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第二話 どの世界にもやられ役っているんだなぁ。






次の日、昼を食べた後、俺は母さんに頼まれていたお使いに出かけた。


「えっと……?鶏肉に、牛肉に、卵に……」


俺はメモに目を通しながら、街の方へ向かって歩いた。

俺の家は街から徒歩十分程離れている所にある。

ちなみに隣りの街までは、徒歩だと一時間半ぐらいかかる。


「……凄い量だな」


いや、俺が十歳じゃなかったら大丈夫な量なんだけど……。

時々、母さんがドSなんじゃないかと思う。


「まぁ、いいや」


俺は母さんの行きつけの店に行くことにした。

店の前に着くと、店主が俺に気が付いた。


「おぉ、サイズニアさんとこのボウズじゃねぇか!」

「こんにちは、オッチャン」

「おう!今日はどうした?」


俺はオッチャンにメモを見せた。

ちなみにこのオッチャンとは、そこそこ仲がいい。


「ん?おお、お使いか。ちょっと待ってろ」


オッチャンは店の奥に引っ込んで行った。

この店は食材ならなんでも揃うし、その割に安いという評判の店なのだ。

しばらく待っていると、近くで男の怒鳴り声が聞こえて来た。


「ん?」

「おいババァ!!どこ見て歩いてんだ!」

「す、すいません……」

「すいませんで済むわけねぇだろ!!」


声のした方を見ると、そこには尻餅をついた状態のお婆さんと、それを立ったまま見下ろして怒鳴りつけている男がいた。

どうやら、お婆さんにぶつかった男が言いがかりをつけているのだろう。


「すいません……」

「そればっかりかよ、あぁ!?」

「ひっ……」


周囲の人は関わりたくない一心からか、見て見ないふりをしていた。

その時、一人の女の子がお婆さんに駆け寄った。


「や、やめてください!!」

「なんだ?ガキはすっこんでろ!!」

「きゃっ……!」

「ちっ……プロテクト!」


そして、男はお婆さんに駆け寄った女の子を殴り飛ばそうと、腕を振り上げた。

俺は見てられず、女の子を守るように魔術で防壁を張った。


 ガツンッ!!


「いってぇぇぇ!?」


男は防壁に気付かず、そのまま拳を振り下ろし、防壁を殴りつけた。

俺はお婆さんの元へ行き、声を掛ける。


「大丈夫ですか?」

「え、えぇ……」


そうしていると、男が復活したらしく、俺を睨み付けてきた。


「なんだテメェ……ガキはすっこんでろってんだよ!!」

「ひっ……!」


女の子が男の剣幕に驚き、尻餅をつく。

俺は女の子の前に立ち、男を見上げるような格好になった。


「アンタさ、こんな女の子とお婆さん苛めて楽しいの?」

「ンだと!?俺はただそこのババァがぶつかってきたから怒ってんだよ!!」

「もしそうだとしても、お婆さんを助け起こさないどころか、怒鳴り散らすって、人としてどうかと思うよ?」

「この、ガキ!!なめたこと言いやがって!!」


再び拳を振り上げ、俺に向かって振り下ろそうとした。

俺はそれを落ち着いて避けた。

そして。


「フリーズ!」


 バキィッ


「な!?」


男の下半身は、俺の一言によって氷漬けにされた。


「な、なんだこれ!おい、ガキ!なにしやがった!」

「後は警備団体の人に任せよー」

「おいぃ!聞いてんのか!!」


男が何か喚いているが、無視して女の子とお婆さんに向き直る。


「立てますか?」

「あ、あぁ、大丈夫だよ」

「じゃ、あっちに行きましょう。ほら、君も」

「え?」


俺は尻餅をついたままだった女の子に、手を差し出した。

女の子は恐る恐るといった感じで、俺の手をとった。

そして、男を放っておいて、俺達は広場に向かった。


「ありがとねぇ」

「いえいえ、そんな」


お婆さんは俺にお礼を言ってくる。


「すごいねぇ、その年で魔法を使えるなんて」

「いえ、母の教え方がうまいだけなので……」

「そうかい」


俺はそこであることを思い出した。


「あっ、お使い……!」

「あら、お使いの途中だったかい?それは悪かったねぇ」

「いえ、それじゃ、これで!」

「あ、あの!」


俺が駈け出そうとした時、女の子から声を掛けられた。


「なに?」

「あ、あの、名前は……?」

「レイ・サイズニアだよ。君は?」

「さ、サフィ・アンダーハートです……」

「サフィだね!じゃ、また!」


俺は急いでオッチャンの元へと急いだ。

若干オッチャンに怒られてしまったが、無事お使いを終えることが出来たのだった。




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