第三話 ヴェルス学園の入試 その一
あれからさらに五年。
俺は今日十五歳になる。
そして、明日はヴェルス学園の入試日である。
「頑張ってね」
「レイならできるぞ!!」
「わかったから親父、強く叩くな」
俺が受けるヴェルス学園は、数ある学園の中でも有名な学園の一つである。
何故か?それはヴェルス学園の卒業者は、騎士団に所属するか、ギルドの有名ランカーになっているからだ。
騎士団ってのは、いわゆる警察のようなもの。
治安維持のため見回りしているのをよく見る。
入団するには、実力があるだけでなく、人格者である必要もある。
そのため、騎士団に入ることは、名誉な事なのだ。
ギルドの方は、いわゆるモン○ンのようなのが、メインの仕事。
それ以外には、騎士団のような活動をすることも。ただし有料で。
また騎士団とは違い、ギルドは実力があれば、有名ランカーになれる。
が、実力を持った者は多くいるため、すぐに埋もれてしまうのだ。
その中で、有名ランカーになれた奴は並外れた実力の持ち主ということ。
だから、ヴェルス学園は有名なのだ。しかも全寮制。
そして、そんな有名な学園にどうして俺が受験をしに行くかというと。
「レイなら、ヴェルス学園でも余裕で合格できるんじゃね?」
親父のこの一言のせいで、母さんまで乗り気になって、本人の意思を無視して決まったからだ。
まったく、俺の両親はどうなってるんだ!
まぁ、別にどこでもいいんだけどね。
おかげでこの三年間、猛勉強をすることになったけど。
「じゃ、行ってきます」
「頑張ってな」
「頑張ってね」
俺は両親の声援を背に、ヴェルス学園に向けて歩き出した。
ヴェルス学園までは、徒歩で三時間以上かかる。
つまり、俺が住んでいた街の二つ隣りの街に、ヴェルス学園はある。
だから、前日に学園近くまで行っておかなければ、大変なことになる。
「よし、頑張るか」
なんだかテンションあがってきたぞ?
俺は道中、ずっと受験勉強をした。
何処を受験しようとも、絶対に受験に必要なのは「国語」「数学」「魔法」「白兵戦」「知略」「総合」の六つ。
国語、数学は日常生活において、知っておかなければいけないらしい。
残りは、この世界ならではのテストだと思う。
「魔法」においては魔人、「白兵戦」においては獣人、「知略」においては精霊が有利。
「総合」は人にとって有利なのだ。
しかし、ヴェルス学園は一味違う。
「国語」「数学」は普通のテストと同じだが、残りの四つは、受験生が三人一組で受験する。
三人の種族は出来るだけ重ならないように振り分けられる。
つまり、一つの教科は、全員が不得意なものになる、という事。
どうやって合否を決めるかだが、それはテスト中の行動を見た先生方の意見によって決まる。
しかし、チームから合格者が出たからといって、そのチーム全員が合格するとは限らない。
そう考えると、やっぱり特殊な学園なんだろうか、などと改めて思う。
そうしている内に、目的の街についていた。
俺が住んでいた街より、ずっと栄えているため、一瞬街の活気に気圧された。
「すげー……」
俺は早速宿を探し始めた。
さすがヴェルス学園があるだけの事もあり、小奇麗な宿もすぐ見つかった。
しかも、その宿は受験の合否発表が終わるまでは格安になるらしく、金の心配もしなくていい。
自分の部屋に入ると、ベットに直行してしまった。
ばふっ
「はぁ~~~~」
少し休むつもりがそのまま寝てしまい、晩飯を食いそびれてしまった。
そして、入試当日。
当日っても、入試は今日から三日かけて行われる。
初日は「国語」「数学」。
二日目は「魔法」「知略」。
最終日は「白兵戦」「総合」。
「よっし、頑張るぞ」
俺は両頬を叩き気合を入れて、ヴェルス学園の門をくぐった。
そして、案内に従い、受験会場へ。
「それでは、始めてください」
周囲から一斉に紙をめくる音が聞こえた。
俺も急いで紙をめくり、問題を解き始めた。
~一時間後~
「終了です。紙を伏せてそのまま待ちなさい」
ふぅ……手ごたえはなかなかだ。
次は数学か。
元の世界でも、数学は大の得意だったため、今回の受験勉強でも大して苦労はしなかった。
「次は数学です。用紙を配るので、そのまま待ちなさい」
そして、担当の先生が次々に用紙を置いていき、準備ができた。
「では、始めてください」
再びペンを取り、問題に取り掛かった。
~一時間後~
「では、やめてください。紙を伏せ、退場してください。お疲れ様でした」
その声を皮切りに、会場にいた受験生たちは次々に退場していった。
俺もその波に乗り、宿に戻ることにした。
明日の試験に向け、体を休めるため、早めに寝ることにしたのだった。




