてくれると助かる」
「わかりました!」
俺達が話し終えると、ゴーレムが動き出した。
律儀に待っていてくれていたらしい。
「よっしゃぁ!行くぜ!!」
俺は剣を抜きながら、ゴーレムに突っ込んで行く。
ゴーレムは俺に狙いを定め、拳を振るってきた。
「俺にとっては遅いな!」
大振りの拳を体勢を低くし避け、岩と岩のつなぎ目に剣を突きだす。
ガキッ!
「ちっ!」
やっぱり、剣じゃ不利だな。
ニーナみたいな打撃武器じゃないと、今のも効果的じゃない。
ゴーレムみたいな敵には、関節を狙うのがオーソドックスな対処法。
しかし、それは打撃武器じゃないと効果が期待できない。
「うおっ!?」
ブンッ!
俺は咄嗟に後ろに飛び、拳を避けた。
ゴーレムは追撃に蹴りを放って来る。
風を切る音が、耳朶を打つ。
ゴォッ!
「チッ……」
俺は多少のダメージを覚悟し、剣でガードを試みた。
「プロテクト!」
ガツッ!
その時、サフィのサポートでガードができた。
が、威力までは殺せず、後ろに吹き飛んだ。
「っと。サンキュ、サフィ。ナイスタイミング!」
俺は空中で体勢を立て直し、着地。
ゴーレムは未だに俺をロックオンしている。
「やぁぁぁ!!」
ゴーレムが俺に向かって進もうとした時、後ろからニーナが殴りつけた。
バゴッ!
打撃音が試験会場に響き渡った。
だが、岩が砕けた程度で、ゴーレム自身のダメージはさほどない。
ゴーレムはまったくニーナに見向きもせず、俺に攻撃を仕掛けて来た。
「うおっと」
―なーんで、俺だけロックオンしてんのかな、コイツ。
左に飛んで避け、ゴーレムの足元に駆けだした。
「でやぁぁぁ!」
しかし、俺の力任せの攻撃は、まったく効くことなく。
「ちっ!」
これは同じことの繰り返しになりそうだな……。
仕掛けるか?
「ニーナ、左のひざ裏を狙って体勢を崩してみてくれ!」
「やってみる!」
「サフィ!」
「は、はい!」
「ゴーレムの右の足元に、防御魔法をなんでもいいからかけてくれ!」
「な、何をするんですか?」
「転倒させる!」
「わかりました!」
俺は剣を鞘に納めた。
「レイっち!?」
「いいから、集中しろ!」
「う、うん」
俺は目を閉じる。
意識を右手に集中させる。
―まさか親父に冗談半分で習った剣技が役に立つ日が来るとは……
静かに目を開く。
ちょうど、ゴーレムがサフィの張ったバリアに右足を取られて、体勢を崩している所だった。
そして、ニーナ渾身の拳がゴーレムの左のひざ裏に入った。
体重が乗っかってる左足のひざ裏を殴られたゴーレムは、ひざかっくんをされたように左膝を折られる。
そして、そのまま俺の方へと倒れて来た。
「レイっち!?」
「レイさん!?」
俺は焦らずに剣の柄を握った。
「……四閃・金刀比羅」
剣を抜き去り、神速で四度ゴーレムを斬りつけた。
今度は斬撃のすべてを、ニーナの攻撃で弱った部分に叩き込んだ。
ズズン!!
ゴーレムの体がばらばらになり、試験会場を揺らした。
「……はぁ」
俺は息を付き、剣を鞘に戻した。
「し、試験終了です。お疲れ様でした」
「レイっち、今のどうやったの!?」
「まったく見えませんでした……」
「ま、それは秘密だ」
コイツは親父が編み出した、親父の剣技だ。
俺は息子だから教えてもらえたが、普通に教えて回っていいもんじゃないのは分かる。
―それに、これ習得するのに、かなり苦労するし。
こうして、白兵戦の試験も無事(?)に終わることが出来た。
side ?
レイ達がゴーレムを相手していた時、ヴェルス学園のとある場所で男が一人笑っていた。
「ふ、ふふふ……コイツを使えばこの学園も終わりだな……フハハハハ!!!」
男は高笑いしながら、「総合」の試験会場に向かうのだった。
波乱の予感!?




